コロナワクチンの不平等な分配と新変異種・オミクロン株の出現
(last modified Sun, 28 Nov 2021 12:53:59 GMT )
11月 28, 2021 21:53 Asia/Tokyo

南アフリカで、より感染力の強いとされるコロナ新変異種・オミクロン株が検出され、またすでに複数のヨーロッパ諸国に拡散していることを受け、世界では再びコロナの感染が大規模に拡大することに関する懸念が高まっています。

こうした中、世界におけるコロナワクチンの不平等な分配と先進国によるその独占は、アフリカにおけるコロナ流行と突然変異の継続に大きく関与したといえます。

世界がコロナ感染の新たな波に差し掛かっている中、先進国は自国民への集団予防接種に加えて、大量のワクチンを備蓄してきました。一方で、貧困国や発展途上国は財源不足により、国民向けのワクチンを購入できないのが現状です。アフリカの疾病対策センター・ CDCによりますと、これまでのところ、アフリカ諸国の半数が自国の人口のわずか2%、さらにはそれ以下の人々にしかコロナワクチンの接種を実施できていません。

こうした現状の一方で、コロナの世界的流行が始まって以来、先進国はコロナワクチン接種プログラムによる他国への支援を約束してきました。しかし、ワクチンを獲得した後、この約束は忘れられ、ワクチン接種の問題は大国間の政治的ゲームと化しています。ワクチン製造会社も、自社製品の商業的な利用を目指しています。このアプローチの結果として、多くの西側諸国は自国の総人口の80%以上に3回の接種を行っている一方で、アフリカ諸国は依然としてワクチン購買用の資金不足に直面しています。

これまでに発表されている統計によりますと、アメリカ人は世界人口のわずか4%過ぎませんが、同国政府は世界全体のすべてのコロナワクチンのほぼ4分の1を備蓄しています。

こうした状況の中、国連などの国際機関は、ワクチンの不公正な分配について常に警告してきました。国連は最近、世界中でのコロナワクチンの不平等な分配、ワクチンの買占め、輸出制限、貧困国でのワクチンの公平な分配に必要なインフラの欠如、およびワクチン購買資金の不足を主要な課題として挙げています。

スペインの化学者・ウイルス学者のルイス・エンカネス氏は、世界でのコロナワクチン接種プロセスの不平等を批判し、「新たなコロナ変異種は、世界でもワクチン接種が普及していない地域に出現する可能性が高いため、欧米諸国の決定は賢明な行動ではない」と語りました。

現在、新たな変異コロナウイルスの出現により、恐怖と衝撃が再び世界中を駆け巡っています。このほど南アフリカで検出された「オミクロン株」と呼ばれるコロナの新変異種は、従来株とは大きく異なり、最も複雑で危険な種とされています。

これに関して、ゴードン・ブラウン元首相は、「貧困国にワクチンを供与しなかったことが、コロナウイルスの突然異変につながった。世界ではワクチン接種が完全に普及していないため、コロナウイルスはワクチン未接種者を際限極まりなく標的にする上に変異し続けており、貧困国から最新の変異種が出現している」と述べました。

アフリカ諸国は現在、新たなコロナ変異種と格闘している中、世界規模での援助が不十分なことに加えて、これらの国へのワクチン調達に向けた努力も、ワクチンを製造する国々や企業によって妨げられているように見受けられます。言い換えれば、西側諸国は今回、アフリカ諸国を「植民地化」する手段としてワクチンを利用したことになりますが、今では彼らは自らウイリス感染に巻き込まれたのみならず、世界を再び「オミクロン」株の大流行の危険に直面させているのです。

 

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