欧州を目指す難民の死と恐怖
(last modified Wed, 29 Dec 2021 13:32:55 GMT )
12月 29, 2021 22:32 Asia/Tokyo

西アジアや多くのアフリカ諸国で政治・経済的危機が続く中、依然として大量の難民がヨーロッパに押し寄せています。

こうした中、これらの人々の多くは、ヨーロッパの国境に向かう途中で命を落としています。

UNHCR国連難民高等弁務官事務所は、2021年に地中海で2500人以上がヨーロッパの海岸に到達しようとして死亡したことを明らかにしました。このルートは、人身売買のブローカー、老朽化したボート、沿岸警備隊の活動により、世界最大の難民の墓場と化しています。

IOM国際移住機関の統計によりますと、過去6年間で2万人以上の難民や移民が地中海で命を落としており、それはまさに、世界のカトリック指導者であるローマ教皇フランシスコが地中海を「ヨーロッパ最大の墓場」と表現するにふさわしいものです。

こうした中、運よくヨーロッパの国境に到達することができた難民でさえも、状況は決して好ましいものではありません。彼らの多くは数ヶ月にわたって、最低限の設備しかないヨーロッパ諸国の国境の入り口で入国許可を何ヶ月も待つという、非常に困難な状態におかれています。ヨーロッパ諸国の中でも、イタリアとギリシャは地中海に面した特別な位置にあるため、実際ヨーロッパへの渡航を目指す多くの難民の玄関口となっています。

イタリア・シチリア島のオルランド・パレルモ市長は、難民を受け入れずに海に放置しておくことは大きな悲劇であるとし、「ヨーロッパはいつの日か、地中海海域での大量虐殺罪で裁きを受けるだろう」と警告しました。

こうした中、多くのヨーロッパ諸国はまた、難民に対し国境を公然と閉鎖し、彼らを寒くて悲惨な生活条件のまま放置しています。この事態が今まさに、ポーランドの国境で起こっています。ベラルーシの首都ミンスク駐在のUNHCR代表は、ベラルーシとポーランドの国境地帯にいる難民の寒さやコロナ流行に関して警告しました。

ポーランドや他のいくつかの東欧諸国の当局は、難民に対処するため、国境での壁建設すら決定しました。

ヨーロッパ諸国が移民や難民を不当に扱っている中で、それらの国の多くは西アジアやアフリカでの政治的・人道的危機の発生に大きく関与してきています。

こうしたヨーロッパ諸国がアフガニスタン、イラク、リビア、ソマリア、シリアなどの国への攻撃において米国に同調していることから、数百万人が難民化し、ヨーロッパを含む世界の他の地域へと向かっています。一方でヨーロッパは、これらの地域での戦争や危機を引き起こすのに関与した相応の役割を果たすことすら渋っています。

地中海や英仏海峡、ポーランドを含むヨーロッパの陸の国境は、難民が犠牲になる場所となっていますが、そうした中で、ヨーロッパは人権スローガンを唱え続け、人権擁護を主張し続けています。

 


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