タンタンとシンドバッド、東と西の英雄
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モハンマド・ミールキヤーニーは、イランの児童文学作家です。58歳の彼は、児童向けの数多くの作品を記しており、長年に渡り、児童向けのラジオ番組の脚本を手がけてきました。
(last modified 2025-10-27T01:35:03+00:00 )
8月 23, 2016 15:11 Asia/Tokyo
  • タンタンとシンドバッド、東と西の英雄

モハンマド・ミールキヤーニーは、イランの児童文学作家です。58歳の彼は、児童向けの数多くの作品を記しており、長年に渡り、児童向けのラジオ番組の脚本を手がけてきました。

ミールキヤーニーの「タンタンとシンドバッド」は、一人の芸術家の社会的な見方、イラン独自の文化の保護に関する彼の関心を示すものとなっています。ミールキヤーニーは、1991年にこの本を刊行し、正確で鋭い視点により、当時、新たに浮上した問題を、この物語の中核に選びました。この物語を記した作家の目的は、東に対する西側の文化的な侵略を、間接的に伝えることです。

 

ミールキヤーニーの作品は、イラン人の子供たちに支持されているだけでなく、別の言語にも翻訳され、パキスタンやドイツといった国々でも人気があります。例えば、1990年から2000年にかけて、ドイツのミュンヘン国際センターは、ミールキヤーニーの2つの作品を推薦図書としました。また、2007年には、別の作品が、イランの年間優秀図書に選ばれました。ミールキヤーニーは、短編、長編、小説など、合わせて500タイトルの書籍を出版しています。

 

「タンタンとシンドバッド」は、西洋の文化を代表するタンタンと、東洋の文化を代表するシンドバッドの2人の登場人物が対決する物語です。この物語は、東洋の古い伝説と西洋の空想的な物語を、比ゆ的な表現により描いています。イランをはじめとする東洋で語り継がれ、忠告や教訓を含む物語の中に登場するシンドバッドやアリババといった人物は、この本の中で、西洋で誇張された中身のない英雄と対決します。この本の中では、この2つのグループが、それぞれの文化を代表する存在として紹介されています。

 

「タンタンとシンドバッド」では、西洋の英雄に対し、東洋の英雄が、論理的で理性的な道を歩み、西洋の英雄の暴力的な性質や侵略から、忍耐と団結によって、自分たちの国を救い出します。実際、ミールキヤーニーは、フィクションの中で、歴史的な事実を青少年に伝えようとしています。つまり、西洋の東洋に対する侵略、アジア・アフリカ諸国に対する植民地主義が語られているのです。

 

1929年、ベルギーの漫画家、エルジェが、初めて、「タンタン、ソビエトへ」という作品を発表しました。この物語では、タンタンという名の少年記者が、白い犬スノーウィと共に、東の陣営の代表であったソビエトに行き、そこが圧制的で無知な人物によって統治されていることを知ります。

 

「タンタン、ソビエトへ」が出版され、それが西洋で大きな支持を得た後、タンタンのその後のシリーズも加筆、修正されて、別の言語に翻訳されました。タンタンのキャラクターとヘアスタイルが世界の若者たちの間で人気を集め、ほどなくしてタンタンは、西洋の賢く魅力的な若者の象徴となりました。

 

タンタンシリーズでは、共産主義のロシア人、コンゴの原住民、アメリカの黒人、東南アジアのさまざまな部族が、粗野な悪人として描かれています。これは、他の文化に対する西洋の優位性を広めようとしていることを示しています。タンタンは、訪れる先で、問題を抱える人々に出会います。そして、欧米の多くの物語や映画と同じように、仲間たちと共に、その問題を解決する救世主のようなヒーローの役割を果たします。

 

「タンタンとシンドバッド」は、タンタンが率いる西洋の物語の主人公の一団が、東洋の地を訪れ、シンドバッドたちと戦い、彼らを倒そうとするところから始まります。一方で、シンドバッドが率いる東洋の英雄たちが、彼らに立ち向かい、最終的に、シンドバッドとその仲間たちが勝利を収めます。

 

この物語で興味深いのは、東洋と西洋の英雄が対決する場面で、東洋の忘れ去られた英雄たちが紹介されていることです。彼らは、長年に渡り、西洋の英雄を中心とした作品による大規模な攻撃のために忘れ去られていました。シンドバッド、アリババ、アラジン、魔法のランプ、彼らはかつて、東洋の魅力的な物語を作っていました。

 

タンタンとその仲間たちは、あらゆる手段や計画によって、この新しい物語の中で勝利を収めようとしますが、シンドバッドが東洋の伝説の仲間たちと共に、この侵略者に立ち向かいます。タンタンは劣勢に陥り、西洋のヒーローたちに助けを求めざるを得なくなり、スーパーマンやターザン、キングコングなどが登場します。しかし、最終的に、理性と自負心により、勝利を収めるのは東洋の人々です。一方で、敗北を喫した西洋のグループは、再び東洋を攻撃することを考えながら、自分たちの土地に帰ります。

 

「タンタンとシンドバッド」は、芸術家の社会的な見方、国の民族的な保護に関する彼の関心を示すものとなっています。作者のミールキヤーニーは、衛星放送が文化に及ぼす影響に気づき、この本の中でそのことに触れています。シンドバッドの一団が、タンタンとその仲間を倒して町につくと、西洋の勢力は、今度は空から攻撃を浴びせます。この場面を見てみましょう。

 

アラジンが、「彼らはどうやって空から攻撃しているのだ?」と尋ねると、老人はため息をついて言いました。「衛星を使っているらしい。今世紀の発明品だ。彼らは今度は、空から東洋の町を攻撃しているのだ。衛星によって私たちのすべてを変えようとしていると言われている。彼らは私たちの肌の色、生活、言葉、歩き方、食べ物、衣服など、私たちの全てを、彼らの思い通りの形に変えようとしている」

 

イランの最高指導者ハーメネイー師は、「タンタンとシンドバッド」について、次のように記しています。「私もいつも同じことを言っていた。多くの人が信じなかったのは残念だ。今後は私も楽になる。この本を子供たちに読ませればいいのだから」

 

ミールキヤーニーは、「タンタンとシンドバッド」について次のように語っています。「この本の中では、実際、最高指導者は文化的な攻撃について訴えており、私もそれに不安を抱いていたことを示そうとした。実際、今日の世界は、文化的な画一化に向かっており、それが続けば、文化的な抵抗がなくなると共に、西洋文化に支配される。この本の中で、私は、子供たちのために、文化の画一に対する抵抗を描きたかった」

 

「タンタンとシンドバッド」の作者はさらに、次のように語っています。「とはいえ私は、物語のプロット以外にも、主な読者である青少年のために好ましい雰囲気を作ろうと努めた。そのため、風刺を利用して真の物語を語り、青少年に印象付けようとした」

 

タンタンとシンドバッドは、出版から25年、14回改訂され、多くの子供たちに読まれてきましたが、その可能性は、それ以上のものだと言えます。このことから、西側の物語による文化的な攻撃が高まっている今、イラン最高指導者のこの本に関して提示された言葉は、再び注目を集めているのです。