4月 02, 2022 06:22 Asia/Tokyo
  • ファルヴァルディーン月13日は、緑の空間で過ごす“自然の日”
    ファルヴァルディーン月13日は、緑の空間で過ごす“自然の日”

イラン暦ファルヴァルディーン月13日にあたる2日火曜は、「自然の日」です。

「自然の日」は、ノウルーズの祝祭の最後の日です。自然を愛するイランの人々は、この日、昔からの慣習に従い、家から出て、野原や森など、雄大な自然の中で、ノウルーズ最後の日を家族や親しい人々と、喜びとともに過ごすのです。

 

 

ノウルーズの慣習では、ファルヴァルディーン月13日は、自然と、自然の中の秘められた恩恵に敬意を示す日、また、自然に共感する日とされています。あえて言えば、この日は、実質的な春の祝祭なのです。自然がみずみずしさを取り戻し、人々を引き寄せます。この慣習のルーツを調べてみると、自然と触れ合うことやそれを保護することの影響を理解することができ、最終的には次世代の利益になるのです。

イランの人々は、常に自然の中にいることの影響を理解し、問題や悲しみを遠ざけ、喜びを引き寄せる中で、自然を活用しており、自然の日は、その慣習により、人々の喜びを高める上で大きな影響があります。

シーズダー・べダルという自然の日に外に出る慣習は、イラン各地で様々な方法により広がっています。この日、イランの自然は特別な美しさを持っています。いたるところで花が咲き、人々の前で春のみずみずしさを見せています。

イランの人々の多くが、この慣習において街中の公園や果樹園の中ですごし、都市部の緑地を活用するほど、彼らはこの日を自然の中ですごしたいと考えています。

テヘランの周辺の標高の高い場所は、野生の花やすんだ泉の水、きれいな空気により、その美しさを増しており、観光や登山などに最適な場所となります。また、自然の日、ラヴァーサーナートやダルバンドといったテヘラン郊外は、春の日に敷物を広げ、自然の恩恵を利用している家族であふれています。

テヘラン西部・ターレガーンの美しい自然

 

山岳地帯に住む人々も、自然の日、山すそや野原に行き、山の涼しい気候を堪能します。また、イラン西部のザーグロス山脈の地域では、雪を抱いた山や深い谷、すんだ水を持つ泉や、驚くべき滝、自然の森などが見られます。

毎年、春や夏に多くの人が訪れる自然スポットに、イラン中部・ロレスターン州にあるアーブセフィードの滝があります。この滝は、アリーグーダルズという町から90キロの標高の高い場所にあり、胡桃や樫などによる美しい林があります。

アーブセフィードの滝は、白い衣装の花嫁の姿にたとえられるように、イランの最も美しい天然の滝とされています。この滝のそばに行き、その水音を聞き、その周囲の驚くべき自然を目にすれば、これまで以上に創造主の力と偉大さを理解するようになるでしょう。

ロレスターン・アーブセフィードの滝

 

イラン西部・ザーグロス山脈の山岳地帯に住むサナンダジの人々も、毎年、自然の日、アービーデル山の裾野やその森林公園などに行きます。

イラン中部・イスファハーン州ハーンサール近郊のゴレスターンクーフの美しい野原も、美しい景色や、そこにしかない植物が生えていることから、自然の日に多くの観光客が訪れる場所となっています。春には珍しい赤や黄色の逆さチューリップや薬草などがこのゴレスターンクーフで見られます。この野原のいたるところにある泉も、その美しさを増しています。

イランの北部と南部も、海に近いことから、春はすばらしい場所になります。年間を通してイランの観光客が訪れる北部の森は、この自然の日、地元の人だけでなく、ノウルーズの休みの期間を北部で過ごすために訪れた人々も来る場所となっています。

ゴレスターンクーフの美しい野原

 

古代遺跡ペルセポリスに比較的近いマハールロー湖周辺やガラートの散策地区、サドラー郊外の自然地区なども、自然の日に自然を愛するこの地域の人々が訪れる、イラン南部シーラーズ近郊の自然スポットとなっています。

イラン南西部アーバーダーン、ホラムシャフル、そのほかのフーゼスターンの人々も、この自然の日に家から出て、自然のある近郊の地域に出かけます。

ファルヴァルディーン月13日に広まっている慣習の一つに、家族が、ノウルーズの飾り物のために育てていたサブゼ、つまり草を川などに流してから、戻るというのがあります。

この自然の日の食事は、通常、前もって家で作るか、あるいは材料をすべて自然の中に持っていき、その場で調理するか、という形で用意されます。自然の中ですごすシーズダヘ・ベダルで最も人気のある食事のひとつは、スープ状のアーシュという食事です。麺のようなものが入ったアーシュレシュテ、ヨーグルトが入ったアーシュドゥーグ、様々なものが入ったショレガラムカールなど、様々な地方のアーシュは、春の新鮮な野菜類を使います。

ファルヴァルディーン月13日は、緑の空間で過ごす“自然の日”

 

アーシュだけでなく、砂糖とミント、酢で作られるセキャンジャビーンという飲み物とレタスを一緒に食べたり、あるいはナツメヤシやぶどうのシロップを飲むことも、この日の慣習とされています。イラン西部の一部の人々は、シーズダヘ・ベダルの昼食に、クーフテという大きなミートボールのようなものをつくります。また、サブジポロウという香草入りのピラフと魚、キャバーブもこの日によく食べられます。

テヘランの人々の間でも、自然の日の慣習は過去と同じように実施され、ドライフルーツや食事は特別な重要性を有しています。テヘラン州に住むほとんどの家族は、自然の日にキャバーブなどを作り、このため、いたるところでキャバーブを焼く煙が立ち上っています。

普通、自然の日は、友好を深めるのによい機会です。なぜなら、人々が集まって、家族とともに行動し、公共の場所では、社会的な交流が、プライベートな場所よりも多くなっています。この日はゲームがよく行われたり、冗談がよく言われたりすることから、社会的な関係が強化される要因となります。

イラン人のシーズダー・べダル

 

自然の日は、自然を正しく活用して、文化を高め、安定させる日です。毎年、イラン各都市の多くの機関が、この自然の日を安全で、喜びのある日にするため、努力しています。

このため、都市部の公園などでは、市民のための計画が準備されます。ごみ袋の配布や、果樹園などの自然の場所におけるごみ収集車の巡回は、この自然の日に行われる計画です。

自然の場所を維持するための文化の形成を目的とし、そしてごみの管理について教育するためのプログラムの実施も、この自然の日に際して行われています。これは人々が、ノウルーズの最後の休みを、友情ややさしさにあふれた雰囲気の中で、自然とともに終え、新鮮なエネルギーに満ちた精神により、新しい年の仕事や努力を始められるようにするためのものなのです。

 

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