イメージが語るイラン
薔薇の国イランでのローズウォーター作り
ローズウォーター作りは、イランの文化と伝統に根ざすものであり、バラを生産するイランの14州では、一年に一度のこの儀式を年々より盛大に行っています。中でも、イラン中部のエスファハーン州カーシャーンとファールス州メイマンドにおけるバラ摘みとローズウォーター作りは、観光客にとって春の季節の最も魅力的な見どころとなっています。
イランでのローズウォーター作りは、その年の気候により変動があるものの主に5月初旬から6月末にかけて行われ、毎年国内外から数千人の観光客がこれを見に訪れています。
別名ダマスクローズとも呼ばれるペルシアンローズは、イランで何世紀にもわたり植えられてきました。生産地では5月になると、この品種のバラを育てる畑や温室がピンク色に染まる様子が見られます。
カーシャーンは今日、世界におけるローズウォーター作りの中心地となっています。この街のローズウォーター作りは、大半がガムサルとニヤーサルの2つの地区にある作業所で行われます。この2地区にジョウシェガーンとバルゾクを加えた4地区のローズウォーター生産量は1万5000トンを超えており、他の国々へも大量に輸出されています。
カーシャーンやメイマンドの村々では、バラの花が咲くと男女問わず総出で庭や畑でのバラ摘みにいそしみます。バラ摘みはほとんどの場合、早朝の気温が高くなる前の時間に行われます。
バラ摘みの際には何百もの花輪が作られ、子どもたちは笑顔でこれをかぶります。
イランの一部の村では、バラ摘みの季節に花嫁の頭上からバラを降り注ぎ、その幸せを祈る習慣があります。
ゴル・ガルターンは、バラ摘みの際に行われる儀式の一つです。
この儀式では、1歳未満の子どもをバラの花の上に置き、その子が平和で幸せな人生を送れるように祈ります。
バラ摘みは、老若男女かかわらず大切な相手に愛情を示す機会にもなっています。
摘まれたバラは、大きな籠や袋に集められます。
摘んだ後に洗浄されたバラの花からは、良いローズウォーターを抽出することができます。
純度の高いローズウォーターは、バラの花を大きな銅製の釜で加熱し蒸留することで作られます。
伝統的な方法によるローズウォーター抽出では、まず銅製の釜に約30キロのバラの花を入れ、そこに80リットルの水を加えて火にかけます。そして釜に銅製の蓋をかぶせ、蒸気で圧力がかかるように重しをおきます。仕上げに、釜と蓋の隙間を、泥や小麦を混ぜた特殊な生地でふさぎます。
イラン産の純度の高いローズウォーターは、このようにして出来上がるのです。