ラマザーン月、聖なる月(4)
(last modified Tue, 12 Apr 2022 15:44:00 GMT )
4月 13, 2022 00:44 Asia/Tokyo

今回は、ラマザーン・断食月の効用のひとつ、意志の強化についてお話しましょう。

ラマザーン月の効果や恩恵は数多くあり、どの効果に注目するのかは人それぞれです。しかし、この月の恩恵により多くあずかる人とは、決まった時間に飲食を控えることといった決まりごと共に、この宗教義務の教育的な側面にも注目する人たちです。断食の教育的な効果のひとつは、意志が強化されることです。

 

意志とは、人生の重要な局面や困難な場面において何をしようとするかという気持ちです。一部の人は、意志の弱さに苦しみます。意志の弱さのしるしの一つは、常にすべきことを遅らせ、通常、何かを始めることを先延ばしにすることです。

 

また、意志の弱い人は、しかるべき時に正しい決断を下すことができません。彼らは常に、自分の決定を疑いやためらいとともに下したリ、他人の意見に従ったりします。意志の弱い人は、大抵、忍耐力もありません。例えば、何かを始めても、問題が起こるとそれに耐えることができません。そのため、すぐに苛立ち、それを続けることをあきらめてしまいます。

 

心理学者らは、意志の弱い人たちに対し、ラマザーン月の断食によって意志の強さを鍛えるよう勧めています。断食は、抵抗力を高めるための訓練であり、意志を強化します。断食とは、真の忍耐力を実現することです。

 

実際、断食は、欲望との戦いであり、本能に抗うことです。本能による支配は、人間にとって最も危険な支配であり、人間の意志を奪い、人間を卑しくします。そのため、イスラムでは、欲望との戦いは、「大きな神の道における戦い」を意味する言葉で呼ばれています。なぜなら、それには強固な意志が必要だからです。

 

断食は、一か月を通して行われる教育的な計画です。この1か月は、誤った習慣を捨てる上で大きな効果があります。断食は、ラマザーン月という機会を利用し、生活や行動に根本的な変化をもたらすものです。ラマザーン月、人々は自分の行動にいつも以上に気を付けるため、過ちを犯しにくくなります。

 

断食は、自分の心の欲望に抵抗し、自分の考え方や行動を罪から遠ざけますが、そのような忍耐の経験を、生活のすべてにおいて活用することができます。シーア派初代イマーム、アリーは次のように語っています。

「最高の人間とは、欲望と戦う人であり、最も強い人間とは、自分の欲望に打ち勝つ人である」

 

ここで、コーラン第2章アル・バガラ章雌牛、第2節から5節をお聞きいただきましょう。

「これはそれが真理であることに全く疑いのない書物であり、敬虔な人々の導きの源である。彼らは目に見えない事柄を信じ、礼拝を行い、我々が日々の糧として与えたものの中から施しをする。また彼らは汝に下された事柄と汝以前に下された事柄を信じる。彼らは来世を確信している」

 
コーランはすべての人を導く書物です。しかし、その恩恵にさずかるのは、敬虔な人間です。神は朗誦された節の中で、敬虔な人間の特徴として次の6つを挙げています。

アナ2

第一の特徴とは、目に見えないことを信じることです。敬虔な人間とは、目に見えない事柄を信じる人々です。基本的に、世界は目に見える事柄と見えない事柄に分けられます。目に見える事柄とは、実際に感じ、見たり聞いたりし、触ることができるものです。一方で見えない事柄とは、人間の五感を超えたものであり、その例のひとつが神です。

 

敬虔な人間の第二の特徴は、礼拝を行うことです。敬虔な人は礼拝を注意深く行い、その内容を人生において実践します。

 

第三の特徴は、施しです。施しをすることとは、宗教的な理想や気高い目標の道に財産を費やすことを意味します。

 

第四、そして第五の特徴は、預言者ムハンマドに下された啓示と、それ以前に下された啓示を信じることです。つまり、人間の導きの源となる要素のひとつは、啓示を信じ、それを受け入れることです。なぜなら、神を信じていたとしても、啓示を信じていない可能性があるからです。そのため、コーランでは、多くの箇所で、神に続いて預言者にも従うようにとしています。

 

敬虔な人間の6つ目の特徴は、来世を信じることです。来世とは、現世の次の段階です。宗教ではまず、人々に対し、死によって人生が終わるわけではなく、死後には報奨や懲罰の清算があること、現世は行動の場であり、来世はその行動の結果を得る場所だということを教えています。

 

ここからは、ラマザーン月の正しい栄養のとり方と断食の医学的な効用についてお話ししましょう。

 

医学や経験から、食べ過ぎは多くの病気の原因になることが証明されています。健康の観点から、食べ過ぎはよくないとされ、まだ食欲があるうちに食べることをやめることが勧められています。

 

食べ過ぎを避ける人は、常に満腹になるまで食べる人よりも健康であることが分かっています。イマームアリーは、病気の予防について、息子のイマームハサンに言いました。「医者が必要でなくなるための4つの事柄を教えよう。まず、空腹ではない限り、食事の席につかないこと。次に腹が満たされる前に食事をやめること、よく噛んで食べること、そして満腹の状態で眠らないことだ」

 

現在、断食は健康に重要な要素として、世界の医学界でも注目されています。これはイスラムの預言者の導きの結果です。預言者はこのように語りました。「断食をしなさい、健康を保てるように」 フランスの生理学者は次のように語っています。

 

「断食の必要性はすべての宗教において強調されている。断食ではまず、空腹が、次に神経への刺激が、そして弱さが感じられる。しかし同時に、非常に重要な変化が起こり、体の内側のバランスが保たれるようになる」

 

フランスの研究によれば、断食はがんなどの予防につながるとされ、アルツハイマーや老化を防ぐ効果があることが分かっています。断食が体に及ぼす効果に関する研究を行った学者は、論文の中で、断食による病気の治療について次のように語っています。「50年間で5万人以上の慢性的な病気を持つ患者が、断食によって病気を治した」

 

研究者らは、断食は、食事摂取量の20%から40%を減らすことで、体の免疫力を高めると考えています。断食には、体にたまった有毒な物質を排除し、消化器官などの臓器を休ませる効果があるとしています。

 

消化器官は、体の中でも常に活発に働いている器官のひとつです。ラマザーン月、断食を行う人の消化器官はそれを休ませることができるため、この臓器の病気にかかりにくくなります。

 

ラジオ日本語のユーチューブなどのソーシャルメディアもご覧ください。

https://twitter.com/parstodayj

https://www.instagram.com/parstodayjapanese/

http://urmedium.com/c/japaneseradio