ハッジ・メッカ巡礼者に寄せた最高指導者のメッセージ(音声)
イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師が、神の家の巡礼者に寄せたメッセージの中で、パレスチナへの支援とその救済は、イスラム共同体の絶対的な責務だとしました。
慈悲深く、慈愛あまねき、神の御名において
賞賛は、世界の主である神のみのためのものである。神の最後の預言者であるムハンマドと、選ばれた援助者たちや彼の清らかな一門に平安あれ
今年も、メッカ巡礼の遂行という幸福を、世界中の大勢の敬虔な人々に与えてくださった偉大なる神に感謝を述べる。これによって彼らは、この豊かで恩恵に溢れる源を享受し、その貴重で祝福に溢れた昼夜に、奇跡的な万能薬のように、心を大きく変え、魂を清らかなものにし、壮大な神の家の傍らで、神を崇拝し、神の名を唱え、頭を垂れ、服従を表すことができる。

ハッジ・メッカ巡礼は、神秘に溢れた礼拝であり、神の家であるカアバ神殿は、神の恩恵に溢れた場所であり、至高なる神の節と明証の象徴である。ハッジは、敬虔な僕、謙虚で熟慮する人々に精神的な地位を与え、気高く光り輝く人間を作ることができる。また、神の道において努力し、行動的かつ勇敢で洞察力のある人間を生むこともできる。この類まれなる宗教義務における、精神的、政治的、個人的、社会的な側面のどちらも、非常に優れた明らかなものであり、イスラム教徒の社会は今日、そのどちらの側面も強く必要としている。
最新の手段を利用した物質主義という魔法が、現在、誘惑的で堕落を生みつつある一方で、覇権主義体制の政策が、イスラム教徒の間に対立と混乱を生み出し、イスラム諸国を対立と情勢不安の地獄に変えている。
ハッジは、イスラム共同体の、この2つの大きな問題を解消する薬となりうる。人々の心から錆を取り払い、敬虔さと神への知識の光で照らし、イスラム世界の苦い出来事に対して人々の目を見開かせ、それに対抗するための意志を強固なものにし、歩みを確かにすると共に、行動に向け、手や頭の中の準備を整えさせる。
現在、イスラム世界は情勢不安に陥っている。道徳的、精神的な混乱と政治的な混乱。その主な原因は、我々の怠慢と敵の残忍な攻撃である。我々は、卑劣な敵の攻撃に対し、宗教的、理性的な責務を果たしていない。
不信心者に対する厳しい態度を忘れてしまい、同時に、互いに寛容になることも忘れてしまった。その結果、シオニストの敵は、イスラム世界の中心で混乱を引き起こし、我々は、パレスチナの救済という絶対的な義務を怠り、シリア、イラク、イエメン、リビア、バーレーンの内紛と、アフガニスタンやパキスタンでのテロとの戦いなどに明け暮れている。
イスラム諸国の首脳、イスラム世界の政治、宗教、文化界のエリートたちは、重大な責務を負っている。その責務とは、全ての人の宗教的、民族的な排他主義を停止させ、団結や統一を作り出すことである。その責務とは、シオニズムと覇権主義の裏切りや敵対の方法を人々に教えることである。また、全ての人に、ハードな戦争とソフトな戦争のさまざまな場面において、敵に対抗するための手段を身につけさせることである。イスラム諸国で起こっている悲劇的な出来事を即時に停止させることである。現在、イエメンの出来事をはじめとするその苦々しい例が、世界中に抗議と悲しみを招いている。またその責務とは、ミャンマーなどの虐げられた人々をはじめとする、圧制下にあるイスラム教徒の少数派を断固支援することである。そして何より重要なのは、パレスチナを支援し、70年近く、強奪された自分たちの国のために戦っている国民に、無条件に同調し、協力することである。
これらは、我々すべてが負っている重要な責務である。各国の国民は、それを自国の政府に求めるべきである。エリートたちは、強い決意と純粋な心によって、それを実現するために努力する必要がある。これらは皆、神の宗教を助けることに相当する。そしてそれには疑いなく、神の助けがあるだろう。
これらはハッジの教訓の一部である。諸君がそれを理解し、実行することを望んでいる。
諸君の今回のメッカ巡礼が神に受け入れられるよう祈っている。また、(2年前の)メナーとマスジェドルハラームの殉教者に追悼を捧げ、慈悲深く偉大な神が、彼らに高い地位を授けてくださるように祈っている。
セイエドアリー・ハーメネイー
イラン暦1396年シャフリーヴァル月7日
イスラム暦1438年ゼルハッジャ月7日