イランの輸出振興と見本市産業
(last modified Thu, 23 Nov 2017 13:49:46 GMT )
11月 23, 2017 22:49 Asia/Tokyo
  • イランの輸出振興と見本市産業
    イランの輸出振興と見本市産業

先ごろ、テヘランで「イラン・エキスポ2017」と呼ばれる国際見本市が開催されました。

イランの輸出の可能性に関する「イラン・エキスポ2017」国際見本市は、10月31日から11月3日まで、テヘランで開催されました。この見本市には、国内の500の輸出業者の他、ドイツ、フランス、イギリス、オーストリア、ロシア、スペイン、トルコ、ブラジル、インド、中国、日本など、世界43カ国から600人が参加しました。

 

イランのシャリーアトマダーリー商鉱工業大臣は、開幕式で、イランの経済発展における見本市の重要な役割に触れ、「年間320を超える見本市がイランで開催されており、また、世界の60箇所で開催される産業や学術に関する見本市に、イランが参加している。イランは、世界の重要な見本市の多くに積極的に参加しており、イランの経済活動家は、これらの見本市で、イランの若い力を紹介している」と語りました。

イランの輸出振興と見本市産業

 

今日、商業の世界において、関係を築き、市場を獲得するための重要な手段のひとつが、見本市に参加することです。市場を獲得するための手段に関して、2004年にドイツの企業の関係者を対象に実施した世論調査の結果、見本市に参加し、直接、市場を獲得することは、宣伝などの別の手段よりも優先されていることが分かりました。そのため、多くの国では、市場を獲得するための最良の手段は、見本市への参加だと考えられています。たとえば、アメリカでは、企業の宣伝費の14%が、見本市への参加にあてられています。

 

見本市は、生きた宣伝活動と呼ぶことができます。見本市では、生産者、分配者、消費者、そして製品やサービスが、一堂に会することができます。見本市は、情報を交換し、新たな技術や産業を知り、技術を移転する場であり、ある国や地域のさまざまな分野に関する発展の状況や能力を紹介する場でもあります。見本市の開催は、国内や国際レベルの健全な競争の土台を整えると共に、世界の多くの国で、輸出を増やし、世界各国の市場に参入することを目的としています。そのため、見本市への参加は、製品を売るために効果的な宣伝手段のひとつとなっているのです。

 

現在、見本市とその開催につながる一連の活動は、見本市産業として知られています。以前、産業とは、原材料の形を変え、それを人間が日常生活で使えるような手段にするものを指していました。しかし、今日、建設的なアイデアや手段を利用することで収入につながるような管理やソフトウェアの技術を含めたすべてが、産業として知られています。調査によれば、見本市産業は、世界経済において、少なくとも3000億ドルの資金を回転させているということです。

 

イランの経済面での変化は、この数十年、数々の見本市の開催や、それへの経済活動家の参加の中で、その影響を十分に示してきました。1979年のイスラム革命勝利前まで、1年間に開催される商業に関する国際見本市は1回のみ、国内の見本市も数回に限られていました。そして、国内の生産者の参加率も非常に低いものでした。外国の参加者も、イランの市場を、広大な消費市場と見なしていた企業のみでした。そのため、展示される製品の大部分は、消耗品などに限られていました。

 

イランイスラム革命の勝利から40年近くが経過した現在、鉱工業、農業、サービスなど、さまざまな分野に関する数百の国内・国際見本市が開催されています。これらの見本市で紹介されたイランの製品の技術や質の高さにより、外国の企業も、イランの見本市に参加するために努力しています。

 

イランの多くの見本市は、国家、地域、国際レベルで、食料、工業、じゅうたん、繊維、皮革、衣服、家電、伝統工芸、医療設備、石油化学など、さまざまな分野に関して専門的な形で開催されています。

 

産業部門では、イランの輸出用の工業品の多様性に注目し、見本市のブースのほとんどは、国内の生産者や企業に割り当てられています。イランのこの分野の生産業者の成功により、1991年の初めには10億ドル以下だった工業用品の輸出額が、2014年には、300億ドルを超えました。これは、制裁によって、イランの輸出業者に取引上の制限が存在した中でのことです。

 

この他、見本市開催に関して行われてきた活動のひとつは、ハイテク産業に関するものです。イランの外貨収入の一部は、近年、ナレッジベース企業の成長に負っています。

 

現在、イランでは、3000社のナレッジベース企業で、8万6000人が働いています。その分野は、バイオテクノロジー、ナノテクノロジー、ハードウェア、電子、通信、情報技術など、多岐にわたります。

 

これまで、ナレッジベース企業の活動分野に関するさまざまな見本市が開催されてきました。バイオテクノロジー国際見本市、イノベーション・テクノロジー国際見本市、ロボカップ、通信国際見本市、ナノテクノロジー見本市、情報技術見本市、デジタルメディア見本市などがその例となっています。

 

こうした見本市の開催目的は、技術を交換することにあります。このような見本市の開催によって、ナレッジベース企業やサイエンスパークの関係者が、この分野で活動する国際企業の重要な業績と触れ合うことにより、イランの製品を他国の市場に紹介するための努力が行われています。この3年間に、サイエンスパークの複数の企業が、ナレッジベースの製品を他国の市場に売却し、5億ドル以上の収入を得ることに成功しています。

国際分野でも、ナレッジベースのサービスは、年間1兆5000億ドル以上の外貨収入を輸出業者にもたらします。イラン経済のサービス部門は、この数年で、イランのGDPを50%以上

成長させました。サービス部門には、運輸、技術サービス、観光、金融サービスなど、さまざまな部門が含まれています。

 

ナレッジベースサービスに関しても、運輸・都市サービス国際見本市、環境・安全・衛生国際見本市、チェーンストア設備見本市など、数々の見本市が開催されてきました。これらの見本市は、イランのサービス部門の可能性や能力を、世界の人々、特にこの見本市に合わせてイランを訪問する他国の経済代表団や見学者に紹介する機会となっているのです。