ノウルーズのイラン人の風俗習慣
(last modified Thu, 25 Mar 2021 09:30:00 GMT )
3月 25, 2021 18:30 Asia/Tokyo

私たちイラン人の歴史は、宗教的な結びつきによる精神的な儀式に溢れています。

イランの新年、ノウルーズの古代の祝祭は、世界でももっとも古い精神的な儀式として、イランの人々の伝統的、精神的な遺産と見なされています。この古代の祝祭は、さまざまな伝統や風俗により、世界中の多くの人に、幸福、希望、平和を伝えています。

毎年、春が近づき、自然における変化が始まると、イランの人々は、美しい風俗習慣により、ノウルーズを迎えようとします。今日は、イランの新年です。この日に際し、イランにおけるノウルーズの伝統と風俗習慣についてお話しましょう。


ノウルーズの風俗や伝統は多様性に溢れています。その一部は一年の終わりに関するもので、実際、新しい年を迎えるための準備であり、その一部は、年の移り変わりと新年に入ってから数日間に関するものです。

ノウルーズの準備
毎年、新しい年を迎える数日前には、イランの町のバザール・市場は多くの人でごった返します。それは、人々がノウルーズの期間の服や家の中の道具、乾燥ナッツやお菓子を買うためです。イランの人々は新しい年を、新しい服を着て迎え、最高の食べ物で客人をもてなし、新しい年に生活の中に変化をもたらしたいと考えています。

ハフトスィーン
ハフトスィーンと呼ばれる飾り物は、ノウルーズの美しい習慣のひとつで、新しい年を迎える精神的な瞬間に、家族が集まるためのきっかけ、喜びと新鮮さの象徴と見なされています。春の初め、新しい年の始まりに、家族がそろって家の中を掃除し、飾りをつけ、体を洗って新しい服を実につけ、ハフトスィーンと呼ばれるノウルーズの飾り物の傍らに座り、愛情と喜びに溢れた雰囲気の中で新しい年を迎えます。

ハフトスィーンには、ペルシャ語のアルファベットのSで始まり、豊穣や芽生えを表す7つの食べ物や植物が並べられます。この飾り物には、再生の象徴である青草、麦芽のお菓子のサマヌー、健康や美しさを象徴するりんご、なぐさめや生まれることを表すほそばぐみ、人生における喜びや健康を表すにんにく、そして忍耐を表す酢などがあります。

ハフトスィーンには、他にもいろいろなものが並べられます。出産や創造を象徴する卵、透明性や一体感を表す鏡、恩恵と明るさを表す水、生命と躍動感を表す金魚、そして、労働の繁栄と資本を表す硬貨、明るさや光、熱を表すろうそくです。

杉の木の枝やヒヤシンスなども、ハフトスィーンに飾られ、春の訪れの香りで包みます。また、大抵、お菓子もハフトスィーンに並べられます。これら全ての傍らで、イスラム教徒の聖典コーランが特別な地位を有しており、ハフトスィーンに欠かせないものとなっています。

ハフトスィーン

 


年の移り変わりの瞬間の祈祷
年が移り変わる瞬間、人々は精神的な雰囲気の中で、その瞬間の祈祷を行います。

「心と目に変化を与える者よ、昼と夜をめぐらせる者よ、状況を変化させる者よ、私たちの状態を最高の状態に変化させてください」

それから、コーランの節を読み上げます。通常、年が移り変わった後、家族の年長者が、お年玉やプレゼントを家族に与え、皆がおいしいお菓子を口に入れ、互いにお祝いの言葉を交わします。

イラン人の家庭の中には、宗教的な信条に基づき、年の移り変わりの瞬間を巡礼地や宗教施設で迎える人々もいます。彼らは、これらの場所に埋葬されている人々の尊厳や知識の恩恵に授かります。年の移り変わりの瞬間を、祈祷や神への賞賛により、こうした精神的な場所で迎えることは、人々の心に光と新鮮さを与えます。そのため、毎年、イラン北東部の聖地マシュハドにあるイマームレザー聖廟や、テヘラン南方のゴムにあるマアスーメ聖廟、南部シーラーズのシャーチェラーグ廟、その他の巡礼地には、多くの人々が訪れます。


親戚や友人の訪問
毎年、新しい年を迎えた後には、親戚や友人を訪問しあう習慣が始まります。これはノウルーズの最も美しい贈り物です。この贈り物は、人々の心を互いに近づけ、親戚や友人同士で近況を知り合うきっかけになります。年長者はイランの文化において、特別な地位を持つことから、年少のものが、まず、年長の人々の家を訪れることになっています。通常、ノウルーズの訪問は、子どもたちが祖父母や両親の家を訪れることから始まります。

こうした訪問には、必ずお返しの訪問が行われます。そのため、一年の初めには、さまざまな部族や友人の間で繰り返し訪問が行われ、贈り物を交換したり、果物やお菓子を食べたりして過ごします。人々はこのような訪問により、憎しみを心の中から追い払い、代わりに愛情を抱こうと努めます。その前の年に家族を失った人々の家には、弔問に出かけ、亡くなった人のために祈りを捧げます。

一部の人々は、病気の人を見舞います。ノウルーズの際、病院や児童福祉施設では、愛情に溢れた非常に美しい光景が見られます。


ノウルーズの旅行
多くのイラン人は、春になると、ノウルーズの風俗習慣と共に、イランの各地を訪れ、日常の生活に変化をもたらそうとします。そのため、ノウルーズの春の始まりは、イランの各地を訪れるのに貴重な機会とされ、この期間はどこの都市も多くの旅行者でにぎわいます。

ノウルーズの休暇の終わり
イラン暦の1月、ファルヴァルディーン月の13日、多くの家族が友人や親戚と共に、新しい年の儀式を自然の中で行い、春の美しい自然に囲まれながら、この休暇を終えるのです。

 

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