3月 12, 2024 18:43 Asia/Tokyo
  • 「テロとの戦い」を名目にイスラム諸国への戦争を開始したブッシュ元米大統領
    「テロとの戦い」を名目にイスラム諸国への戦争を開始したブッシュ元米大統領

反イスラーム主義者はこの宗教を「暴力的」などと非難し、平和や共生といった概念とは相容れないなどと喧伝します。

イスラームの聖典クルアーンの各章は、「慈悲あまねく慈愛深い神の名において」という文言から始まります。それだけ本来は友愛にあふれた宗教であるイスラームが、なぜ暴力的なものとして紹介されるのでしょうか? 4つの原因を探ってみます。

 

1.政治的偏見

政治的偏見はイスラーム嫌悪の主な要因

 

イスラームに対する誤解の多くは、敵が拡散する政治的偏見が原因です。イスラームは他の宗教と違い、信仰にもとづく政治的統治を強調します。そのため敵対勢力は、イスラームを暴力的で国民を恐怖支配に陥れるものとして喧伝し、イスラーム的政治の実現を妨害するのです。

 

2.地域専門家の誤解

 

イスラームに対する偏見思想を持っていた学者ゴルトツィーエル・イグナーツ

 

一部の地域専門家は、宗教文献を正確に理解していないだけでなく、イスラームとは何の関係もない政治指導者の行動をイスラームと関連付けて解釈しています。西アジアでは、歴史の一時期あるいは現在、王やカリフと名乗る統治者が力による支配を行ってきたことがありました。一部の専門家はイスラームを正確に学ぶことなく、そうした統治者の行動を見て自らの意見を述べてきました。個人の行動を宗教全体に結び付けるのは正確ではありません。

 

3.偽のイスラームの台頭

 

西側諸国から組織的に武器を受け取っていたISIS

 

もうひとつの原因は、ISISやアルカイダなどイスラームを騙った過激テロ組織の存在です。こうした組織は西側の諜報機関の支援を受け、一時期イラクやシリア、アフガニスタンなどを支配しました。これらの組織が保有していた大量の武器が西側諸国からのものであったことも、そのことを証明しています。世界の大半のムスリムは、こうしたテロ組織を嫌悪しており、それがイスラームにもとづくものではなく、西側による植民地支配の一形態とみています。クルアーンのアル・マーイダ(食卓)章第32節には、無実の人間1人を殺すことはすべての人間を殺すことに等しいと記されています。ISISやアルカイダなどが行った行為は、まさにこれに該当します。

 

4.「ジハード」の曲解

テロリズムは宗教・信仰とは無関係

 

あらゆる生き物は自らが生存し続けるために、その障害を取り除こうと努力します。それと同じように、ムスリムも宗教上定められた自らの権利を守るために、敵に抵抗しなければなりません。このことは人間の本能でもあります。植民地主義者がムスリムを侵略した場合、ムスリムはただ黙って受け入れなければならないのでしょうか? ジハードとは、植民地支配のような攻撃に対する抵抗であり、他者への攻撃を意味するものではありません。預言者ムハンマドも数々の戦いを指揮しましたが、これらについて学べば、そのいずれもが自らを守るための戦争であったことがわかります。

 

クルアーンには繰り返し友愛が説かれている

 

クルアーンの章句や高潔な宗教指導者の言葉に触れれば、真実がわかるはずです。またそうした指導者の行動を、文明国を自認する西側諸国のそれと比較してみれば、より明瞭になることでしょう。


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