6月 30, 2022 15:03 Asia/Tokyo

イランの広大な大地は、多くの自然や観光名所を有し、エコツーリズムの可能性という点で、世界のトップ5に名を連ねています。このシリーズでは、イランの自然の恵みをご紹介して参りましょう。

イランは広大な領土を有し、四方を高い山々に囲まれています。イラン北部に聳えるアルボルズ山脈は、カスピ海沿岸と内陸の地方を二つに分断しています。また、イランの西部から南部に伸びるザグロス山脈は、高山が連なり、小高い丘、山、神秘的な岩や洞窟など、自然の魅力に満ちています。

イラン西部・ザンジャーン州にあるキャタラホルという名の洞窟も、イランが有する美しい自然のひとつです。今回は、このキャタラホルという洞窟について、ご紹介することに致しましょう。

 

●キャタラホル洞窟

 

イランでこれまでに発見された洞窟の中でも、このキャタラホル洞窟は、非常に美しく、誰もが気楽に訪れることのできる場所にあります。この洞窟は、他にはない魅力を持ち、地質学の点でも注目に値します。また、自然の見所としても、洞窟がもつすべての特徴をあわせもっており、この点で、世界でも珍しい洞窟のひとつだと言えるでしょう。イランの洞窟は、形成過程によって、3つのグループに分けることができます。中でも最も美しいのが、天然の洞窟です。このグループの洞窟として代表的なものが、西部のハマダーンにあるアリーサドル洞窟と、今お話しした、キャタラホル洞窟です。これらの洞窟には、環境条件や形成過程の影響により、大小の通路、透明な水、水晶の柱が存在します。

 

キャタラホル洞窟は、イラン西部にあり、ザンジャーン市から南に155キロ、ハマダーンから北に173キロいったところの、ギャルマーブという小さな町の近くに位置しています。この洞窟は、1952年、登山家によって発見され、1億2000万年前に生まれた天然の洞窟として、登録されています。

 

1993年まで、キャタラホル洞窟を訪れることができるのは、完全な装備を整えた専門の洞窟探検家グループに限られていました。しかしその後、この地区の整備が始められ、洞窟の内部に、豊富な光を取り込んだ2350メートルに及ぶ見学ルートが作られました。現在、キャタラホル洞窟は、地域の観光名所とされ、イラン各地から多くの人々が見学に訪れています。

 

洞窟の内部の通路は、時にその幅が、200メートルから300メートルにも及び、様々な方向に枝分かれしています。枝分かれした通路は、行き止まりのこともあれば、狭い通路から、別の通路に続くこともあります。また、まだ発見されていない多くの通路やルートも存在し、これらの面積を正確に見積もることは不可能です。これまで、いくつもの通路の交差点となっている場所は、洞窟の内部に2カ所、発見されています。ひとつは古いもので、洞窟の入り口付近にあります。もうひとつは、この交差点から10メートルから15メートル離れた場所にあります。

 

洞窟の内部の四つ辻や通路では、天井からつららのようにぶら下がる鍾乳石や、床からたけのこのように生えている石が数多く見られます。つらら状の鍾乳石は、石灰分の濃度が高ければ高いほど、透明度が増します。また、様々な成分が含まれているため、この鍾乳石には、色々な色のものが存在します。これらの鍾乳石は、キャタラホル洞窟の最も美しい現象だと言え、特に、洞窟の中にある沼や泉の周辺に見られます。また、洞窟の地層に水がしみこみ、水の深さが浅くなることにより、クリスタルガラスのような鍾乳石が、美しいラインを描いています。

 

現在、キャタラホル洞窟への見学は、文化、レクリエーション、スポーツの3つの部門に分けられています。スポーツ部門は、およそ2キロで、洞窟探検家らによってのみ、利用されています。しかし、それがどこまで続いているのか、最終地点は、まだ発見されていません。レクリエーション部門は、一般開放されている部分で、2キロの直線ルートとなっています。専門家によれば、このルートは、洞窟全体の3分の1ほどだということです。そして最後の文化部門は、洞窟の南側に位置し、天然の通路は様々な催しに利用されています。キャタラホル洞窟は、鍾乳石の質、美しさ、層の多さという点で、世界有数の鍾乳洞とされています。

 

この鍾乳洞の一部には、酸化鉄を含んだ土壌や粘土質の層が見られます。また、洞窟内で人の骨が発見されたことから、専門家は、キャタラホル洞窟の入り口から100メートル離れた所で、原始時代、人間の生活が営まれていたと考えています。キャタラホル洞窟には、石灰の堆積によってできた岩石が数多く見られ、それぞれに、形や史跡になぞらえた名前がつけられています。

 

キャタラホル洞窟は、それが形成されつつあった始めの段階では、水の洞窟でした。しかし、次第に層が幾重にも重なっていくことで、水が下層に染み込んでいき、現在の洞窟の形になったのです。この洞窟の見所としては、美しく透き通った鍾乳石のほか、周辺にある透明な泉や多くの天然のくぼみの存在が挙げられます。キャタラホル洞窟の中には、床から生えた柱が何本か集まった場所がありますが、その中で、最も美しいものは、「花婿と花嫁」と呼ばれています。それは、その形が花婿と花嫁の姿に似ているからです。この洞窟は、形成から1億2000万年が経過し、その間、地震や地殻変動による崩壊など、多くの変化を経験してきました。

 


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