7月 09, 2022 14:30 Asia/Tokyo

イランの広大な大地は、多くの自然や観光名所を有し、エコツーリズムの可能性という点で、世界のトップ5に名を連ねています。このシリーズでは、イランの自然の恵みをご紹介して参りましょう。

ヴァラシュト湖は、チャールースから45キロ、ケラールダシュトの北東の山の中にあります。この湖の面積は、およそ24ヘクタール、深さは17メートルから30メートルで、標高1000メートルの所に位置し、約260万年前の地質時代の第四期以降にできたものとされています。ヴァラシュト湖に行くには、カスピ海沿岸の町、チャールースを起点にテヘランに向かう道路を通り、林の中の曲がりくねった坂道を23キロほど進むと、湖が見えてきます。

 

ヴァラシュト湖は、湖の底とその周辺から湧き出る泉を水源としています。この湖は淡水湖で、マーザンダラーン州の貴重な生態系を含み、様々な種類の魚、カモやガンなどの渡り鳥が見られます。ヴァラシュト湖は、美しい自然を有することから、イランの貴重な自然遺産のひとつに数えられています。毎年、多くの観光客が訪れますが、特に夏には、登山や魚釣りを楽しんだり、爽やかな空気を味わったり、また静寂に包まれた幻想的な場所でくつろいだりと、余暇を楽しむために多くの人々がこの地にやってきます。

 

●ヘサールチャール湖

 

タフテソレイマーンとアラムクーフ、そしてケラールダシュト一帯には、ヴァラシュト湖の他にも、「ヘサール・チャール」という名の湖があります。この湖は、標高3900メートルのところにあり、アラムクーフの山岳地帯にある湖の中でも最も美しく、雪解け水によって生まれたものです。へサールチャール湖の水は非常に冷たく、標高が高いところにあるせいで気温も低いため、夏でも、泳ぐのには適していません。夏にここを訪れた際には、緑色の湖面、冬の間から残っている雪、緑に覆われた周辺の山、そして爽やかなそよ風が、見る者の心に潤いを与えてくれます。

 

この他、ギャルドゥーンクーフという山の頂上付近、標高4000メートルのところには、同じ、ギャルドゥーンクーフという名前の湖があります。これは、鮮やかなトルコブルーの非常に美しい湖です。さらに、タフテソレイマーンとアラムクーフの一帯から、ハフトハーン氷河に向かってしばらく進むと、緑色をした「ハフトハーン」という名の湖に出会います。この湖は、4000メートル級のハフトハーン山の断崖の近くにひっそりと存在しています。空高くそびえる山々と、その傍らの美しい湖、この光景を目にした者は誰でも驚嘆せずにはいられないでしょう。

 

マーザンダラーン州・ヘザールジェリーブ

 

この他、マーザンダラーン州には、「ヘザール・ジェリーブ」という名の地域があり、この場所も、美しい自然を有することで知られています。ヘザールジェリーブは、山岳地帯にあり、その山あいには、比較的広大な平地が広がっています。また、冬の寒さは非常に厳しく、大量の雪が降り、地面や湖面は凍結しますが、夏は爽やかな過ごしやすい気候で、最適の避暑地となっています。概して、ヘザール・ジェリーブでは、爽やかな気候と、豊かな自然を堪能することができるでしょう。

 

マーザンダラーン州南部の自然は、みる者を魅了するものです。州東部沿岸には森林地帯が広がっていますが、そこをのぞむへサールの山々を通過すると、そこには豊かな緑が生い茂る地帯が広がります。この地域は、その広さ、大きな渓谷、山あいの平原の眺望から、ペルシャ語で千ヘクタールを意味する、「ヘザール・ジャリーブ」と呼ばれています。高い山々と、その麓に広がる平原が対照的な眺めを作り出しており、この地域の環境と、そこに住む人々の生の営みを見守ってきました。常に太陽の恩恵に授かる南側の山麓は、ほとんど植物が生えておらず、反対に、太陽に背を向ける形の北側の山麓は、降雨量が多いため、多くの植物に覆われています。このように、2つの山の裾野にある大きな渓谷では、全く異なる自然を目にすることができるのです。このような場所は、非常に珍しいと言えるでしょう。

 

きれいな空気、太陽の強い日差し、麓の放牧地や森林の傍らで草を食む羊の群れ、せっせと畑を耕す村人の姿、心温まる農家独特の家づくり・・・、これらは、ヘザール・ジャリーブの特徴です。また、甘い香りを漂わせる自生の花々、岩の間から湧き出る、澄んだ泉、色とりどりの果実、狩猟場も見られます。マーザンダラーン州には、自然の見所を有する場所が各地にありますが、中でもこのヘザール・ジャリーブは、特に、自然の恵みを愛する人々にとっての楽園であると言えるでしょう。

 


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