ペルシャ語ことわざ散歩(149)「バムのナスは被害を受けない」
皆様こんにちは。このシリーズでは、イランで実際に使われているペルシャ語の生きたことわざや慣用句、言い回しなどを毎回1つずつご紹介してまいります。
今回ご紹介するのは、「バムのナスは被害を受けない」です。
ペルシャ語での読み方は、Baademjaan-e Bam aafat nadaaradとなります。
バムというのは、ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、テヘランの南東に約1000km離れた町で、ユネスコ遺産にも登録されているバムの城砦があり、また2003年に大震災による大きな被害を受けています。
さて、皆様にはきっと、このバムの町とナスにどういう関係があるのか、という疑問が浮かんでくるかもしれませんね。
バムの町はイラン南東部ケルマーン州にあり、その乾燥した気候風土からナスの栽培に適しています。また、ナスという植物の苗木は非常に耐久性が強いとされています。
このため、今回ご紹介することわざは、身体的にはもちろんメンタル面でも非常に打たれ強く、何度も災害や危ない目に遭遇しても生き延びたり、精神的なプレッシャーをもはねのけたくましく生きているような人、またよい意味で非常にしぶとく、他人から受け入れられず、すげない扱いを受けても穏やかで、困難の影響を受けたり挫けたりしない人などを指しています。
また、労せずして成功を手に入れる運のよさについても、この表現が使われることがあるようです。
そして、先ほどもお話したように、バムの町がナスの生育に非常に適しており、ここで育つナスは他の町のナスと比べて色々な被害を受けにくいとされています。このことから非常に恵まれた環境にいる人に対しても、このことわざが使われるということです。
私たちも長い人生を生きていくうえで、幾多の困難や災厄に見舞われることは避けられないかもしれません。今回のコロナ危機も、国や地域に関係なく全人類に降りかかった一大危機だといえます。ですが、今後ともそうした困難に挫けない耐久性を持ち、強くたくましく自らの人生行路を歩みたいものですね。それではまた。