ペルシャ語ことわざ散歩(153)「猫が肉に手が届かず、この肉は臭いと言う」
皆様こんにちは。このシリーズでは、イランで実際に使われているペルシャ語の生きたことわざや慣用句、言い回しなどを毎回1つずつご紹介してまいります。
今回ご紹介するのは、「猫が肉に手が届かず、この肉は臭いと言う」です。
ペルシャ語での読み方は、Gorbe dast-esh be guusht nemi-rese mige buuu mideとなります。
これは、日本語でもよく知られているイソップ寓話に出てくる「酸っぱい葡萄」の物語とほぼ同じように、自らの能力の低さを正当化、あるいは弁護するために、対象を貶めたり、無価値だと主張する負け惜しみを意味しています。
この物語において、狐が狙っていた葡萄を取れずに負け惜しみ、悔しさから「この葡萄は酸っぱくてまだ食べられない」と捨て台詞をはいたことは、皆様もよくご存知のことと思います。
このイソップ物語の内容と同様に、ペルシャ語のこのことわざも自分の能力のなさや至らなさを否定する気持ちからの負け惜しみを意味しています。ちなみに、このことわざは、肉屋さんがちょっと目を離した隙に、猫が店先に吊るしてあった肉を盗み取ろうとしたものの、結局取れないまま、店員さんが戻ってくるのに気づいて慌ててその場から逃げ去り、猫は負け惜しみから鼻をつまんで、「あの肉は臭くて食べられない」と言った、という物語に由来しているということです。
逆に日本語では、「敵ながら天晴れ」、「敗軍の将は兵を語らず」と言われ、自らの至らなさや相手を認める表現が知られています。これは日本の武士道に通じる美徳かもしれませんね。もし今後、ペルシャ語でのこのような表現が見つかりましたら、是非このシリーズでご紹介してまいりたいと思います。どうぞ、お楽しみに。