ペルシャ語ことわざ散歩(160)「ある人の石鹸が誰かの衣服に付着する」
皆様こんにちは。このシリーズでは、イランで実際に使われているペルシャ語の生きたことわざや慣用句、言い回しなどを毎回1つずつご紹介してまいります。
今回ご紹介するのは、「ある人の石鹸が誰かの衣服に付着する」です。
ペルシャ語での読み方は、Saabuun-esh be jaame-ye kasii khordanとなります。
このことわざが意味しているのは、他人から迷惑行為や何かの被害を受けることを意味し、例えば約束を反故にされたり、嫌がらせを受ける、または誰かと一緒に旅行に行った際にその旅の同伴者の言動によりこちらが恥をかく、といった内容です。
さらには、誰かと友達になったり、関係を持つこと、何かを相談しようかというときに、問題の相手は過去に悪い経歴があったり、逆にほかの人の迷惑になったために、そのような人との関係や、その人を相手にするのはやめたほうがよい、という時などにこの表現が使われているようです。
このことわざは、現在で言うクリーニング屋、当時人々の衣服を預かって洗う洗濯屋に由来しています。
昔、あるところに洗濯屋を営む男が住んでいました。しかし、洗濯屋の男は約束した期限までに顧客の服を洗濯しなかったばかりか、特には預かった衣服を破損、紛失することさえありました。このため、もはや彼が住む村の住人は誰1人としてこの洗濯屋を信用せず、顧客が寄り付かなくなっていました。
そんなある日、この男は誰か服を洗わせてくれる人はいないかと、顧客を探しに出かけます。そのとき、服に汚れのついた人を見つけ、その人に「自分は洗濯屋だから、あなたの服を洗いましょう」と申し出ました。ところが、その人はこの洗濯屋の悪い評判を以前から聞いていたため「いえ、結構です。もうあなたの石鹸が私の服についてますから」と答えたということです。
日本語にも、「とばっちりを受ける」、「側杖を食う」、「火の粉が降りかかる」といった表現がありますが、誰かに近づいたり、誰かと関係を持つ場合には、相手がどういう人か見極め、またその結果について熟考してからにしたいものですね。それではまた。