ペルシャ語ことわざ散歩(199)「夜は長く、托鉢僧は起きている」
皆様こんにちは。シリーズでお届けしております「ペルシャ語ことわざ散歩」、今回は「夜は長く、托鉢僧は起きている」ということわざをご紹介しましょう。
このことわざは、ペルシャ語では Shab deraaz ast va qalandar biidaar となります。
この表現が意味しているのは主に、「何かをするのに時間はたっぷりあり、全く急ぐ必要はない」という概念であり、そこからさらに「何事も落ち着いて、焦らず、我慢強く沈着冷静に淡々とこなしていくべきである」ということを意味しています。
また、「失敗する可能性は低く、最終的によりよい結果を得る」という意味にもなるようです。
全体として、この表現は「慌てずに忍耐強くあること」を強調しています。
一部の地域は別として、世界の大半の地域では昼と夜の長さが等しくなる春分から、日照時間が最も長くなる夏至、そして再び昼夜の時間が等しくなる秋分までの期間であれ、1日における夜の時間は決して1,2時間ではありません。夜通し起きて修行に励むことや祈祷をささげるには、決して生半可な気持ちではなく、相当の強い意志と忍耐力が必要になってくることは、容易にご想像いただけるかと思います。
仮に、何か時間のかかる難しい課題が降りかかってきたとしても、夜通しで修行や祈祷をすることを考えたら、腰を落ち着けて焦らずにじっくり取り組める場合はたくさんあるかもしれません。
ペルシャ語では、このほかにもごく単純な言い方として「時間はたっぷりある」という言い方もなされています。
「人生100年時代」とも言われる昨今、特に定年退職後や子どもが独立した後の生き方が問われることが多くなってきました。組織制度上の定年や子どもの自立を、長い人生における1つの通過点ととらえ、「時間はたっぷりある」と考えて、達成に時間のかかる何か新しいことに挑戦してみるのはいかがでしょうか。また、今後何か解決に時間のかかりそうな困難にぶつかっても、夜通しの修行や祈祷をするつもりでじっくり取り組めば、きっと解決の道が開けてくると思われます。それではまた。
この番組は、IRIBイランイスラム共和国国際日本語通信パールストゥデイがお送りしています。