10月 24, 2023 15:36 Asia/Tokyo

皆様こんにちは。このシリーズでは、イランで実際に使われているペルシャ語の生きたことわざや慣用句、言い回しなどを毎回1つずつご紹介してまいります。

今回ご紹介することわざは、「真実は子どもから聞くべきである」です。

ペルシャ語での読み方は、Harf-e raast raa az bacche sheniid となります。

いつの時代にも、世界中どこに行っても、「子どもは正直」と言われるようですが、特に子どもは小さいうちは、策略として相手によって態度を変える必要があること、言ってよいことやいけないことがある、ものには言い方がある、といったことを知らず、無邪気に何でもそのまま言うことが多いのではないでしょうか。

特に家庭内に年齢の違う子どもが何人かいる場合、あることについて年上のこどもが本当のことを話そうとしない場合、年下の子どもに聞いてみたらあっさり事実を告げられた、ということはよくあると思われます。

特に今回ご紹介したことわざは、イランでは、「誰かがあることについて発言している内容が本当かどうか知りたければ、その人の子どもに聞いてみるとよい」といった意味で使われているようです。

もっとも、そうした子どもも小学校高学年から中学生となる年頃に差し掛かると、大人の顔色を伺ったり、ばれると叱られそうなことについては黙っておく、嘘をついて言い逃れをする、といった気持ちが芽生えてきます。

一方で、教育する大人の側は、確かに子どもへの躾として嘘をついてはいけない、と表向きは教えなければいけません。しかし、いざ社会に出てみると、確かに言い逃れや責任逃れ、相手を欺く嘘つきはいけないものの、場合によっては「嘘も方便」ということも多いことに気づくのではないでしょうか。思ったことを何でもずばり口に出してよい、とも言えません。また、仮に相手に真実を聞かせなくても問題ないと思われたことについてはあえて伏せておく、真実を語ったがために余計なトラブルを招く、相手が傷つくといった場合には別の言い方をする、といったようなことは、上手な世渡りや人間関係の維持にも必要なことかもしれません。

日本語でも「嘘つきは泥棒の始まり」といったような嘘つきを戒めることわざと、「嘘も方便」のように、相手を傷つけたり余計なトラブルを防ぐための手段を示すことわざの両方が存在します。信頼できる人間関係を築く上で、誠実であることを心がける一方、相手を思いやったり、その場を壊さない、余計なトラブルを防ぐための手段も、状況に応じて使い分けたいものですね。それではまた。

 


ラジオ日本語のソーシャルメディアもご覧ください。

Instagram     Twitter     urmediem