7月 11, 2016 16:26 Asia/Tokyo
  • 核合意の締結から1年

およそ1年前、イランは2年近く、6カ国との紆余曲折の核協議を経た後、2015年7月14日、重要な合意を締結しました。

この核合意の包括的共同行動計画に基づき、ウラン濃縮活動など、イランの核の権利が正式に認められました。また、イランの自発的な信頼醸成措置により、対イラン核制裁が解除されました。

2016年1月16日、核合意は実施段階に入りました。現在、6ヶ月以上が経過していますが、この合意がどのような成果をもたらしたのでしょうか。12年以上にわたり、イランの平和的な核計画を脅威に見せようとしてきたアメリカやその他のヨーロッパ諸国は、態度を変えたのでしょうか。

ウィーンの協議以前のアメリカの筋書きは、疑惑の主張による、核計画の完全な停止でした。この主張はIAEA国際原子力機関を通じて、イランの核計画を軍事的なものに見せかける目的で示されました。アメリカの政府関係者は、制裁維持を理由に、国際社会を巻き込むため、繰り返し根拠のない主張を提示しました。

アメリカの政府関係者は、イランの核計画がひとつの脅威であり、核合意によってそれが抑制されたと主張していますが、イランの核計画ははじめから平和的で透明なものでした。核協議におけるアメリカの目的とは、イランのウラン濃縮を0にすることでした。アメリカは重水の生産とテヘラン東部フォルドの施設の活動をも受け入れませんでした。この目的のために、国連安保理でイランに対する強制力ある決議を採択し、これにより、イランは中部アラークの重水施設の活動を一時的に停止する必要がありました。

アメリカは、制裁を解除するのではなく、延期の状態に持ち込もうとしていました。一方、経済・金融制裁の解除は、核合意締結におけるイランの優先事項であり、このために国連安保理決議を取り下げ、イランの合法的かつ平和的な核計画の性質を捻じ曲げる国際法による行動が停止され、イランに対する一方的な制裁が解除されたのです。

核合意の一方で、アメリカのオバマ大統領は、核協議のはじめから、この協議により、イランが濃縮の権利を放棄し、恒久的にイランの核施設が閉鎖される形で合意が締結されることになると語っていました。オバマ大統領はまた、制裁はイランが実態調査が可能な基準により、活動しない限り、解除されないと語っていました。さらに、もしこのことが実現されなければ、核協議から離脱するとしました。

現在、包括的共同行動計画が実行され、核問題に関するすべての制裁が解除され、国連安保理も新たな決議を採択し、以前に採択された決議が取り下げられました。このため、この合意はひとつの大きな成果と評価すべきでしょう。

イラン国民は、これまでずっと圧力と脅迫に抵抗してきました。イランの技術的な問題は安全保障的なものになり、その後、国連安保理にこの問題が付託され、イランの核技術が脅威とされたことで、制裁や制限が行使されました。核協議により、イランは最終的に正当な権利を獲得し、抑圧的な制裁や決議はこれにより停止されました。体制責任者は繰り返しはっきりと、イランは決してレッドライン・譲れない一線について妥協しないと表明していました。

国連安保理決議2231は、包括的共同行動計画の実施と、イランの核問題をめぐる偽りの危機を終わらせ、抑圧的な制裁を解除するための一歩となりましたが、この方向路線を継続するのは簡単なことではなく、相手側の口実探しや責務履行における怠慢を見逃すべきではありません。つまり、この決議においては、制裁が元に戻る方法が内包されていますが、これは核合意のプラスの影響を否定するためのものとはみなされていません。

核合意の枠組みでは、イランへの武器禁輸措置が解除されたり、一部の制限は代替のものとなり、防衛関連品目の輸出入の可能性が整えられました。この制限も、5年後には完全に解除されます。また、以前の強制力ある安保理決議の7章41条に含まれていた防衛ミサイル計画の禁止も、強制的なものではない制限に変わり、イランがまったく追求していない核弾頭搭載型ミサイルのみが制限対象となり、期限付きのものに変わることになる予定です。

核合意がアメリカの口実を無効化し、核問題による制裁が解除されたにもかかわらず、アメリカ議会における一部の証言や表明、措置から明らかなのは、彼らが対イラン制裁を復活させる機会を求めており、人権侵害などの主張や、イランのミサイル能力に対する懸念、イランのテロ支援という偽りの主張により、イランに圧力を加える政策を続けようとしていることです。

実際、アメリカのイランに対する敵対的なアプローチは変わっていません。つまり、イランの核計画への懸念は、実質的なものではなかったのです。核協議のメンバーだったアメリカのシャーマン前国務次官は、核合意の締結後、インタビューの中で、イランが決して核兵器を作ろうとしていなかったことを認めました。アメリカは、核合意のあとも口実探しを行っています。アメリカの体制責任者は最近、世界の投資家がイランに参入したいと思わないように行動すると表明しています。

イラン中央銀行のセイフ総裁は数ヶ月前、イギリス・ロンドンで行われた国際経済へのイランの復帰に関する会合で、ヨーロッパの商業銀行がアメリカの罰則を恐れていることから、イランとの銀行協力に関する競合が行われないとしました。セイフ総裁はまた、次のように語りました。「すべての核に関する制裁が解除された中で、核合意に関係する以外の制裁はいまだ根強く残っており、このアプローチにより、世界の大手銀行は無意識にアメリカの法律を違反することを恐れているため、イランとの協力をめぐり競合を行っていない。これは、『われわれは制裁解除が有効だと確信させる義務がある』としたイギリスのハモンド外務大臣の表明にも、はっきりと述べられている」

イランのザリーフ外務大臣も、国内外の投資と核合意の法的な影響に関する会合において行われた演説で、「たとえアメリカの目的を疑っても、それは間違ってはいない。なぜならアメリカでは、イランに関するさまざまな見解が存在し、アメリカのイランに関する政策は、間違っているからだ」と語りました。

この行動の例は、アメリカの平和研究所の報告で発表されており、その中では、アメリカ議会は核合意の締結から2ヶ月以内に、核以外の13の対イラン制裁を追加したとされています。ザリーフ外務大臣はスイスで行われたダボス会議でのCNNのインタビューでこのことについて語り、アメリカ政府は最終的な決定を下すべきであり、制裁は適切な行動ではなく、イランに対しては恒常的な尊重と対話が適切だとしました。

おそらく、このアメリカの行動を表すもっとも明確な表現は、アメリカがイランのミサイル能力を口実に、核合意後に新たな対イラン制裁を行使したことに対して、ザリーフ外相が反応した際の言葉に見られるでしょう。ザリーフ外相はアメリカ政府の行動を、麻薬がよくないことを知っているのにもかかわらず、それをやめられない麻薬中毒者の行動にたとえました。

この動きは、これからも核合意を妨害しようとするアメリカの努力を示しています。ザリーフ外相はヨーロッパ訪問の中で、ノルウェー・オスロにてEUのモゲリーニ外務安全保障政策上級代表と会談し、「アメリカは書面上でのみ制裁を解除したが、この数十年にわたって繰り返し行ってきたことを払拭するため、効果的な措置を行うべきだと考えている」と語りました。ザリーフ大臣の見解によれば、アメリカの行動や妨害は核合意の効果を薄れさせるために行われており、合意とは、すべての人が利益を得ていると感じるときに、永続的なものになるのです。

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