ペルシャ語ことわざ散歩(220)「荷物を載せていないロバが側対歩する」
皆様こんにちは。シリーズでお届けしております「ペルシャ語ことわざ散歩」、今回はロバにまつわる慣用表現をご紹介してまいりましょう。
今回ご紹介するのは、「荷物を載せていないロバが側対歩する」という表現です。
ペルシャ語での読み方は、Khar-e khaalii yurghe mi-ravadとなります。
このことわざで言われている「側対歩」とは、馬などの四つ足動物の歩き方の一種で、具体的には右前脚と右後ろ脚、左前脚と左後ろ脚という、左右の前後の脚を同時に出して前に進むことを意味します。
通常、馬やロバなどがこの歩き方をするのは、背中に荷物が載せられていない、つまりは背中が空っぽの時とされ、この時は非常に楽々と、悠々と歩いている様が見て取れます。
このことわざでは、ロバのこうした状況を傲慢な人に例えています。つまり、本当の意味での学識や知性、教養がないにもかかわらず、傲慢にふるまい、上から目線で人を威圧したり、知ったかぶりや、「俺はすごいんだぞ」とアピールする人のことを指しています。
逆に、こうした人と正反対にある人は、「実るほど 頭を垂れる 稲穂かな」に相当する人ということになります。
本当の意味で学識や知性、人徳を備え中身がある人ほど自己アピールをせず謙虚であり、また自らは何も宣伝しなくとも自ずから光り輝き、人々から敬愛されること、逆に自分に何も持っていない、中身のない人ほど、自分の有能さや優位性を主張するというのは、古今東西を問わず、いつの時代にも世界のどこでも共通しているようです。
おそらく、知性や学識など、自分に何か誇れるもののない人ほど承認欲求がつのり、何とか他人に認められたくて一生懸命自分を宣伝したり、あるいは他人を蹴落とし引きずりおろそうと悪口や陰口、他人への批判やあら捜しに走りますが、こういう人こそはまさに、今回ご紹介したことわざに当てはまる人ではないでしょうか。
本当の意味での知性や教養、美徳を身に着け、わざわざ自己アピールをしなくとも、自然に自分の内面が外側ににじみ出て光り輝き、周りの人からも慕われ人望を集められるような人になりたいものですね。それではまた。
この番組は、IRIBイランイスラム共和国国際日本語通信パールストゥデイがお送りしています。