9月 08, 2020 01:30 Asia/Tokyo
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今回は、インターネットの出現とその利点を初めとする様々な側面について考えていくことにいたしましょう。

前回のこの時間には、人類の知識と先進技術の発展により、現代世界が変化し、複雑化していることをお話いたしました。20世紀末に人間の生活を変化させ、今尚続いている現象の1つにコンピュータがあります。コンピュータが市場に入ってきたことにより、世界はカナダの文明批評家マクルーハンの言う地球村つまりグローバル化したコミュニケーションの場と化しています。特に、コンピュータとともにそれに関連するインターネットが登場し、世界の最も遠いところにも最短時間で情報を伝達できるようになりました。この「情報の爆発」こそは、21世紀の最も重要な現象といえるものであり、全世界がこれに依存しています。

 

米ソの競争とアーパネットの出現

 

1957年、ソビエト連邦が世界初の人工衛星スプートニク1号を打ち上げました。これにより、アメリカとソ連という2つの超大国が宇宙空間における優位性を巡り競争することになったのです。アメリカ国防総省は、ソ連に対抗し、高等研究計画局を設置しました。

 

この高等研究計画局が検討していた最も重要な計画の1つは、いくつものコンピュータを互いに接続することでした。このことが実現すれば、情報通信の構造を根本から変化させ、この技術戦争におけるアメリカの勝利の切り札になると見られていました。このプロジェクトは、1960年の終わりに実を結び、世界各地にある4台のコンピュータが相互に接続され、それぞれのコンピュータに保存されている情報を互いに送信することが可能となったのです。このネットワークは、当時はアーパネットと呼ばれ、年月の経過とともに拡大しましたが、その使用目的は軍事や大学関係のみに限られていました。

 

1982年、ネットワークの拡大、そして情報に対する利用者の需要に伴い、アーパネットは急速に拡大し、インターネットへと名称を変更しました。その後、インターネットは非常に拡大し、事実上、世界に存在する全てのコンピュータの接続が可能となったのです。

 

インターネット出現の経緯

 

インターネットという用語は、多数のコンピュータにより形成される世界規模の大きなネットワークを意味する英語、インターナショナル・ネットワーキングの略語です。これらのコンピュータは、電話やケーブル、或いは衛星により相互に接続し、共通の言語というべき規約、つまりプロトコルにより通信します。実際に、インターネットは情報コミュニケーションの流通にとっての主流であり、これはプロトコルに基づいて成り立っています。インターネットを通じて、情報を世界各地に伝達することができます。Eメールで使われるSMTPや、FTPなどといった多くの用語は、特定の種類のデータを送信する各プロトコルの名称なのです。

 

ワールドワイド・ウェブの出現

 

1989年には、スイス・ジュネーブにあるCERN・欧州原子核研究機構にて、イギリス人のティム・バーナーズ・リー博士が、世界的なネットワーク上にある情報を管理するシステムを考案していました。彼は、情報の存在する場所に関係なく、それらをまとめて1つのページに表示できる、ハイパーテキストシステムを利用したのです。こうして、彼はインターネットによって情報収集が可能な、自らが考案した世界的なネットワークシステムを、ワールドワイド・ウェブと命名しました。

 

インターネットが持つ可能性の拡大

 

その後、電子ファイルによる情報交換のための動き、Web1.0が起こりました。その結果、現在私達が使用しており、今後も使用されると思われる、様々な情報の掲載されたページが立ち上げられたのです。アメリカ・マサチューセッツ工科大学の専門家によりますと、現在1人の人間が持つ情報の量は8ギガバイトとされ、この数字は2020年にはおよそ1000ギガバイトに達するといわれています。このことは、インターネットにない事柄は存在しない、ということを意味します。

 

インターネットは、ネットワークとしての本質により、関係のある事柄を急速に拡大します。Web2.0が提唱されたのは、Web1.0が立ち上げられてから僅か数年後のことでした。Web2.0はログオンすることで相互の情報交換を行い、ウェブサイトを基本としたソフトウェアを強化したのです。このソフトウェアを使用することで、ウェブサイトの構造は単純なものから数次元の世界へと変化し、個人的なコミュニケーションやグループ作業も出来る下地が出来上がりました。Web2.0により、ソーシャルネットワークが出現し、これは利用者の絶大な歓迎を受けています。

 

現在、Web2.0が最大限に拡大し、それに基づきあらゆる種類のソフトウェアを作ることができるようになり、使用者はそれを自分のコンピュータにインストールしなくても、世界中どこにおいてもこれにアクセスできるようになっています。これこそはまさに、デジタル社会と電子化された市民の理想といえるものです。

 

過去においては、簡単に、ブラウザ上で3Dプログラミングを使用してアニメーションを制作したり、自分の興味のある音楽を聞いたり、テレビ番組を見るなどということは想像しがたいことでした。しかし、ウェブサイトをベースとしたソフトウェアの発展がこれを可能にしたのです。また、使用者の意図を理解し、仕事の進捗や調査を支援するweb3.0やスマートシステムの出現により、これまであまり考えられていなかった技術革命が起きることが予想されます。

 

ワールドワイド・ウェブサイトは、インターネット上における最も新しい情報伝達サービスであり、他の手段やインターネットサービスに比べて、急速に発展しています。有識者の多くは、インターネットの使用が日々拡大している最大の原因は、カラーの画像や映像、音声や文章をも表示できるワールドワイド・ウェブサイトの出現だとしており、その利用者は日々急速に増加しています。

 

コンピュータが持つ多大な可能性、特にインターネットという国際的なネットワークが人類に新たな展望をもたらしたことは、疑いようのない事実です。インターネットは、昔の仕事や生活の方法に取って代わるものであり、現在、銀行サービスや学習、書簡や書籍の送付、調査、新聞の購読、映画や音楽の鑑賞などは、インターネットでできるものとなっています。また、自宅にいながら自分の用件を済ませ、時間や費用を節約してその分を他の事に当てることが出来るのです。一方、研究者や学生はどこにいてもインターネットを使用して自分の研究を行なうことが出来、さらにはインターネットをいつでも開いている図書館として利用できます。

 

あらゆる人々にサービスを提供するインターネット

 

役所の業務においても、全ての官公庁や組織はウェブサイトを持っており、その機能を人々に紹介し、彼らが直接出向くことなく多くの手続きを行なえるようになっています。このため、役所や組織などに問い合わせにくる人の数は減少し、色々な手続きにかかる時間はより短くなっています。また、企業の管理職も職場にいることなく管理業務を行い、関係者と話をし、指示を出すことができるようになっています。

 

インターネットは、病気であったり、身体障害者であるといった様々な理由のために、自分では動けない人々、或いは町から離れて住む人々にとっても有益です。また、インターネットにより全世界で起こっている出来事を知り、自分の用事を済ませることが可能です。さらに、インターネットにより誰でも教室での授業に参加せずにインターネット大学で学ぶことができます。また、多くの国々ではインターネットが政治にも関与しており、インターネットにより選挙が行なわれています。しかも、インターネット上での選挙活動は、日増しに重要性を増してきています。

 

現代においては、新しいコミュニケーションの出現は人間の生活構造を大いに変化させ、国際的な交流を錯綜させています。現代の情報社会は、フェイスブックやツイッター、ユーチューブなどといった新しいネットワークやメディアに遭遇しており、新たな社会構造や文化をもたらしているのです。

 

 

 

これまでにお話してきた事柄に注目すると、インターネットは現代人の日常生活のあらゆる面に関係しており、大きな利益をもたらしています。もっとも、こうした多くのメリットや意義がある一方で、この先進技術による危険や脅威も存在します。次回は、インターネットが人間の生活に及ぼす注目すべき影響についてお話する予定です。

 

 

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