9月 13, 2016 15:37 Asia/Tokyo
  • イランのクルド民族の文化的、社会的特徴

今回の番組では、イランのクルド民族の文化的、社会的特徴についてお話しすることにいたしましょう。

クルド民族は、数の点でイラン最大の民族のひとつと見なされます。クルド民族の中にはさらに細かな部族があります。クルド人の大部分は、イラン北西部や西部のトルコやイラクとの国境地帯で暮らしています。彼らはコルデスターン、ケルマーンシャー、イーラーム、ウルミエ湖の西にある西アーザルバイジャーンの一部地域に居住しています。また、北ホラーサーン州、ホラーサーンラザヴィ州の北東部にもクルド人の一部が暮らしています。

 

イラン以外で、クルド人が多く住むのは、トルコ、イラク、シリア、アルメニアです。クルド人は、慣習、人種・文化的特徴における多くの類似性にもかかわらず、その生活場所によって、互いに異なった生活スタイルを有しています。

 

クルド人は、アーリア人の系統です。人種の点で、クルド人は、イランの他の民族よりも純粋な民族とみなされ、イラン人の昔の肉体的特徴を彼らの中に見出すことができます。クルド語は、イランの古い言語の生き残りです。クルド語には様々な方言があります。二つの主流の方言は、コルマーンジーとスーラーニーと呼ばれています。

 

19世紀のフランスの考古学者は、人種の点からクルド人のモクリー族についてこのように述べています。

 

「人種の点から、肩幅が広く、胸板の厚い、中肉中背の美しい人々である。体のバランスがとれていて、頭は小さく、髪は黒く巻き毛である。額は広く、鷲鼻で、目は大きく瞳は黒い。眉は濃く、頬は出ていてばら色である。これらの人々はたいてい小麦色の肌で、黒くて薄い髭を有している」

 

イランのクルド民族は地理的に、二つのグループに分けられます。一つはアーザルバイジャーンのクルド人、もう一つはコルデスターンとケルマーンシャーのクルド人です。

 

概して、クルド民族は遊牧をして暮らしていますが、町や村に定住して生活しているクルド人といくつかの点から、共通の興味深い特徴を有しています。クルド人の住宅、食事、遊び、風俗習慣、どれもが非常に美しい特徴を持っています。

 

ここ半世紀で、クルド人の生活様式や居住に多くの変化がもたらされました。遊牧生活を送っていたクルド人の多くは各都市に居を構え、この流れは今も続いています。

 

クルド人は、イランの他の民族と同じように独自の美しい民族衣装を有しており、クルド人はそれぞれ、昔からの文化の象徴としてそれを保持することを義務付けられています。各民族、各国民の文化や慣習において、衣装はその歴史や社会、価値観を示す象徴的なもののひとつです。

 

クルド人の民族衣装は、地域や社会階層により、それぞれ異なっています。クルド人の地域には、西アーザルバイジャーン、コルデスターン、ケルマーンシャー、北ホラーサーン州が含まれます。イラン、イラク、トルコ、シリアに暮らすクルド人の衣装は、各地の気候条件に応じた美しい装いとなっています。クルドの民族衣装を研究しているナーザニーン・エスファンディヤーリーさんは、このように述べています。

 

「地元の男性の衣装には、体、頭、足を覆うものがあります。これらはそれぞれ、季節、仕事、生計、儀式、祝祭の種類によって異なっています。クルドの各居住区によって衣装は異なっていますが、体を完全に覆うという点ではすべて共通しています。クルド人男性の衣装は、次のようなもので構成されています」。

 

チューヘ:コットンあるいはウール、ヤギの毛でできた前開きの丈の短い上着。クルドの伝統的衣装のひとつ。

 

ファランジー、ファラフジー:フェルトの長袖衣装

 

パントール:足首がすぼまったゆったりしたズボン。ランクとも呼ばれる。

 

マレキー:襟のないシャツ。ボタンで留める。

 

スーラーニー:ゆったりした長袖のシャツ。シャツの袖には三角形の布がついており、通常手首や腕に巻きつけている。

 

シャール:およそ3メートルから10メートルの布で、腰付近に巻く。また男性が帽子の代わりに頭に巻く布もある。

 

ピーチ・オ・キャルーラウ:クルドの帽子は、通常女性たちがクルド独自の文化に残されている模様を使って、特別な技量を用いて編んだもので、黒と白が用いられている。先人たちの教えによれば、男性は頭をむき出しにすべきではないとされている。

 

プーチ:白と黒のハンカチのような布で、帽子の周りに巻きつける。

 

キャラーラシュ:足を覆うもの。白色で非常に美しく織られており、絨毯の糸と絹糸、革でできている。使用されている素材から、匂いを防ぎ、涼しさを維持できる。その特性上、冬や雨の季節には使えない。

 

クルドの料理は様々な種類があり、今回はその一例をご紹介しましょう。

ナノドウ:パンとヨーグルトドリンク。クルド人の一般的な食べ物。

カラーナ:パンダネと玉ねぎ、砂漠のハーブ、バターを混ぜて作る。滋養強壮の料理。

スィール・オ・マース:ナンとニンニクをヨーグルトドリンクに浸し、熱い油を上に注ぐ。

パラーウ:レンズマメやレーズンの入ったご飯。

ガウルマ:ひき肉と玉ねぎを炒めたもの。

 

クルドには様々な種類の飲み物もあり、クルド人は他のイラン人と同じように、紅茶と角砂糖を多く消費します。