11月 01, 2016 18:18 Asia/Tokyo

今回ご紹介するのは、イラン北部ギーラーン州のアミールケラーイェ湿原です。

アミールケラーイェ湿原

 

ギーラーン州にあるアミールケラーイェ湿原は、カスピ海の南西部、ランゲルード市の北12キロのところに位置しています。この湿原は葦に覆われており、特徴の一つは、同じ州にあるほかの湿原に比べて、カスピ海から1キロしか離れていないにもかかわらず、淡水であることです。この点でアミールケラーイェ湿原は世界でも稀な湿原となっています。

湿原は生き物の生息地であり、渡り鳥は湿原を第二の家、避難所としています。湿原はさらに、フィルターのごとく、周辺地域の汚れや砂、埃を吸収します。アミールケラーイェ国際湿地は、渡り鳥が通過するための場所、水鳥が冬を過ごすための重要な場所のひとつとなっています。この湿原は、ラムサール条約にも登録されており、面積は1230ヘクタールとなっています。

アミールケラーイェ湿原の位置

 

お話したように、アミールケラーイェ湿原は、淡水の湿原です。この湿原の水源は泉、農業用水の余剰分、地下水となっています。この湿原の長さは4.5キロ、幅は1.7キロを超え、深さは3メートルから4メートル、深いところで6メートルです。さらに、年間の降水量は1160ミリ、年間の平均気温は15.5度となっています。この湿原の水の余剰分は、北東部にある水路を通じてカスピ海に注がれます。

アミールケラーイェ湿原

 

アミールケラーイェ湿原は、水草が豊富で、概して樹木、葦、水草の三つのタイプに分けられます。湿原の周囲にはまばらな森林を伴う農地が見られ、さらに昔からの森林の名残が海岸に見られます。

アミールケラーイェ湿原の植物

 

植物に覆われ、適した自然環境にあることから、この湿原は、数々の水鳥の生息地、また産卵地となっています。渡り鳥が通過することから、国際的な重要性も高くなっています。この湿原ではこれまで43種類の鳥類が確認されており、このうち7種類が土着の鳥で、残りが渡り鳥です。また渡り鳥のうち6種類がここを通過し、残りがここで冬を過ごし、夏をすごす種類もいます。

アミールケラーイェ湿原の渡り鳥

 

この湿原には鳥類のほか、イノシシ、ジャッカル、山猫といった哺乳類も見られます。またカワカマスやコイといった各種の魚類も生息しています。

アミールケラーイェ湿原の鳥

 

ハスはこの湿原で見られる美しい植物の一つです。この植物は緑色のがくと小さな種を有しており、これらは薬効があるため、伝統医学で使用されます。

湿原のハス

 

1971年、アミールケラーイェ湿原は保護地区とされ、1年後にそのおよそ1230ヘクタール分が野生動物の避難所として認定されました。1976年には、ラムサール条約の国際湿地に登録されました。それ以前、湿原のそばに住む住民は長い間、狩猟のための小屋を作っていましたが、環境保護の重要性により、1993年、すべての狩猟小屋は取り壊されました。現在環境保護局のガードがこの湿原には常駐し、巡回を行っており、毎年鳥の数が数えられています。

湿原の管理

 

アミールケラーイェ湿原は、重要な天然資源として、高い社会経済価値を有しています。この湿原は農業用水としての水資源と見なされており、この地域の住民の経済的、社会的繁栄において多くの重要性を有しています。さらに、自然の美しい景観という点で、ギーラーン州の重要な観光地の一つです。

アミールケラーイェ国際湿地

 

アミールケラーイェ国際湿地は、イラン、ギーラーン州の唯一無二の湿原ということができます。この湿原は環境への貢献と共に、エコツーリズムの主な目的地と見なされ、環境庁は、鳥類や水生生物の生息地を維持するために多くの努力を行っています。その一方で、この湿原は環境問題に関心のある人々や観光客を誘致しており、海岸沿いの道を歩いてアミールケラーイェ村を訪れることができます。この村には環境の警備所があり、湿原を巡回するためのボートが用意されています。

アミールケラーイェ国際湿地

 

旅行者はさらに、村にある別荘や民家に泊まることができます。またラーヒージャーンやランゲルードといいた町にも近く、これらの町を見て回ることもできます。