11月 06, 2016 16:48 Asia/Tokyo
  • 聖典コーラン
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今回も前回の引き続き、コーラン第27章ナムル章、蟻を見ていくことにいたしましょう。

慈悲深く、慈愛あまねき、神の御名において

 

ナムル章では主に、預言者ソレイマーンと蟻たちの物語、その他、ムーサー、サーレハ、ルートといった神の偉大な預言者たちの、それぞれの偉大の逸脱した人々との闘争について述べられています。中でも最も詳しく述べられているのは、預言者ソレイマーンとサバーの王妃との物語です。前回は、ヤツガシラがソレイマーンの書簡を持って、太陽を崇拝するサバーという土地の王妃、ベルゲイスの許に出かけていくところまでお話ししました。

 

サバーの王妃、ベルゲイスが、宮殿で優雅に座っていると、ヤツガシラが書簡を投げ落としました。ベルゲイスは驚いて書簡を開き、そこに書いてあった内容を知りました。彼女は以前に、ソレイマーンの名声を耳にしていました。そのため、深い考えに沈みました。ベルゲイスは賢い女性であり、国の重要な問題について、周囲の人々と相談していました。そのため、ベルゲイスは今回も周囲の人々に相談しました。ナムル章の第29節から33節には次のようにあります。

 

「偉人たちよ!貴重な書簡が私に落とされた。書簡はソレイマーンからのものである。その内容は次のようなものであった」

 

「慈悲深く、慈愛あまねき、神の御名において。私よりも優位に立とうとしてはならない。真理に屈し、私の許にやって来なさい。[ベルゲイスは]言った。『偉人たちよ、これについて私に意見を述べて欲しい。私はこれまで、あなた方がに相談することなしに、重要なことを行ったことはない』 民の長老たちは言った。『私たちは十分な戦闘力を備えています。しかし、決断を下すのはあなたです。あなた自身の意見を述べ、どのような指示をするのかを見てみましょう』」

 

王妃は、彼らが戦いを求めているのを目にし、その熱を鎮めて言いました。「王たちは繁栄する地域に入るとき、そこを堕落と破壊に陥らせ、大切な人々を卑しめる。私たちは何よりもまず、ソレイマーンを試すべきです。彼らのために高価な贈り物をし、使者がどのような知らせを持ってくるかを見てみましょう」

 

サバーの王妃の使者たちは、貴重な贈り物を運ぶ人々と共に、ソレイマーンの拠点があるシャームへと向かいました。ソレイマーンは彼らを迎え入れて言いました。「これらの贈り物によって、私を欺こうとしているのか?だが神から与えられたものの方が、あなた方が授けられたものよりもよいものだ。あなた方は、いつでもこのような貴重な贈り物を互いに贈りあって喜んでいるが、私にとっては何の価値もない」 ソレイマーンは、使者たちを贈り物と共に帰して言いました。「まもなく私たちは、あなたたちには、とてもかなわないいような多くの軍勢と共に彼らのもとを訪れ、彼らをその土地から屈辱と共に追い出すだろう」

 

王妃の使者たちは、このようなメッセージを持ちかえり、ソレイマーンの統治の驚くべき偉大さを、ベルゲイスとその側近たちに話して聞かせました。ソレイマーンの統治の壮麗さは、彼が普通の王ではなく、本当に神の預言者であることを示しています。彼の統治政権は宗教的なものであり、彼らには、ソレイマーンと軍事的に対抗する力はありませんでした。そのため、サバーの王妃は、長老たちと共に、自らソレイマーンの許に出向き、彼の教えや言葉を間近に聞いてみることにしました。

 

サバーの王妃がやって来るという知らせがソレイマーンに届けられました。ソレイマーンは、彼らがやって来る前に、ベルゲイスの大きな玉座を持ってきて、それによって自分の奇跡を示すことにしました。ナムル章の第38節にはこのようにあります。

 

「彼は言った。『長老たちよ、あなた方のうち誰が、彼女の王座を、彼女たちが私の許にやって来る前に、ここに持ってくるだろうか?』」

 

聖霊の中の魔物の一人が言った。「あなたが立ち上がらないうちに、私が彼女の玉座をここに持ってきて見せましょう」

 

ナムル章の第40節を見てみましょう。

 

「[だが、]神の聖典の知識を持つ人は言った。『私はそれを、瞬きをする間にあなたの許に持ってきて見せます』 ソレイマーンはその玉座を自分の横に見たとき、言った。『これは私の主の恩恵であり、主はこれによって、私が神の恩恵に感謝するか、それとも不信心に走るかを試そうとしている。誰でも感謝する者は、自分のために感謝するのであり、誰でも不信心に走っても、私の主は、他を必要としない偉大な方であられる』」

 

ソレイマーンは、サバーの王妃、ベルゲイスの知性のほどを試し、彼女が神に信仰を寄せる土台を整えるために、彼女の王座に変化を加えたかのように見せるよう命じました。サバーの王妃がやって来たとき、ソレイマーンは彼女に向かって言いました。「あなたの王座はこのようなものであったか?」 するとベルゲイスは驚いて答えました。「どうやらそのようです」

 

ナムル章の第44節は、この出来事の別の場面を語っています。それは、ベルゲイスがソレイマーンの特別な宮殿に入っていく場面です。ベルゲイスは宮殿に案内されました。彼女が入っていこうとすると、そこに小川があるように見え、自分が素足になって水の中を通ろうとしているように錯覚しました。ソレイマーンは彼女に言いました。「それはガラスでできた宮殿である」 ベルゲイスは、その場面を見るといいました。「主よ、私は自分自身に圧制を行っていました。ソレイマーンと共に、世界の主に対して頭を垂れます」(了)

 

 

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