11月 15, 2016 17:05 Asia/Tokyo
  • ブージャーグ湿原

今回はイラン北部ギーラーン州のキアーシャフルにあるブージャーグ湿原をご紹介いたしましょう。この湿原は、セフィードルードの河口周辺にあるバンダルアンザリーの東40キロに位置しています。

キアーシャフルのブージャーグ湿原は、カスピ海の水の後退によって出来た湿原です。この湿原は500ヘクタールの面積を有し、海抜は-25メートルとなっています。この湿原の北部は40メートルの幅の水路によってカスピ海につながっています。1992年に漁専用の港が建設されたことにより、この湿原は東と西の二つに分けられました。

ブージャーグ湿原

 

ブージャーグ湿原は、カスピ海の魚類の産卵、さらには水鳥が冬を越し、雛を孵すのに適した場所となっています。この湿原は1976年、ラムサール条約に登録されています。

 

ブージャーグ湿原

 

この湿原には淡水も塩水も存在します。湿原の深さは最小で130センチ、最大で4メートルとなっています。

ブージャーグ湿原

 

湿原の水は二つの川から供給されています。湿原のこの部分は、水路によってカスピ海につながっています。湿原の西側の水量は、セフィードルードなどの川の水量によって変化します。

ブージャーグ湿原

 

湿原の西側の先端には、葦原が広がっています。西部や北西部は、茂みや草で覆われており、カスピ海の沿岸部を隔てています。湿原の南部と南西部には農地や森林公園などがあります。

ブージャーグ湿原

 

ブージャーグ湿原の重要性や役割に注目し、鳥類の保護に関する国際機関はこの湿原を鳥類の重要な生息地と見なしています。

 

2013年に行われた調査によればブージャーグ湿原には81種類の水鳥が存在します。このうち8種類が土着、6種類が雛を孵すためにここで過ごす鳥であり、これらはこの湿原が水鳥にとって特別な重要性があることを示しています。

ブージャーグ湿原

 

先にお話ししたように、1976年、キアーシャフルのブージャーグ湿原は、ラームサル条約に登録されました。さらに、この湿原は国際的な機関によって、鳥類の重要な生息地とされています。このためここ数年、この場所での狩猟が禁じられ、現在、国立公園の一部として、高いレベルでの保護下に置かれています。

ブージャーグ湿原の監視塔

 

ブージャーグ湿原はカスピ海の魚類の産卵、稚魚が成長するのに適した場所です。また観光客にも美しい自然の景観を提供しています。この地域は多くの自然の魅力を有しており、それは海、湿原、森林の三つの自然が隣り合っているためです。

ブージャーグ国立公園は2003年、国立公園として国の管理下に置かれました。この国立公園全体は、キアーシャフルの湿原として、ラームサル条約に登録されています。

ブージャーグ国立公園

キアーシャフル地区では、最高品質の米が作られています。漁の季節には、この町の魚市場は特別な繁栄を見せ、イラン各地から魚の買い付けをする人々がやって来きます。キアーシャフルのキャビアは世界でも有名で、この他、農作物としてピーナッツ、野菜もとれます。この町では毎週水曜に市場がたち、観光客にとっても魅力的なものとなっています。

キアーシャフルの港

 

キアーシャフルの森林公園が天然の沼、木製の橋、沿岸のそばに位置していることは、魅力的な景観を生じさせており、旅行者はそこで素晴らしい時間を過ごすことができるでしょう。湿原の東部には、観光的な魅力を持つ空間が広がっており、砂浜へと続く木製の橋を渡りながら、美しい景観を目にすることができます。

木製の橋

 

森林、湿原、海は、自然の美しい景観をこの地域に生じさせており、中東で唯一無二、世界でも類まれな景観と言っても差し支えないでしょう。