2016年11月18日(中村・山口)【音声】
今週の金曜広場もお聞きください。
●リスナーより
日本では稲刈りも終わり、今週から我が家ではピカピカの新米をいただいています。このお米は、長野県佐久市浅科の限定ブランド米である「五郎兵衛米」で地元でも口にすることがないといわれる、とても貴重なお米です。イランでもおいしいお米はあると思いますが、このお米は、お口の中で甘みが ぱ~っと広がり、おかずがいらない味ですよ。
●ラジオより
中: うらやましいですねー。イランのお米もおいしいのですが、日本風には炊けないので、和食の時にはもっぱら日本米を炊いています。イランでは日本人や韓国人向けに日本米を作っている方がいて、毎年まとめて注文するのですが、なかなか日本のようにはいかないようです。まあ、贅沢を言うときりがないのですけれどね。今年里帰りしたときに奮発して日本製のIH圧力炊きの炊飯器を買ってきたのですが、やっぱり日本と全く同じというわけにはいきませんでした。
さて、イラン料理に最適なのはイラン米ですが、山口アナはどこで買ってらっしゃるのですか?
山:そうですね、イランも、日本と同じようにお米は主食とされています。イランでは、日本の新潟県に相当するような米作地帯地として、カスピ海沿岸地域があります。ですが、我が家では、イラン中部イスファハーン州にある町レンジャーンというところで生産されたお米を使用しています。実はその町に、家族ぐるみで親しくしている友人がおりまして、その方が調達してくれるんですよ。いわゆるカスピ海地域で生産されたお米にまけず劣らず、お味の方もなかなかのものです。
中:へええ。お米と言えばカスピ海沿岸地域だけだとばかり思っていましたから、イスファハーンでもおいしいお米ができるというのは驚きですね。
私も以前は知り合いに頼んで一年分まとめ買いしていたのですが、保存が場所はとるし、ちょっと気温が上がると虫がわいたりで、最近では必要な分だけスーパーで買うようにしています。
●リスナーより
ゼレシュクジュースは絞るのではなくて、煮るのですね。砂糖は加えないのですか?
● ラジオより
中: ゼレシュクジュースは山口さんがラジオ日誌で取り上げたんでしたよね。
山: そうなんです。ある時、舅が大量のゼレシュクを購入してきまして、そのより分け作業が済んでから、それをガスにかけて3時間ぐらい煮込んだんですよね。それからそれを冷まして、お砂糖を混ぜてゼレシュクドリンクを造ったのですが、日本ではちょっとお目にかからない、手作りドリンクができたというわけです。
中: ゼレシュクジュースは、ジュースとして利用するほかには、どんな利用の仕方があるかご存じですか?
山: そうですね、比較的良く知られている使用法として、ピスタチオを細長く切ったものと一緒に油で炒めたものを、サフランで染めたライスにふりかけて食べる、いわゆるゼレシュクポロウがあります。ジャムにすることもできますし、ペーストにすることもできます。これは、ざくろのペーストに良く似ていまして、煮込み料理の味付けに利用されていますね。ゼレシュクは、メギ属の植物でして英語ではバーベリーと呼ばれていますが、他の植物にはない特性があることから、お料理に独特の風味を添えてくれるものだと思います。
中:その、ほかの植物にはない特性というのは?
山:甘酸っぱさと、明るいえんじ色で食卓に花を添えてくれることと、血圧を下げる作用があると言うことでしょうか。
●リスナーより
こちら日本では秋に入り暖かい日もあるのですがだいぶ涼しくなってきました。そろそろ通勤時にカーディガンや冬物のコートを用意して暖房器具も準備しなくてはならなくなってきました。我が家では節電のために暖房器具は石油のファンヒーターをメインに使用していますが、イランの一般的な家庭で普及している暖房器具はどのようなものでしょうか。
●ラジオより
中:田舎の方はよく知りませんが、テヘラン市内で一般的な暖房器具というと、ショファージ、セントラルヒーティングですよね。
山:そうですね。ショファージは室内の壁の下のほうに取り付けられていまして、基本的な暖房器具として欠かせないものです。そろそろ肌寒くなってきたと感じたら、まずこのショファージをつけますよね。それから、イランはご存知の通り、天然ガスの生産国でして、ガス料金が他の国と比べて安いことから、イランではガスを使用した暖房器具が使用されています。寒さがいよいよ本格化してきますと、ショファージに加えてガスストーブの出番ということになります。もちろん、ショファージもガスを使用したものだそうです。
中:そうですね、今ではテヘラン市内では都市ガスが完備しているので、ショファージもガスが燃料ですが、十数年前私が住んでいるあたりはまだ都市ガスが来てなくて、当時はアパートの地下には軽油を入れるドラム缶よりも大きなタンクがあってそこでボイラーをわかしていたんですね。ショファージはここで暖めたお湯をパネルに通してその熱で部屋を暖めるものですが、壁に取り付けることが多かったのでそこには棚や家具が置けなかったんです。今では床暖房を入れたり壁の下の幅木の中にヒーターを通したりするシステムもあるようです。いずれにしても直接火を燃やすわけではないので、やけどの心配も中毒の心配もありません。
●リスナーより
イランの食文化、日本でも身近な食材を取り上げてくださり、うれしく思います。イラン料理は結構手間暇かけて作るのですね。お客様へのもてなしようでしょうか。普段はどんなものを皆さん食べているのでしょうか。
●ラジオより
中: さて、この日の「イランの食文化」ではちょうどなすを取り上げたのですが、なすとお肉、あるいはミートボールのトマト煮込み、そして、キャシュクバデムジャーンは家庭でもよく作られる料理ですね。イランでは家庭料理とおもてなし料理にあまり違いはありませんが、よく出されるおもてなし料理というのはありますよね。
山:そうですね。イランでは、お客様を家に招く習慣が日本よりも良く見られることが、まず大きなポイントになると思います。そして、お客様を招く際には、やはり、お昼や夕食を一緒に、というパターンが普通ですよね。しかも、イラン人の女性はお料理に非常に力を入れている方が多くて、お客様ともなれば、最低2,3種類のメニューをこしらえます。こういうときの定番のメニューとしては、季節を問わず、ライスと鶏肉の煮込み、それから野菜と肉を一緒に煮込んだコルメサブズィでしょうか。この2つは私の大好物でもあります。
中:山口アナのお宅でよく作ってらっしゃるイラン料理にはどんなものがありますか?ご主人のお好きなものとか。
山;そうですね。私も長年イランに滞在して、イランの普通の家庭の食卓に出てくる定番メニューでしたら一応作れますので、ごく標準的なイラン食も作りますし、また時には日本から持参した食材で、こちらで手に入る食材とあわせて、ちょっとした日本食も作ります。幸い、主人は私の作ったものなら何でも食べてくれます。手前味噌になりますが、もうだいぶ前に、我が家に来客がありましたときに、先にご紹介したお客様用の定番メニューの1つである、野菜と肉の煮込み・ゴルメサブズィーを作りました。そのときに、通常の味付けよりも酸味を強くして、胡椒を加えたんですよ。この味付けは、イランの南部、ペルシャ湾沿岸地域でよく見られまして、バンダリー、つまり港町の風味として知られています。そのときのお客さんはやはり目ざとく、すぐに南の方の味付けだと分かりました。日本人の作ったイラン南部の風味のメニューは相当珍しかったようですが、お蔭様で大変好評でして、少しも残らず完売となりました。
中:そうですか。家庭料理の代表的なものは煮込み料理ですが、大事なお客様の時は、キャバーブと呼ばれるバーベキューを出すことも多いですね。キャバーブを焼くのは男性の仕事です。ほかには、鶏の丸焼きを出したりすることもあります。