11月 27, 2016 15:10 Asia/Tokyo
  • 子供に社会性を身につけさせる上で大きな役割を担う教育機関

子供に社会性を身につけさせる上で家庭に次いで大きな役割を担うのは、学校などの教育機関です。

言うまでもなく、社会の産業化や就労する女性の増加に伴い幼稚園や保育園は子供を集団生活に慣れさせるプロセスの一環を担っています。残念ながら、この数十年間で多くの家庭は、その主要な役割を幼稚園や保育園に委ねてしまっていますが、一方でこれらの機関だけでは子供の全てのニーズを満たせないということには気づいていないのです。

保育園や幼稚園については、何歳で子供を入園させるかという重要な点に注目する必要があります。明らかに、子供にとって2,3歳くらいまでは家庭で母親の下で過ごすほうが良いのです。それは、この場合には人格の形成に極めて重要である愛情面での結びつきや精神の安定が促進されうるからです。もっとも、母親がしかるべき条件のもとにあるために家庭で自ら子供の世話ができない場合には、2歳以降であれば子供を保育園などに預けても差し支えないと思われます。

ここで、保育園の状況に注目し、子供を預ける上でどのような特質を持つ、いずれの保育園がふさわしいかについて考える必要があります。言うまでもなく、2歳から3歳以降の子供には社会的な経験も必要となります。自分と同じ年齢の子供たちと触れ合うことは、子供が自分の周りの社会から多くの事柄を学べる環境を作ることになります。子供の社会的、言語面での成長のために必要な基準を満たした、良質の保育園や幼稚園における子供の社会的な成長、他人との付き合い方や言語の習得、言葉やそれ以外のものを理解する力を養うことは決して欠かせないものと思われます。

保育園や幼稚園の教師は、子供の教育に重要な役割を果たしていることから、特別な基準に注目した上で選ばれる必要があります。それは、彼らが子供の母親たちに代わって子供に必要な安らぎや安全を与えられるよう、特別な条件を備えていなければならないからです。子供といえど、大人と同様にそれぞれ違った性格、個性や行動様式を持っています。このため、幼稚園や保育園は子供に正しい言動を奨励し、誤った言動を修正するとともに、子供の身体や精神、情緒、社会面での自然な成長を促進するべき場であるといえます。

このため、教育者の言動や人格、さらに彼らがどの程度母親の代わりを務められるかということについて、検討する必要があります。要するに、幼稚園や保育園は、単に身体的な面で子供の世話をするのではなく、子供のニーズの全てに注目し、子供の成長ぶりやその個人的な状況を考慮し、睡眠や遊び、食事、十分な休息、その年齢の子供にふさわしい活動などの計画について、必要な措置を考えなければなりません。さらに、幼稚園や保育園が子供にとって安全な環境を整えることで、子供にとってふさわしい場所となれば、親は背自然と自分の子供をそのようなところに入れたいと考えるようになるはずです。

今日、西洋の社会では、女性にとって家庭内の雑事や、妻そして母親としての役割は、主要でない二番目のものと考えられています。こうした社会では、女性の自宅外での就労が非常に注目され、女性にとって最も重要な第1の責務と見なされているのです。子供を持つ親が就労し、子供より仕事を優先し、母親としての役割を保育園や保育士などにゆだねてしまうことは、後になって子供に悪影響を及ぼす可能性があります。

アメリカ・ペンシルバニア大学のジェイ・ベルスキー教授は、保育縁が子供の信頼を損なわせ、週に20時間以上の長時間にわたって子供を保育園に預けることは、子供や社会全体にとって非常に危険な結果をもたらすと考えています。研究調査からは、すぐにキレやすい子供や学業を途中で放棄したり、犯罪により補導された子供、またアルコールの服用者やホームレス、刑務所への収監者の多くを占めているのは、子供時代に十分な愛情を受けられなかった人々であることがわかっています。

現在、ヨーロッパの社会に無料の保育園が存在していることは、保育園を母親や家庭の代替手段とすることを目的とした計画の1つを示しています。カナダの作家ウィリアム・ガードナーは、『家庭に対する戦争』という著作において、次のように述べています。「保育園は、家庭を相手とする戦いにおける急進的な武器である、人々は、保育園というものを、それを本当に必要とする人のために求めているのではなく、母親としての義務から女性を解放するための、女性にとっての全面的な権利と見なしているのである」

しかし、ヨーロッパ社会は現在、子供のしつけにおける母親の役割や位置づけを軽視してきたことにより、大きな問題に瀕しています。これについて、アメリカの社会学者キングスレー・デービスは次のように述べています。「どうやら、西側諸国における教育システムの主要な機能の1つは、子供と親の関係を疎遠なものにすることだと思われる」 今や、西側諸国の母親は、自分の時間の多くを自宅外や職場で過ごしており、子供は保育園で過ごすことが多くなっています。母親は帰宅してからも、疲れているために母親としての役割を十分に果たせない状態にあります。アメリカ・ハーバード大学の元教授だったバートン・L・ホワイト氏は、保育園を子供にとって大惨事を引き起こす場所だとし、次のように述べています。「保育園が母親の愛情を上回るものを生み出すことは、到底不可能である」

イスラムの見解では、いかなる組織や機関といえど、特に子供に対する母親の愛情をはじめとした、家庭の役割の代役は務まらないと考えられています。イランのイスラム革命最高指導者のハーメネイー師は、子供に対する両親の注目とその効果的な存在について、次のように述べています。「家庭は、愛情や感情が成長、成熟し、子供が愛情や慈しみを体験する場所である」

子供を持つ親は、適切な計画を立てることにより、子供と遊んだりして彼らの1日の時間を埋めてやり、自分たちの価値観を体験的に子供に伝えるとともに、子供時代から愛情にあふれた親密な関係の下地を作る必要があります。ここで注目すべきことは、伊r何陣の家庭の間では、祖父母が孫の社会的、情緒的な成長において、孫の世話や孫との関係作りに大きな役割を果たしているということです。