3月 30, 2017 21:03 Asia/Tokyo
  • イランのゾロアスター教徒

今回の番組では、イランのゾロアスター教徒についてお話しすることにいたしましょう。

イランイスラム共和国憲法では、ゾロアスター教、ユダヤ教、キリスト教のイラン人は法の範囲内で、宗教儀式を行うのは自由であり、宗教的教育においてはその慣例に従って行動しています。憲法第14条では、イラン政府とイスラム教徒には、非イスラム教徒に対してイスラム的に公正に対応し、彼らの人権を守ることが義務付けられています。この原則は、イスラムやイランに対して陰謀を企てない者に対して適用されます。

それではここから、イランの歴史と深く結びついているイランの宗教少数派についてお話しすることにいたしましょう。今夜はゾロアスター教についてお話いたします。

ゾロアスター教で、「宗教」は、見る、知る、理解する、さらに良心を意味します。ゾロアスターは自らの教義やメッセージを善き宗教、良心という意味の言葉で呼んでいます。ゾロアスター教では、宗教を持つ人とは人の助けによって、宗教や内面的な世界を知り、正しい道を見出し、選択していく人のことです。

ゾロアスター教の歴史は、アベスター後でザラスシュトラと呼ばれる人物が出てきたことで始まります。天文学や言語学によれば、ザラスシュトラが紀元前1737年、30歳のときに自らの預言を明らかにしたときからその歴史が正式に始まったということです。

ザラスシュトラが生まれたのは、イラン北東部、中央アジア、アフガニスタン、パキスタン北西部といわれています。ゾロアスター教の教典アヴェスターは、彼が生まれたのは川岸で、おそらくセイフーン川かアムーダルヤー川の可能性が高いとしています。ザラスシュトラは、30歳のときに自らの宗教を明らかにしました。彼の最初の、最大の仕事は全ての神々を否定し、人々が崇拝する神は唯一の存在だということを知らせることでした。

アケメネス朝時代には王や庶民の多くがゾロアスター教を信仰していました。サーサーン朝時代には、この宗教は国の正式な宗教と発表され、それまで以上に拡大しました。

7世紀、イスラム教徒がイランに入ってきた後、多くのイラン人がイスラム教徒になり、イスラムはゾロアスター教に代わって、国の正式な宗教になりました。9世紀、ゾロアスター教徒のグループはインドに移住しました。イランに残ったグループもおり、彼らはゾロアスター教徒としてその生活を続けました。

ゾロアスター教徒は昔から、ゾロアスター教徒が集まる都市や村の地区の多くで、ゾロアスター協会という名の団体を結成し、社会、慣習、文化、慈善問題を管理し、学校や他の機関を運営してきました。さらにゾロアスター教徒の地区の多くでは、女性問題を扱う機関も設立されています。

ゾロアスター教徒は、世界ゾロアスター教徒会議という名の議会も有しており、その設立の目的は、世界のゾロアスター教徒の発展、生活状況の改善や宗教・文化遺産の維持に向けた、関連機関同士の協力の拡大です。この議会は世界中のゾロアスター教徒にとって特別な価値や信用があり、常に政治、文化、宗教の要人が彼らに特別な注目を寄せています。世界ゾロアスター教徒会議は、1回目と6回目がイランで開かれ、事務局はテヘランにあります。

現在、イランでゾロスター教徒は、二番目に多いマイノリティーとなっています

人口はおよそ4万5千人で、イランの各地に散らばっていますが、主に、テヘラン、ケルマーン、ヤズド、シーラーズ、ザーヘダーン、アフワーズに多くいます。

ゾロアスター教徒はテヘランに9つ、地方に8つの学校を有しており、小学校から高校までがあります。さらにゾロアスター教の司祭を養成する学校もあります。

ゾロアスター教徒のこの他の活動として、出版活動を挙げることができます。彼らは宗教、社会、文化問題を扱う10の出版社を経営しています。

ゾロアスター教徒は祖国を守ることにも参加し、1980年代のイランイラク戦争では15人が殉教しています。彼らは憲法に従い、イラン国会に一議席を有し、国の決定にも関わっています。

ゾロアスター教徒は火を崇拝しますが、それに関しては意見の相違があります。イスラム大辞典によれば、古代イラン人は天、地、太陽、月、星、火、風といった様々な神をあがめていたとあります。この中で、イランの人々は火を崇拝していたのではなく、火を神の光の象徴と見ていたと考える人もいます。番組の専門家、ピーシュヴァーイー氏はゾロアスター教についてこのように語っています。

「ゾロアスター教徒の慣習の中で、祝祭は、自然、歴史、社会的な理由を有している。ゾロアスター教が正式な宗教だった7世紀まで、祝祭は一般のものだったが、イスラムが入ってきた後、これらの祝祭は宗教的なものと、国民のものとに分けられるようになった。基本的にゾロアスター教において、喜び活力を得ることは宗教的な義務であり、祝祭を執り行うことはゾロアスターの司祭の務めとなっている。ゾロアスター教徒の暦法では、毎月、日にちと月の名前が同じ日に祝祭を行う。この暦法では1か月は30日で、毎日名前がついていた。現在、すべての月の祝祭は行われていない」

ノウルーズ、メフルガーン、サデ、ヤルダーは、ゾロアスター教の祝祭であり、ノウルーズとヤルダー、つまり新年と冬至は他のイラン人によっても大々的に祝われています。