洗剤、化粧品、衛生用品
洗剤、化粧品、衛生用品は、イランの非石油製品の輸出品目のひとつとなっています。薬品・衛生用品は、軍事産業と同様に、世界の非常に重要な戦略的産業のひとつとなっています。洗剤、化粧品、衛生用品、医薬品、食料、医療設備は、人間の健康にかかわる重要な産業です。
健康や衛生は、今日の世界において、各国が発展を遂げる上で重要な要素のひとつであるため、洗剤・清浄剤が人々の生活や健康、福祉の向上に果たす役割もこれまで以上に明らかになっています。
人間は、手や身体を清潔に保つことがさまざまな病気と関係があることを知ったときから、衛生に気をつけるようになったようです。手洗いや清掃の際に温水を利用することは、当時の人々の最初の経験から得られたものだと考えるべきでしょう。
紀元前2500年から紀元476年までの時代、すでに身体や服を洗う習慣が広まっていました。その後、公衆浴場ができたことにより、身体を洗うことは社会的な礼儀として注目されるようになりました。最初の洗剤として用いられたのは石鹸でした。石鹸は、何千年もの間、身体や衣服を洗う唯一の物質でした。洗剤や石鹸についてはさまざまな原料や形の天然の製品が作られ、改良されてきました。
一部の歴史資料によれば、石鹸という単語は、ローマのサポという古代の丘に由来するということです。この場所では、いけにえの羊を焼いて神に供える風習があり、滴り落ちた脂と木の灰が雨によってテベレ川に流れ込み、その土にしみこみました。この地域の人々は、その土に洗浄能力があることを突き止めました。そのため、それを衣服や身体の洗浄に利用していました。
後に、植物の灰を使った石鹸が作られました。そのためには地中海性気候で育つ植物が多く使われていました。イタリア、スペイン、フランス南部などでは、植物の油、特にオリーブオイルが使われていました。ヨーロッパ北部では、魚や牛などの動物の脂から石鹸が作られていましたが、植物の油で作られた石鹸は、動物の脂で作られたそれよりも非常に質の高いものでした。
過去数世紀の間、各国の産業や技術の発展と共に、石鹸にも大きな変化が起こります。石鹸の大量生産により、それは貴重な製品ではなくなり、生活必需品となりました。
イランは、地域の洗剤・衛生用品の生産の中心地となっています。イランには、この分野で活動する数百の工場が存在し、大小の多数の工場が、この産業の原料を製造しています。中でも、洗剤の生産工場が、この産業の中心となっています。
イランは、豊かな石油・天然ガス資源の存在により、洗剤や衛生用品の生産における利点を有しています。この利点は、ナレッジベース企業の活動に適した土台を整えています。
イランの一部のナレッジベース企業は、ナノテクノロジーを利用した洗剤の生産において大きな成功を収めました。ナノテクノロジーの利用は2つの形で行われています。ひとつは、この技術を使って製品を生産すること、もうひとつは、生産された製品の質を、この技術によって向上させることです。
ナノテクノロジーを利用した洗剤や衛生用品を生産するナレッジベース企業では、液晶画面、自動車の車体やエンジン、木材、ガラスの洗浄の他、ティッシュペーパーなどの衛生用品などが生産されています。
殺菌剤に関しても、これらの企業は、さまざまな用途に使える殺菌剤の製造に成功しています。これらは、医療機器などの重要な設備や機械の殺菌に利用されています。
ここ数年、イランでは数百万トンという洗剤や衛生用品が生産されてきました。イラン人一人当たりが年間に使用する洗剤の割合は、世界平均をわずかに上回っていることから、国内の需要の98%は、国内で生産される洗剤でまかなわれています。とはいえ、健康に関する産業のイランの生産能力の高さにより、数年前からは、イラク、アフガニスタン、パキスタンの他、中央アジア諸国やペルシャ湾岸諸国にも輸出されています。
イランから海外に輸出されている洗剤・衛生用品には、洗剤、殺菌剤、シャンプー、液体洗剤、日焼け止めや保湿クリーム、芳香剤、歯磨き粉などがあります。
洗剤、衛生用品、化粧品の分野で活動するイランの企業は、経験を積んだ専門家を起用し、最新の設備と技術により、国内の8000万人の市場の需要を満たすだけでなく、周辺国の2億5000万人の市場にも進出する能力を有しています。