先進技術が家庭に及ぼす悪影響
これまで、先進技術が生活における非常に有効な機能やメリットを有している一方で、その使用法を誤ると大きな弊害をもたらすことについてお話しました。
前回は、先進技術やインターネット空間が家庭に及ぼす悪影響の一部について説明しました。今回も引き続き、この問題について考えていくことにいたしましょう。
現在、インターネット空間には低俗な画像や映像を含んだサイトやブログが数多く存在しています。これまで西側諸国では、衣服などの商品の宣伝に女性を利用することは普通でしたが、これらのサイトはさらにエスカレートし、最も低俗な光景をあからさまに宣伝しています。こうしたサイトが発信する低俗な内容は、非常に下劣で破壊的であることから、インターネットはモラル上最も深刻な危険と化しています。
精神科医は、ポルノグラフィが児童虐待や性的暴行と同様に、精神的、性的な退廃の要因となると考えています。さらに、ポルノ依存症により、健康的な家族関係や夫婦関係に混乱が生じ、時には家庭を崩壊させることもあります。ある調査によりますと、4000万人のアメリカ人が定期的にポルノ関係のサイトを閲覧しており、そのうちの3分の1は女性となっています。さらに、こうしたサイトにアクセスする男性の70%は、平均して18歳から24歳だということです。また、複数の調査から、インターネットによる検索のかなり多くは、性的な内容だとされています。
インターネットは無制限に自由であることから、性的な内容のサイトにアクセスし、自由で性的な関係を作る場となっています。インターネット上でのこのような状況は、確実に性的なモラルにおける危険な変化の出発点となる可能性があります。
低俗なコンテンツや画像を目にすることで、最大の被害を受けるのは子供であり、彼らはそれにより性的な行動に走ります。また、成人についても、モラルに反するサイトを検索し、アクセスすることで、異常な性的行動に走る可能性があります。
アダルトビデオは、未成年や青少年の性行為や性に関する見方に、極めて醜悪で破壊的な影響を及ぼし、男女関係の不適切な画像を提示します。イタリアの社会学者マルザノ氏によりますと、2002年まではアダルトビデオを初めて見た際の平均年齢は13歳とされていました。現在、インターネットによりポルノ映像にアクセスがしやすくなったことから、この統計はさらに低年齢化しています。
精神科医は、未成年や青少年がこのような映像や画像を眼にすることは、精神や情緒面での弊害は勿論、彼らに肉体的な危険や弊害をももたらすと考えています。こうしたサイトで性的暴行の現場が映し出されることは、青少年に取り返しのつかない悪影響を及ぼします。中には、彼らに対しこのような行動を奨励している場合もあります。この数年、世界の多くの国では児童青少年がインターネット上のチャットルームを通じて、それまで面識のなかった人と知り合い、暴行を受けた後に自殺した、というニュースが報じられています。
低俗なコンテンツを見ることで受ける最初の影響は、そうした事柄への依存症です。モラルに反するコンテンツを1度見てしまうと、再びそれにアクセスし、このプロセスが何度も繰り返されます。いかがわしいサイトへのアクセスが止められなくなります。ポルノ依存症に陥った場合、普通は一人でそれを断ち切ることは出来ません。しかし、こうした依存症には、家族や仕事を失ったり、離婚、他人への性的暴行などによる法的訴追といった結果が待ち受けています。
インターネットによるポルノ依存症は、麻薬中毒によく似ています。この依存症の第1の特徴は、物事を軽視したり、否定したりすることです。即ち、この種の依存症に陥った人は、そのほかの依存症の人々と同様、自分の行動について周りの人に嘘をつき、非現実的な考えにより、問題がそれほど重要ではないように見せかけます。例えば、自分の妻に対して、「自分は自分の行うべきことをやっているのであり、間違っているのはお前だ」というような発言です。また、何かの問題やそれによる悪影響を、大したことのないように見せる発言も含まれます。それは例えば、「これは遊びで、疲れを癒すためのものだから、やめようと思えばいつでも止められる」といったものです。
ポルノ依存症の第2の特徴は、この依存症に陥った人々の多くが、自分の行動に罪悪感を感じていることです。このため、彼らはほかの依存症の患者と同じように、この症状を治療し、抜け出そうとします。3番目の特徴は、依存症は長期にわたり、またそのために莫大なエネルギーを費やすことです。彼らは、毎日増える低俗なサイトの閲覧に、連続して何時間も費やします。また、インターネットを使っていない時間帯にも、常に性的な事柄のみを思い浮かべ、次はどのサイトにアクセスしようかを考えています。
4番目の特徴は、この依存症が止められず、進行し、次第にアクセスせざるを得ない回数が増大します。最初のうちは、単に遊びや暇つぶしに見ていたのが、しばらく経つと、もはやそれでは収まらなくなります。残念ながら、インターネットが無限にどこまでも進めるという可能性を作ってしまったことから、こうした依存症に陥った人々は遂には、最悪の性的な内容にアクセスしてしまうのです。
インターネット上の低俗な画像や映像には、時として人道に反し、暴力を含む内容が提示されます。こうした依存症に陥っている男性の一部は、実際の夫婦生活においてもこうした関係を望んでおり、妻に対して自分の思いどおりにできると考えています。このような行動は、醜悪な結果をもたらし、時には離婚に至ることもあります。
一方で、一般的に見て外見の整った女性の姿を見ることで、インターネット依存症の男性の一部はそうした女性たちと自分の配偶者を比べるようになり、自分の妻にもネット上のこのような女性のようになることを期待します。こうした比較により、彼らは惨めさや失望感に陥ってふさぎ込んだり、現実的な夫婦関係や生活から遠ざかる可能性があります。
社会学者は、低俗な文化が広まった結果として起こる精神的、性的な病気は、社会に問題をもたらすと考えています。さらに、体を露出する文化や責任逃れの傾向が強まることも考えられます。ネット上のポルノの閲覧は、実際には何の努力もせずに偽りの快感や性的な興奮を感じることを意味します。この場合、若者は深い愛情関係や夫婦関係、現実的で意味のある恋愛や親しさではなく、コンピュータによる無意味で不完全な関係を優先し、結婚への傾向を示さなくなります。
それでは、インターネット上のいかがわしいサイトがこれほど拡大し、ある国がこれをフィルターで遮断すると、西側諸国の政府の抗議を受けるのはなぜでしょうか?今や一大産業にもなっている、サイバー空間上のポルノグラフィーを拡大する西側諸国の第1の目的は、年間数十億ドルと見積もられるこの産業の市場規模です。2番目の目的は、人々を低俗なサイトに釘付けにし、彼らが身の周りに注意を払わなくなるようにし、社会レベルで羞恥心を失わせ、犯罪行為を当たり前のものにすることで、楽に自らの目的を達成することにあります。犯罪行為が当たり前になることで、人々の認識や人格に破壊的な影響が及び、その結果常識の低下や自己忘却、精神性や宗教的な行為からの乖離、人間としてのプライドや国民感情の喪失、家庭崩壊につながります。
いずれにせよ、残念ながらインターネットの出現により、倫理上許されない新たな種類の性的関係が生まれています。調査の結果、チャットルームやEメールの発信、ソーシャルネットワーク上の関係といったネット上のやり取り、ポルノ画像の閲覧は、夫婦関係の崩壊や配偶者への裏切りに発展し、最終的には離婚に至る可能性があるのです。