1月 16, 2019 05:30 Asia/Tokyo
  • インドレイヨウ
    インドレイヨウ

今回は、美しいイランの稀少動物・インドレイヨウをご紹介することにいたしましょう。

イランの最も美しいデリケートな動物の1つにインドレイヨウがおり、ブラックバックとして知られています。インドレイヨウは近年、干ばつや違法な密猟のために絶滅の危機に瀕しています。この動物の生息地はインド、パキスタン、そしてイランまでの広範囲にわたります。

インドレイヨウは、ウシ科の動物の1種であり、シカによく似ていますが、体の色や角の形状などの面で、シカとは明確な違いがあります。また、シカの体色はより明るく、黄土色であるのに対し、インドレイヨウは体毛が短く、やや赤みのある黄褐色で、腹部とでん部には白い毛が生えています。

この動物は、体重がおよそ25キロあり、オスとメスのいずれにも角が生えています。シカは、オスにのみ角が生えています。インドレイヨウの角はシカとは異なり、それほど外側に湾曲しておらず、ほぼ左右対称で、角の先端が前に湾曲しています。オスのインドレイヨウの角の長さは、平均してシカの角より10センチほど短くなっています。

インドレイヨウは、非常に耐久力が強く、砂漠地域の厳しい気候条件にも耐える力を持っています。水分をそれほど多く必要とせず、植物から必要な水分を確保しています。また、非常に速く走ることができ、その速度は時速80キロにも及びます。但し、走るときに跳躍することはありません。

インドレイヨウは普通、住処としては起伏の少ない平原よりは、小高い丘陵や潅木の茂みなどを好みます。この動物の最大の天敵は、俊足であることや住処などからチーターとされ、また人間を非常に恐れています。インドレイヨウは、非常に鋭敏な嗅覚と聴覚、そして視力を持っており、自分にとって脅威となるものや危険の源を迅速にかぎつけ、逃げることが可能です。

インドレイヨウ

 

イランの自然環境におけるインドレイヨウの交尾の季節は、地方によって異なります。熱帯地域では秋の初め、冷帯では秋の終わりに交尾が行われます。インドレイヨウの間でも、その他のウシ科の動物と同様に、交尾の時期には相手のメスをめぐり、オス同士で激しい競り合いが繰り広げられ、時には争ったうちの一方が負傷したり、或いは死亡することもあります。

インドレイヨウの群れやその生息地では、交尾の時期を除き、通常は壮年のオスの群れはメスの群れや若いオスとは離れています。交尾の時期の始まりとともに、オスの群れは分裂し、1頭のオスと複数のメスとの間で交尾が行われます。

あるオスのインドレイヨウが、他のオスが仕切っている群れに入ろうとした場合、この2匹のオスの間で激しい争いが起こり、角を突き合わせて互いを攻撃します。もっとも、このような争いで勝利を収めるのは大抵、壮年のオスであり、しばらくの間の衝突の後、若いオスは争いの場から立ち去ります。それは、それ以外の場合には双方が勝ちにこだわることで、共倒れに終わる可能性があるからです。

インドレイヨウ

 

インドレイヨウの妊娠期間はおよそ170日間で、出産の時期は春の始めです。インドレイヨウのメスは、出産の直前には自分の群れから離れ、いよいよ出産が近づくと子どもを産むために、自分の生息地の状況を見極め、それから出産します。出産場所を選ぶ基準には、気候状況や風向き、日当たり、安全性の高い地域であることなどが挙げられます。

生まれたばかりのインドレイヨウの子どもは、非常に弱く、動く力がありません。インドレイヨウの母親は、生まれたばかりの子どもを舐めてきれいに乾かし、授乳してから適切な場所に隠し、自らはその周辺で子どもを見守りながら草を食べます。子どもへの授乳は大抵、早朝もしくは日没前に行われます。通常は、ハンターなどの敵から子どもを守り続けられるよう、毎回授乳するごとに子どもの隠れ場所は変更されます。

インドレイヨウの子どもは大抵、生後2週間ほどまでは母親を追いかけたり、共に歩くことができません。そして、この期間中は自らの住処に定住し、休息します。インドレイヨウの体色は、生息する環境の色に類似しているため、隠れたインドレイヨウの子どもを探し出すのは極めて困難です。

身を潜めたインドレイヨウの子どもも、人間が近づいてくると2メートル先までは動きを完全に停止します。しかし、それ以上近づくと、すぐさまその場から飛び出して逃げ、独特の鳴き声により母親に危険を知らせます。メスのインドレイヨウが成熟するのは、野生の状態では1年半ほどで、オスはおよそ2歳半とされています。

インドレイヨウ

 

イランにおけるインドレイヨウの生息地は主に荒地やステップ地帯で、イランの南半分と砂漠の周辺地帯を含みます。現在、この珍しい動物の絶滅を防ぐため、この動物の生息地は自然保護区となり、密猟が禁止されています。

現在、最も多くのインドレイヨウが生息しているのは、イラン中部マルキャズィ州にある、同国で最大かつ最も古い自然保護区、即ち砂漠国立公園です。インドレイヨウのそのほかの主な生息地は、イラン東部・南ホラーサーン州タバス行政区にあるナーイバンダーン野生動物保護区、そして、南部ファールス州にあるバフラームゴル、及びホルムードの2つの自然保護区となっています。

今日、イランの環境保護の分野の関係者は、インドレイヨウの保護に向けた大々的な活動を開始し、非常に価値のあるこの珍しい野生動物の絶滅を防ごうとしています。

 

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