7月 20, 2017 18:28 Asia/Tokyo

機械織りじゅうたんは、生産サイクルのひとつであり、経済的に高い価値を有しています。そのため、その発展は多くの産業の活性化につながります。

機械織りじゅうたんは、手織じゅうたんとは異なり、機械を使って生産されます。機械織りのじゅうたんは、原価が低いこと、短期間で大量に生産されることなど、様々な理由から、手織じゅうたんに比べて非常に安く手に入ります。最新の技術の利用、異なる原材料、織り方の多様性により、さまざまな種類の機械織りじゅうたんが生産されています。

イランの機械織りじゅうたん

 

機械織りじゅうたんの手織じゅうたんとの違いのひとつは、アクリル、ポリエステルやポリプロピレンなどの合成繊維が使用されていることです。アクリルは機械織りじゅうたんの生産に最も多く使用されている合成繊維のひとつです。この種の合成繊維は、天然の羊毛と非常によく似ています。アクリルは、他の合成繊維と比べて、耐久性や質の点で優れています。アクリル繊維によって生産された機械織りのじゅうたんは、他の機械織りじゅうたんに比べて価格が高くなっています。

 

ポリエステルも、機械織りじゅうたんの生産に使われる合成繊維のひとつで、光沢があること、洗濯が簡単であることなどの様々な理由により、世界市場で最良の敷物として注目されています。ポリエステルが使われた機械織りのじゅうたんは、光沢があって品質が安定しており、絹のじゅうたんとよく似ているため、多くの顧客の注目を集めています。

 

じゅうたんの価値を決める要素のひとつは、手織であるか機械織りであるかと、織り目の細かさです。絨毯の価値を決めるのは、1メートル四方の織り目の数です。織り目の数が多ければ多いほど、じゅうたんは細かくなり、手織じゅうたんによく似るため、その価値も高くなります。

 

デザインも、じゅうたんの価値を決める要素の一つです。今日、機械織りじゅうたんのデザインでは、幾何学模様、子供用のアニメのキャラクターなど、現代的なデザインが増えています。しかしながら、今なお、イランの手織じゅうたんの伝統的なデザインからヒントを得たものも人気があります。今日、イランの手織じゅうたんの数千年の痕跡を、機械織りじゅうたんのデザインの中に見ることができます。

イランで機械織りじゅうたんが生産されるようになったのは、およそ半世紀前のことです。1970年代の初めに、イランで最初の機械織りじゅうたんが、中部カーシャーンの工場で、専門的な機械によって生産されました。この種のじゅうたんは、比較的毛が短く、重量も軽いものでした。

 

時が経過し、カーシャーン産業会社の設立により、この会社は機械織りじゅうたんだけでなく、この産業に必要な原材料の生産にも取り組みました。こうして1974年、この工場の最初の生産品が市場に提供されました。この生産品は、手織じゅうたんに非常によく似ており、広く注目されました。その後、数多くの機械織りじゅうたん工場が創設され、この分野で活動を行うようになりました。

 

現在、イランの各地には様々な名前の機械織りじゅうたんの生産工場が存在しています。

 

機械織りのじゅうたんの生産は、紡績から仕上げまでの3段階で行われます。最初の段階では、まず繊維を工場に持ち込み、染色した後に紡績部門に送ります。そこでは、じゅうたんに必要な糸に番号が付けられます。

 

じゅうたんに使用される糸は、さまざまな段階を経て、熱や蒸気をあてて安定させます。これにより、糸の質が向上し、機械織りじゅうたんの質の向上につながります。

 

こうしてできた糸によっておられた機械織りじゅうたんの特徴のひとつは、洗った後にも色が変わらないことです。また、熱や光にも強く、耐久性が高くなります。手触りもよく、けばだったりせず、じゅうたんを長く使うことができます。

 

紡績の後には、じゅうたんを織る部門に移ります。この段階では、織り機によってじゅうたんが織られます。そして最後の段階は、じゅうたんの完成です。この段階には、じゅうたんの表面を整えたり、品質をコントロールしたり、包装したりといったことが含まれます。この段階が終了すると、じゅうたんは目的の市場に送られます。

 

イランの一部の工場は、じゅうたんを織るだけの部門など、特定の分野のみで活動しており、また市場に送られるところまでのすべての段階を請け負っている工場もあります。

 

機械織りじゅうたん産業は、イラン経済において重要な産業のひとつです。この産業は、イランの繊維産業の優れた5部門のひとつであり、そのさらなる発展は、イラン商鉱工業省の戦略的な計画のひとつとなっています。現在、イランの機械織りじゅうたんの生産能力は、年間およそ1億2000万立方メートルとなっています。イランの繊維産業で活動する労働力のうち、10%以上を、機械織りじゅうたん産業に関係する人材が占めています。この部門は、年間8000万立方メートルの機械織りじゅうたんを生産しており、それはイランの繊維産業の価値の5%を占めています。

イランの機械織りじゅうたん

 

イランで機械織りじゅうたんを生産している都市は、マシュハド、テヘラン、ヤズド、イスファハーン、デリージャーンです。イスファハーン州では、アラーンヴァビードゴル、カーシャーンが、機械織りじゅうたんの生産の中心地として知られ、世界における主な生産地となっています。イランの機械織りじゅうたんの工場の80%が、この地域に存在し、イランで生産される機械織りじゅうたんの70%がこの地域で生産されています。

 

イラン中部のカーシャーンには、700を超える工場が、機械織りじゅうたんの生産に関わっています。この町の生産品や労働力の80%が、機械織りじゅうたんに関係しています。カーシャーンの機械織りじゅうたんのデザインの多様性、美しさ、質は、世界各国の多くの人々の注目を集めています。現在、この地域の生産品は世界40か国以上に輸出されています。カーシャーンの機械織りじゅうたんの主な輸出先は、オーストラリア、ベルギー、トルコ、ドイツ、イギリス、中国、パキスタン、イラク、アフガニスタン、中央アジア、中南米諸国となっています。

 

近年、イランの機械織りじゅうたん産業は、質の点で、世界で第1位、量の点で世界第2位となっています。

 

 

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