9月 01, 2017 20:07 Asia/Tokyo
  • イランの製薬産業
    イランの製薬産業

この時間は、イランの製薬産業についてお話ししましょう。

製薬産業は、人間の健康に影響を及ぼすことから、世界でも高い利益のある重要な産業のひとつです。雑誌「フォーチュン」は、2010年、製薬産業を、利益ある、投資に適した世界の産業の第3位に挙げました。この産業への投資は、概して成長を伴っています。人口の増加と医療サービスへのニーズが、この産業への投資の成長を促す要素となっています。

 

このほか、製薬産業の成長を促す要素としては、高齢化、慢性的な病気、一部の国の経済的な福祉や医療保険、新興国市場の製薬産業の発展、技術や医療の進歩が挙げられます。また、この市場への投資の利点には、世界の製薬産業の成長率の変動が少ないことがあります。

イランの製薬産業

 

医薬品市場は、他の市場に比べて、経済的な変動の影響を受けにくくなっています。そのため、他の産業に比べ、経済の繁栄や停滞の影響を受けません。2008年から2009年の金融危機の際にも、この市場は7%以上の成長を遂げました。現在、世界の製薬産業の規模は、1兆ドルを超えています。

 

とはいえ、製薬産業の費用は、他の産業に比べて非常に高くなっていることも忘れてはなりません。この産業にかかる費用の中でも重要なものに、研究開発費があります。製薬産業の研究開発費は、他の先端技術を伴う産業を上回ります。世界の医薬品産業は、人間の健康や生活に直接かかわることから、常に、革新と発展を続けています。世界を代表する製薬会社は、莫大な収入の大部分を研究開発費用にあてることができています。これらの会社は、平均して、売り上げのおよそ40%を研究開発や市場の獲得、投資に充てています。

製薬産業

 

この他、医薬品産業の特徴は、将来を見据えた産業であることです。現在、病気の治療に使用されている医薬品は、何年も前に研究、開発されたものです。また、今後数十年に渡って治療に使われる医薬品は、これから研究、開発される必要があります。そのため、この産業では、将来を見据えることが重要になっており、それには莫大な費用を投じなければなりません。さまざまな研究では、一つの医薬品を開発、提供するには、時には時間にして15年、およそ1万通りの組み合わせ、10億ドルの費用かかることもあるとされています。

 

医薬品産業は、非常に独占的です。世界の主な医薬品は、北米やヨーロッパで製造されています。2013年の統計によれば、世界の医薬品市場に占める割合は、北米が37%で最も多く、中東やアフリカは4%でした。

製薬産業

 

医薬品市場は、この産業の資金の循環に基づいてはかられます。世界の製薬産業の資金の循環には、原料の買い取り、消費者への売却、医薬品の輸出入、投資、製薬会社の市場価値が含まれます。世界の医薬品市場では、医薬品の開発と消費のシェアの79%を先進国が占めています。言い換えれば、世界の人口の85%近くを占める開発途上国の消費量は、わずか21%となっています。

 

このような流れは、西側の経済状況、新興国の技術成長など様々な理由によって変化しており、医薬品の主な生産国や製造会社が、新興国を輸出市場にしているようです。つまり、医薬品産業は、開発と消費の点で、飽和状態にある欧米の市場から、アジアやアフリカの新興国市場へと移行しています。

イランの製薬産業

 

世界の医薬品市場の成長の大部分は、今後、ブラジル、ロシア、インド、中国、ウクライナ、ポーランド、アルゼンチン、エジプト、インドネシア、アルジェリア、南アフリカ、ルーマニア、ベトナムなどの新興国の市場の成長にかかってくると言われています。新興国の市場の成長は主に、人口の増加や新たな保健衛生サービス、各国の経済政策などの影響を受けます。

 

WHO世界保健機関によれば、イランは医薬品産業において80年の歴史を持ち、医薬品の開発国と見なされています。1979年のイスラム革命勝利前、イランでは、国内の医薬品のほぼすべてが直接、あるいは間接的に、多国籍企業から確保されていました。この頃の最大の問題は、外国に大きく依存し、イラン企業の競争力がほとんどなかったことでした。

 

しかし、イスラム革命勝利後、イランの製薬産業の主要な部門が国有化されたことで、この産業はいくつかの製薬工場の活動によって始動し、それから40年ほどで、現在、国内のニーズの95%以上をまかなうことができています。

 

 

イランの医薬品産業の業績を見ると、1979年から2015年の間、医薬品の自給自足率は、30%から96%に増加したことが分かります。イランの医師は、国内で開発された医薬品により、さまざまな病気を治療することができています。また、国内の医薬品の消費とその効果により、平均寿命が延びています。イランの製薬産業について、IRIB国際放送記者の報告をお聞きください。

 

 

「現在、イランの医薬品は、外国製品にも劣らない質を誇り、消費市場に出回っている。MSやエイズ、がんの治療薬、B型、C型肝炎のワクチン、危険な感染症、特定疾患の医薬品も製造されている」

 

この数十年の科学的な発展により、イランは、世界の製薬産業の上位10か国のひとつとして知られています。イラン製の医薬品は、地域諸国に輸出されています。その主な輸出先は、アフガニスタン、イラク、一部の中央アジア諸国です。