イランの畜産
この時間は、イランのイランの畜産についてお話しします。
たんぱく質は、他のどの物質よりも重要です。畜産とは、動物のうち、家畜や家禽を飼育し、乳製品や肉、卵、皮革などを得て生活に役立てる産業です。この産業は、人間や社会の健康、雇用の創出において重要であるため、世界各国の注目を集めています。
赤肉は、畜産物のひとつで、そこに含まれるたんぱく質などの存在により、重要な食品です。赤肉には、ビタミンB群をはじめとする体に有益なビタミン類が豊富に含まれています。赤肉の多くは、鉄分やたんぱく質を含み、鉄分やビタミンB12の存在により、貧血を予防し、歯を強化するのに効果的です。
赤肉はまた、視力の回復によいビタミンA、骨の強化に役立つビタミンD、がんの予防になるビタミンE、血液の凝固に関わるビタミンKを含んでいます。
赤肉は、健康を保ち、体の免疫力を強化し、体の成長を促すのに欠かせない食品です。様々な研究により、タンパク質を摂取しなければ、骨が育たないことが分かっています。赤肉を食べない子供は、疲れを感じやすく、周囲の環境に無関心になります。また、集中力が低下し、うつになりやすくなります。
とはいえ、赤肉の消費は適量を守ることが奨められています。なぜなら、必要以上の量を取ることで、がんやリュウマチなどの病気にかかる危険が高くなるからです。
羊は、赤身の肉に分類されます。世界には、200種類を超える羊が10億頭以上存在すると言われています。その種の多くは、経済的な価値が低く、世界の畜産業の4分の3以上は、20に満たない種類の羊に頼っています。
経済的な観点から、羊は、乾燥した気候に耐えることができ、最も安価な飼料によって成長を続けることができます。他の家畜に比べ、羊の飼育には費用がかかりません。
羊からは、肉、乳、毛、皮が利用されています。乳の生産は、羊の経済的な価値のひとつであり、牛の乳よりも脂質やたんぱく質を豊富に含んでいます。羊の乳の生産は、量が少ないものの、質が高くなっています。また羊毛も、その繊維の質や種類により、絨毯業や繊維業に利用されています。
この他、羊の腸は、イランをはじめとする各国の輸出品目のひとつです。イランは、世界5位の動物の腸の輸出国です。年間およそ1億トンの家畜の腸が、イランからドイツ、イタリア、ロシア、インド、トルコ、パキスタンに輸出されています。
動物の腸は、ソーセージやハムの生産に使用されます。また、腸に含まれるたんぱく質から、化粧品などが作られています。このたんぱく質は、外科手術の縫合糸にも使われています。
生きた家畜も、イランの非石油製品の輸出品目のひとつです。イランは生きたヤギや羊の世界8位の輸出国です。イランには、7000万頭近い羊やヤギが存在します。
イランで飼育されている家畜にヤギがいます。古代イランのレリーフには角があるヤギの絵が描かれていることから、この動物が数千年前からこの土地に生きていたことが分かります。現在、イランには、およそ2000万頭の野生のヤギが存在します。
ヤギの肉は、見た目は羊の肉に似ていますが、火の通りが遅く、脂質も低くなっています。また、羊の肉と比較した際の利点は、消化しやすいことです。世界の多くの国では、ヤギの乳が使用されています。
牛乳にアレルギーがある人の多くは、ヤギの乳を代わりに使用することができます。また、子供には牛乳よりもヤギの乳が奨められています。イランでは年間およそ60万トンの乳が生産されており、そのうちの半分をヤギの乳が占めています。
肉や乳の他、毛皮も経済的に高い価値を有しています。毛皮は、最も高価で質のよい天然素材のひとつです。
各国には多くのヤギが存在しますが、そのうち毛皮を生産できるのはほんのわずかです。これらのヤギは、赤道の近くや砂漠の周辺など、湿度の低い乾燥した地域で飼育されます。カシミアなどが取れるこの種のヤギの主な飼育地は、イラン、アフガニスタン、中国、モンゴル、ロシアです。
ヤギの毛皮は、美しく柔軟な繊維を持ち、靴下や手袋、ショールなどの生産に利用されています。
イランでは、ヤギの毛を使った帽子が作られています。この帽子は、イランの無形国家遺産にも登録されており、北東部の北ホラーサーン地方の手工芸のひとつです。この帽子の特徴は、寒さや湿度に強いことです。中には、この帽子をかぶると痛みが和らぎ、気分が落ちつくと考える人もいます。
ヤギの毛皮は、燃えにくいため、産業にも利用されています。ヤギの毛皮の特徴により、世界では、高い値段で取引されています。
牛の飼育も、イランの畜産業のひとつです。現在、イランでは、肉と乳の生産の2つの部門で、2万6000を超える飼育場が活動を行っています。
イランに存在するおよそ800万頭の牛のうち、100万頭近くが飼育場で育てられています。牛乳の生産を行う現代的な飼育場がイランに設置されたのは、50年以上前のことです。特に1979年のイスラム革命後、80年代から90年代に大幅に増加しました。この間、イランでは、乳製品の生産が大きく増加しました。
イランは、海外からの乳製品の輸入を停止し、自給自足を達成することにより、この分野の製品の輸出の第一歩として、アフガニスタン、イラク、トルコ、パキスタンの消費市場に参入しました。現在、イランの乳製品は、100万トン近くの生産量を誇り、およそ30か国に輸出されています。