畜産・養鶏産業(1)
この時間は、イランの畜産・養鶏産業についてお話ししましょう。
世界の人口は、毎年1億人増加しており、2040年までに、地球上の人間の数は、90億人を超えると言われています。そのため、人類の食糧の安全を確保することは、国際社会の関心事の一つとなっています。
世界の人口の増加を受け、畜産品の需要も増加しています。その重要性が増すのは、地球の温暖化による干ばつの危機により、農産品の生産と消費のバランスが崩れている問題に注目したときです。また、畜産品の衛生の問題に注目することも重要になっています。
今日、世界の人々にとって重要な食料のひとつは、畜産物です。世界の市場には、毎日大量の食品が提供されており、その主要な部分を、畜産品が占めています。
畜産品の生産の中で重要な要素のひとつは、家畜のえさ、飼料です。飼料には、牧草などの他、配合飼料があります。配合飼料には、大麦やぬか、綿実などを混合したものがあります。
国際飼料産業連盟によれば、世界の飼料の生産は、過去20年の間に40%増加したということです。
世界の統計によれば、2016年、世界で活動する飼料生産工場は3万件を超えたということです。これらの工場は、生産量を増加しただけでなく、社会の食糧の安全を高め、健全な食品を生産することにも貢献しています。
飼料生産工場の最も重要な役割は、トウモロコシや小麦、大麦などの消費を増やし、農産品や畜産品の廃棄物を利用することです。現在、世界では、年間およそ1兆トンの飼料が生産、消費されています。
イランで飼料産業が行われるようになってから、70年近くが経過します。イランの飼料産業は、産業用の養鶏場が誕生したことによって始まりました。時が経過し、この産業への投資が行われるようになったことから、現在、イランの飼料産業は、50種類以上、1900万トンの飼料を生産する可能性を有しています。
イランの飼料産業の規模は、110億ドルです。イランで生産された飼料は、国内のニーズを満たすだけでなく、中央アジア、イラク、アラブ首長国連邦、カタール、トルコ、シリアといった国々にも輸出されています。現在、イラン各地の飼料生産工場で働く人の数は、2万人となっています。
この分野では、イランで生産される飼料の質を改善、向上させる目的で、一部のナレッジベース企業が活動を行っています。
イランの養鶏産業には、七面鳥、カモ、アヒル、ウズラ、ニワトリ、ダチョウの飼育が含まれています。その生産品には、卵や肉があり、この産業の重要性は、栄養、収入、雇用、さまざまな産業における利用など、さまざまな側面に及びます。
栄養の点から、ニワトリの卵や鶏肉は、世界の人々にとって、安価で質の高い食品のひとつです。ニワトリの卵は、食品としての価値が高いことから、毎日、世界の多くの人によって消費されています。
卵には、高たんぱく質と、成長に必要なアミノ酸、鉄分、ビタミンK、A、E、B群が含まれています。また、卵には、魚の油の次に豊富なビタミンDが含まれています。平均的な大きさの卵1個のカロリーは、およそ77キロカロリーです。卵の殻には豊富なカルシウムが含まれており、土壌の強化や飼料として使用されます。
世界では、年間7000万トンの卵が生産されています。イランは、卵の生産の点で世界11位です。イランは、地域諸国の中でも、卵の輸出について高い地位を誇っており、近年は、地域の10か国以上に製品を輸出しています。
この他、養鶏産業におけるイランの輸出品に、ひよこがあります。現在、イランでは、500以上の養鶏場でひよこの飼育が行われており、300社の企業によって管理されています。
イランで飼育されたひよこは、国内の需要を上回った分が、近隣諸国に輸出されています。イラン暦の今年の上半期には、テヘラン西部のアルボルズ州で生産された3800万匹を超えるひよこが、ペルシャ湾岸諸国に輸出されました。
イランは、中東最大のニワトリの生産国です。この40年、政府の民間部門への支援により、国内の養鶏場が拡大しました。この産業の発展により、イランの家庭では、タンパク質の消費の新たなモデルが確立され、現在、イランの鶏肉の年間消費量は、世界の消費量の2倍以上となっています。
イランの鶏肉の生産量は、世界の上位10か国に入っています。イランの鶏肉は、主に、マーザンダラーン、ホラーサーン、ファールス、イスファハーン、東アーザルバイジャーン、マルキャズィー、テヘランの各州で生産されています。これらの州で、国内の鶏肉のおよそ半分が生産されています。
現在、イランの養鶏産業における廃棄物を減らし、利益を増加させるために、ニワトリの足の利用が増加しています。ニワトリの足には、タンパク質や各種のビタミン、ミネラルが豊富に含まれています。また、一部の国で食品としてだけでなく、化粧品や医薬品としても利用されています。