3月 18, 2018 20:49 Asia/Tokyo
  • プラス思考
    プラス思考

今回も、前回の続きとして、魂の健康の重要な要素として、物事をよい方向に捉える「プラス思考」についてお話することにいたしましょう。

魂の健康は、数多くの病気の予防や健康増進における重要な要素とされており、ストレスの多い時期を含めた全生涯を通して、人間にとっての大きな助けとなります。

前回は、魂の健康の重要な要素の1つとして、マイナス思考をやめ、プラス思考に切り替えて希望を持つことについてお話しました。多くの心理学者の間では、人間の生活の質はその人の物事の捉え方や考え方にかかっている、と見なされています。

人間は、プラス思考を持つことで、情熱や意欲、幸福感や健康、心の安らぎを得ることができます。マイナス思考が挫折感やツキのなさ、病気や惨めな状態をもたらすのに対し、プラス思考は自分に対する自信や計り知れない能力を高めてくれます。一方で、マイナス思考にはまると、無力感や劣等感、自分に対する不信感が強まり、その結果その人は多くの身体的、精神的な病気にさいなまれることになります。

 

心と体に対するマイナス思考の悪影響

 

魂の健康、ひいては完全な健康を獲得するには、マイナス思考をやめる必要があります。マイナス思考を持つ人は、好むと好まざるとに関わらず、自らの意識の中でマイナス思考を復唱していることになります。

マイナス思考は、心の中で繰り返すことにより益々強まり、最終的にその人の意識の大部分を占領してしまいます。このプロセスがそのまま続くと、マイナス思考がその人の思考や意識の全体をコントロールし、本質的に完全にマイナスのものにしてしまうのです。すると、その人の能力の大部分が機能しなくなります。その結果、その人は何事もやる気が起きず、食欲や集中力がなく、不眠症にさいなまれ、うつ状態に陥り、ひいては心臓や血管の病気、高血圧を誘発します。簡単に言えば、不安や怒り、恐怖心、失敗した状態や悪い事ばかりを連想する思考形態が、人間を病気や破滅の方向に導くということになります。

 

興味深いことに、2003年にアメリカ・ウィスコンシン大学マディソン校が行った調査の結果、インフルエンザワクチンが人生を肯定的に捉えている人に対し、より大きな効き目があったことが明らかになっています。

この調査では、52人がワクチンを接種しましたが、接種前に医師らはこれらの被験者に対し、よい思い出と悪い思い出を1つずつ思い浮かべるよう依頼し、彼らの大脳の活動状態を記録しました。その結果、悪い思い出よりもよい思い出に多くの時間をかけていた人は、プラスの感情を司る前頭葉の大脳皮質の左側の部分が特に活発化しており、6ヶ月後には体内におけるウイルス抗体価が、他の人々よりも高くなっていたということです。

 

魂の健康を確立し、完全な健康状態になるには、マイナス思考を止めること

 

人生を肯定的に捉えることは、物理的な経験にも影響をもたらす可能性があります。アメリカのウェイクフォレスト大学医学部が2005年に行った調査からは、世界に対する人間の捉え方が、体に感じる痛みの度合いにも影響することが証明されています。

この研究調査では、強靭な体を持ち、強い痛みにも耐える力があると告げられた被験者らは実際、痛みにあまり反応していません。言い換えれば、人間の思考が体内で鎮痛剤のように機能しうるということになります。

もっとも、人生を肯定的に捉えることは、決して現実に起こった忌まわしい出来事を無視するという意味ではありません。重病にかかったことを宣告されたり、あるいは大きな困難に遭遇した場合、苦痛や不快感を感じるのはごく当然のことです。しかし、大切な事は決して努力を怠ってはならず、自らを敗北者とみなしたり、何かを失ったと考えてはならないということです。こうした行動において、もっとも重要なテーマが、プラス思考を持つ事であり、こうした努力により、人間は心と体の安らぎに向かうことになるのです。

 

魂の健康を維持し、増進するために注目すべきもう1つの点は、プラス思考とマイナス思考のいずれも、人から人に伝播することです。このため、マイナス思考がほかの人に影響し、その人の精神力を弱めてしまう前に、プラスの言葉により他人にプラス思考を伝え、社会における魂の健康の強化に努める必要があります。

 

イスラムの聖典コーランは、人間にエネルギーを与えるプラスの言葉の全集とも言えます。中でも、最も重要な章句は、「慈悲深く自愛あまねき神の御名において」という言葉です。これは、何かを始めるときに必ず唱えることで、人間にこの上ない能力とエネルギーを与えてくれる魔法の言葉なのです。

 

 

また、シーア派4代目イマーム・サッジャードの祈祷書『サッジャーディーエ』も、エネルギーを与える美しいプラスの言葉にあふれています。これらの言葉は、イマーム・サッジャードが、神との語らいの中で語ったものです。その例として、この祈祷書の中の、47番目の祈祷には次のように述べられています。

“おお、神よ!私がほかの創造物に頼る必要のないようにし、また私に貞節さと平穏、安楽、健康、日々の喜び、そして健康を与えたまえ”

このように、祈祷書『サッジャーディーエ』には、全ページに渡って読者に動機付けやエネルギーを与える文言が数多く見られます。これらは、人間の心と体に安らぎを与えてくれるものです。

次回もどうぞ、お楽しみに。

タグ