3月 19, 2018 21:12 Asia/Tokyo

この番組では、イランの最新の経済状況を分析する中で、石油やエネルギー、輸出入、貿易、イランと他国の経済関係についてお話しします。初回は、世界経済における女性起業家の活躍についてお話ししましょう。

現在の世界経済の構造は、過去に比べて大きく変化しています。かつては企業の地位を決めるのに決定的な役割を果たすのは資産でしたが、現在は、新たな発明や生産品やソフトウェアなどが、その役割を果たしています。

 

かつて、世界で最も裕福な人とは、最も多くの資産を持つ人でしたが、現在では、独創性、アイデアを持った人々です。起業に基づく経済体制では、アイデアや独創性を持つ人々が企業の財産と見なされます。

 

多くの経済専門家は、起業こそ、経済的な価値や富を作り出す重要な要素だと考えています。経済発展の最新の理論は、起業が、各国の経済的、社会的な開発と密接な関係を有していることを示しています。世界の経済発展は、現在、革新や独創性、科学技術の利用に基づいています。科学や革新がなければ、いかなる国も、急速な発展の道を歩むことはできないでしょう。

 

知識生産性の高い国は先進国であり、政治的にも、経済的にも大きな力を有しています。オーストリアの経済学者、ヨーゼフ・シュンペーターは、起業を経済開発の原動力と見なし、起業家は、独創性、リスクマネージメント、広い視野により、絶好の機会を作り出すと考えています。

 

様々な研究は、国の経済成長と起業家の数の間には、直接の関係があることを示しています。多くの起業家、それも優秀な起業家の数が多い国は、より強力な経済の原動力を有しています。起業の結果には、技術開発、社会における富の生産、雇用創出、公共の福祉の拡大があります。

起業家

 

起業という言葉が生まれたのは、およそ600年前のことです。この言葉は、時の経過とともにその内容を変え、日々、重要性を増してきました。起業に関しては多くの定義や指標がありますが、どれも皆、革新、責任、リスクマネージメントに関しての見解が一致しています。

 

現在、起業は、新たな技術の分野ではなく、ひとつの生き方になっています。起業家とは、強い決意と自信を持ち、独立を求めている人です。起業家は、現実的で目標を持っています。想像力や先見の明があり、決定力やコミュニケーション力があるのも、起業家の特徴です。起業家はさまざまな問題に対処します。問題や障害に肯定的に対処し、知識を十分に活用します。起業家は、研究所で生まれた知識や技術を、製品の生産技術に変え、さまざまな機会に基づいて、適切な時期に、競争力のある新たな製品を市場に提供します。

 

起業家はまず、中小企業を設立するところから始めます。これらの企業は、雇用の創出や先端産業の開発に大きな役割を果たしており、大企業に比べ、柔軟性があります。世界の多くの大企業は、問題を解決する上で、起業家が興した企業に頼ります。

 

これらの企業の機能に注目し、多くの政府が、中小企業の成長に適した土台を整え、それらが独立した企業として市場に参入できるまで、支援することに取り組んでいます。

 

東南アジア諸国では、中小企業の割合が高くなっており、基本となる柱として、これらの国の経済や雇用創出に大きな役割を果たしています。日本、韓国、マレーシア、インドといった国の経験は、起業家が経済においていかに重要であるかを示しています。

 

GEMグローバル・アントレプレナーシップ・モニターの調査によれば、世界の24億人の労働力のうち、男性の起業家は女性よりも50%多くなっています。とはいえ、この割合は国ごとに異なります。多くの国の起業家は男性ですが、女性の起業家の割合もかなり増えています。

 

 

起業は急速に拡大しており、女性の起業は、世界の多くの国で注目されている問題です。一部の研究者は、女性による起業活動は、各国の健全な経済に大きな役割を果たすと考えています。女性は短期間のうちに、労働分野に参入し、その国の経済発展において効果的な役割を果たすようになりました。

 

さまざまな統計によれば、女性の経済活動は、世界の活動の25%から35%を占めています。起業に関しては、2012年、世界の企業の創業者のおよそ12%が女性でした。この割合は、2015年には18%に増えています。

 

2015年の世界スタートアップ・エコシステム・ランキングによれば、現在、女性の起業家の数が大幅に増えています。イギリスのアストン大学の研究では、世界の人々が会社を興す上で、地理的な状況が影響を及ぼすことが示されています。

 

世界60か国を対象にした調査で、開発途上国の多くで、女性の起業の割合が先進国を上回っていることが分かりました。女性起業家の割合が高いのは、中南米諸国や東南アジア諸国で、エクアドルでは、女性の30%以上が起業家となっています。

 

世界の女性起業家に関して興味深い点のひとつは、彼女たちの活動が、世界各国の経済サービス部門に集中していることです。2012年、イスラム世界の最も優れた起業家に選ばれ、イラン女性実業家協会の会長を務めるファーテメ・モギーミー氏は、その理由について次のように語っています。

 

「残念ながら、世界の女性の経済活動の70%はサービス業に集中している。その理由のひとつは、サービス業にはほとんど投資が必要なく、女性の資金力が低いため、生産活動や工業活動を行うリスクを負うことができない。世界の富のうち、女性が所有するのは10分の1であり、これは残念ながら、女性たちが、経済活動を始めるのに十分な資金を持たないことを示している」

 

2012年のイスラム世界で最も優れた女性起業家、ファーテメ・モギーミー

 

一部の社会が女性の経済力をマイナスに考えていること、各国の経済分野に女性が進出する上で適切な下地が整っていないこと、社会における男女の責務が異なっていることなどが、女性の起業の成功を妨げる問題となっています。

 

イラン女性起業家国立協会の会長を務めるマリヤム・ハーヴァーズィー氏は、女性の起業家の活動が男性に比べて困難である理由のひとつは、社会における女性の多様な役割や責務にあるとし、次のように語っています。

 

「女性たち、特に女性の起業家は、妻として、母としての役割から、起業や仕事の管理、社会的な責務の受け入れに至るまで、さまざまな役割をこなさなければならない。そのため、仕事と生活のバランスをとることが、女性起業家の人生において重要な問題のひとつであり、それを管理する努力が行われている」

イラン女性起業家国立協会のマリヤム・ハーヴァーズィー会長

 

世界の多くの国で、女性が経済活動に参入するための法律は適切なものではありません。いまだに起業における女性の能力に対しては懐疑的な見方が存在しますが、起業に関する女性の役割は拡大しています。コミュケーション力は女性の起業家の能力のひとつであり、一部の人の見解では、この分野で女性が活躍する上での強みとなっています。

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