4月 30, 2019 04:30 Asia/Tokyo
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今回は、ペルシャ湾に生息するクジラの生態についてご紹介してまいります。

世界でも類稀な生物の多様性を誇る最も重要な地域の1つは、イラン南部に横たわり、エメラルドグリーンに輝くペルシャ湾とオマーン海です。これらの海域は、様々な海洋生物の住処となっており、数千年前から現在までそれらの生物はここに生息しています。特に、ペルシャ湾には多種多様な水生哺乳動物が生息していることから、その他の海域よりも優れたエコシステムを有しています。

ペルシャ湾

 

ペルシャ湾に生息する最も重要な稀少動物の1つは、長い尻尾を持つクジラです。クジラの背中は広く、またクジラは大半は広い海の中で過ごしています。

 

これまでに、世界では23種類のクジラの生息が確認されており、そのうち11種類がペルシャ湾に生息しています。そのうちの1つは、地球上に生息する全ての生物の中で最大級とされるシロナガスクジラです。シロナガスクジラは、全長20メートルから’36メートル、体重は60トンから178トンにも及び、時速12キロから48キロで海の中を泳ぎまわります。

ペルシャ湾のクジラ

 

シロナガスクジラという名称の由来は、長身であり浮かび上がる際に水上からは白く見えることに由来します。(ウィキペディアより)背びれは高さが33センチメートルほどと非常に短く、体の後ろの方についています。また、これまでに捕獲された中で最も大きいシロナガスクジラの心臓は乗用車1台分、口舌はゾウ1頭分の体の大きさにも及び、さらに肺活量は2000個の風船を膨らませるほどに達すると推測されています。

クジラの心臓

 

シロナガスクジラは、クジラの中でも水面下にもぐる前に尻尾が水面上に出てくる唯一の種類とされています。また、生物の中で最も大きな声を出す動物でもあり、その声の周波数は短く、水中でこのクジラが声を発すると、はるか数百キロ先まで聞こえます。

 

シロナガスクジラは、主に小型の甲殻類の1種であるオキアミをエサとし、そのほかにもプランクトンやカニ、さらに小型の魚を食べます。また、水深が100メートル以下の浅い海域でエサを探すことが普通です。

クジラの心臓

 

シロナガスクジラの平均寿命は、およそ80年とされています。この種のクジラは、冬に交尾し、2年から3年に1回の割合で出産します。妊娠期間は11ヶ月から1年8ヶ月にも及び、1回の出産で1匹もしくは2匹の子どもを産みます。生まれたばかりのクジラの子どもは、全長がおよそ6メートルから9メートル、体重は3トン以上にも及び、また1日に600リットルの母乳を飲みます。

 

ペルシャ湾にはナガスクジラも生息しており、シロナガスクジラに次いで世界で2番目に大きい動物とされています。このクジラは、ペルシャ湾全域、特にオマーン海につながる湾口や、イラン南東部のオマーン海に面したジャスク湾の東部に見られます。

クジラ

 

他にも、ペルシャ湾にはザトウクジラも生息しています。このクジラは、時速8キロから10キロの速さで泳ぎ、上あごの両側にそれぞれ、長さが80センチほどのクジラひげが300枚ほどあります(この部分ウィキペディアから取りました。ザトウクジラはヒゲクジラで歯がない為)。ザトウクジラは、35分間にわたり海中にもぐっていることが出来ます。

 

さらに、コククジラもペルシャ湾に見られるクジラの1種です。このクジラは、時速60キロで泳ぐことが出来ます。

 

これまでの研究調査から、クジラは集団での社会的生活をしていることが分かっています。例えば、一部のクジラは海の奥深くにエサをとりにいくために子守が必要な場合、その親クジラの属する集団のほかのクジラが子守をします。また、最も興味深いのは、クジラが社会的属性を持つことから、彼らの一部が何らかの理由で沿岸部にやってくると、その集団の他の鯨も後について沿岸に向かい、浅瀬に乗り上げて海に戻れなくなり、自らを岸に打ち上げて集団自殺する形になることです。生物学者の間では、こうしたクジラの集団自殺の原因は、彼らが集団で行動する習癖を持つことにあると見られています。

ペルシャ湾のクジラ

 

生物学者の間では、ペルシャ湾とオマーン海のエコシステムにおけるクジラの存在は、極めて重要だとされています。一部の研究者は、最近の調査において、各種のクジラの存在が食物となるほかの生物の分布や微生物の生活、さらには海洋経済の流通回転に、極めて重要な役割を果たしている、という結論に達しています。これらの研究者の学説では、クジラの存在が魚介類の個体数の増加につながるとともに、クジラにより適切な数の魚が捕食されることから、その結果品質の良い魚介類のみが残る、とされています。

 

しかし、近年環境保護団体の懸念材料となっているのは、クジラが類が浅瀬や岩場などの海浜に乗り上げ、自力で泳いで脱出できずに座礁するという現象です。クジラが座礁する原因には、台風などの自然災害に加えて、エサを追いかけているうちに誤って浅瀬に入ってしまったり、エコロケーションが岩場や浅瀬で乱れを起こしたために方向感覚を失った場合、さらに何らかの理由で聴覚に異常をきたしたことにより超音波探知ができなくなった、などの理由が考えられます(ウィキペディアによる)

 

また、酸性雨の影響により、海水の質が変化し、クジラの磁場探知能力がかく乱されることもともあります。この場合も、クジラは方向感覚を失い、誤って浅瀬に迷い込んで海に戻れなくなります。

 

さらに、潜水艦などの船舶が発する人工的な音や振動、さらには海底地震などによる振動などもクジラを死に至らせる可能性があります。また、海域での漁船や貿易船などとの衝突も、負傷したクジラが海岸に打ち上げられて命を落とす原因となりえます。

 

こうした現象は、全世界の海域で発生する可能性がありますが、ペルシャ湾岸やオマーン海沿岸の関係機関は、自国の沿岸地域において、海岸に打ち上げられたクジラがまだ海に戻る能力があるうちに、彼らを海に戻す措置を講じる必要があります。このような際に、人々が協力することもクジラの更なる保護に寄与することになります。それ以外の場合には、既にクジラの絶対的な個体数が激減していることから、近い将来クジラが絶滅する危険にさらされることになります。

 

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