May 17, 2018 20:49 Asia/Tokyo
  • テヘラン国際書籍見本市
    テヘラン国際書籍見本市

今月1日から12日まで、テヘラン中心部にある集団礼拝所で、国際書籍見本市が開催されました。

国際書籍見本市が初めて開催されてから30年が経過し、今年は31回目となりました。

 

テヘラン国際書籍見本市は、毎年、5月に開催されます。この見本市は、イランと中東で最大の文化イベントとなっています。

 

第1回テヘラン国際書籍見本市が開催されたのは、1987年のことでした。その後、文化の多様性により、若い世代が作家や出版社、そして書籍を知るための土台が整えられています。ここ数年の見本市の活動は、主に、出版業に関するものとなっています。ここで、今年の書籍見本市に関するIRIB通信の報告をお聞きください。

 

 

「第31回テヘラン国際書籍見本市では、13万平方メートルに及ぶスペースが出版社に与えられ、53カ国が参加しました。国内からは2050社が参加し、大学関係、児童書、教育書といった分野の出版社が目立ちました。とはいえ、やはり最も参加が多かったのは、一般向けの書籍の出版社で、1147社から、およそ8万6000タイトルが出展されました」

 

イラン中部の歴史的な都市、カーシャーンは、今年のイランの本の首都に選定されました。そのため、今年の見本市では、カーシャーンに関するフェスティバルが開催されました。

 

今回の見本市では、イランの本の首都となったカーシャーンの町を紹介する出版社の紹介や、カーシャーンブースでの毎日のプログラムの実施が行われました。また、カーシャーン出身の文学者や作家との会合、書籍の発表や批評も行われました。

 

今年のテヘラン国際書籍見本市では、テヘラン書籍出版社協会の創設60周年を記念した式典が開催されました。さらに、国内の関係者や外国の大使が出席し、イランの観光や文化の可能性を紹介するイベントなども開催されています。

 

海外部門には、アラブ諸国と中南米諸国の出版社が参加しました。アラブ諸国の出版社は、46社からおよそ3万7500タイトルの書籍を、また中南米諸国の出版社は、46社が12万タイトルの書籍を出展しました。デジタル書籍の出版社86社も参加しています。

 

これまでの書籍見本市の主催者による優先事項の一つは、文化や書籍を通じ、世界との対話の扉を開き、文化面での外交を強化することでした。そのため、毎年、特定の国や都市に注目したプログラムが行われました。昨年はイタリアが特別招待国となりました。このプログラムは肯定的に評価され、イタリアの出版社によるイランの作品の翻訳への関心が大きく高まりました。昨年からの1年だけで、イランの10冊の小説が、イタリア語に翻訳されました。

 

 

テヘラン国際書籍見本市

 

今年のテヘラン国際書籍見本市で特別招待国となったのは、セルビアでした。

 

特別サロンには、セルビアの関係者、作家、詩人、出版社の関係者、報道関係者、音楽関係者の30人が参加し、20を超える会合が開催されました。

 

セルビアの文化情報大臣と国立図書館長が、この見本市に出席しました。セルビアのブースには、この国の文学、歴史、芸術、観光に関する30万タイトルを超える書籍が出展され、数々の大学や文化施設の協力に関するプログラムが用意されました。

 

さらに、セルビアの6人の詩人や作家がゲストとして参加しました。また、8人から成る楽団のコンサートも行われました。

 

テヘラン書籍見本市のキャッシュフローは、消費者と生産業者を結ぶ出版産業のキャッシュフローのおよそ20%を占めています。出版産業は、実際、書籍という文化的な製品を生産する業界です。この産業には、書籍の生産から販売までのすべての過程が含まれます。

 

イランで印刷業が始まったのは、100年以上前のことです。当初のイランの出版社は、主に、テヘラン中心部のバザール地区で活動を開始しました。それらは主に本屋、書店であり、コーランや過去の偉大な詩人の作品を広める上で、出版社の役目も果たしていました。

 

その後、出版社が主に力を入れていたのは、宗教に関する書籍やペルシャ語の古典文学でした。かつて、書籍は、父親から息子、あるいは兄弟へと伝えられていました。1921年まで、イランにあった出版社はたった1つでしたが、1922年から31年までの間に、16の出版社が創設されました。それらは主に、バザールの付近で活動を開始しましたが、テヘランの町の拡張により、テヘラン大学の前にまで、店舗を拡大しました。

 

その後、1950年代から70年代には、少しずつ、出版産業が始められるようになりました。この時代の出版社の目的は、主に、イランと世界の現代文学を紹介することでした。

テヘラン国際書籍見本市

 

1979年のイスラム革命後の出版社は、国内と海外を含めた現代作家の作品に注目し、世界的に知られる作品を、イランの出版市場に提供しました。

 

そして現在、イランの出版産業は、政府系と民間の2つの部門に分かれています。政府系の出版社は、民間の出版社が持たない可能性を持っています。

 

近年、インターネットの普及により、多くの読者が、新聞や雑誌からネット空間へと移行しています。この流れは、ネット上での読書の増加につながっています。イラン公共図書館協会の事務局長の発表によれば、イランでは、平均8.8%が電子書籍を利用しています。また、読書をする人の間の電子書籍の利用者の割合は、42%となっています。

 

このような状況の中で、情報技術の進歩、印刷技術の向上、出版業界のさまざまな部門の規準の設定、出版産業の民営化が、出版産業の改善と、イランの人々への読書の奨励につながると考えられています。

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