May 24, 2018 20:06 Asia/Tokyo

今回は、イラン西部ロレスターン州の中心都市ホッラマーバードの見所を皆様にご紹介してまいりましょう。

ロレスターン州は、数多くの滝や泉がある事で知られ、悠久の歴史を誇る城砦や緑豊かな自然に恵まれた集落も存在します。イラン西部を訪れたなら、ぜひ足を運んでみたい都市の1つがこの州の中心都市ホッラマーバードであり、ホッラマーバード川を挟む美しい谷間に位置しています。

 

ホッラマーバードは、数千年の歴史を誇る古代都市であり、ここにはカッシート王国やバビロニア王国、サーサーン朝、セルジューク朝、ホラズム・シャー朝といったいくつもの文明の遺跡が残っています。この町は、地元の方言ではホルモアと呼ばれており、ホッラマーバードという地名はペルシャ語でみずみずしく緑にあふれた土地を意味し、その名が示すようにこの町は爽やかな気候と風光明媚な自然に恵まれています。

 

ホッラマーバード市内には、自然愛好家であれ、史跡を見学したいと思う人であれ、どのような趣向の人々にとっても多くの見所が存在します。

 

 

 

ホッラマーバード市内に到着したら、まず訪れたいのがファラコル・アフラク城砦です。この歴史ある城砦は高くそびえ、非常に壮観である事から、遠くからでもすぐに分かるほどです。この城砦は、いわばホッラマーバード市のシンボルと言えるものでもあり、市内のどこからでもよく見えます。

ファラコル・アフラクとは、アラビア語であらゆる天空の中の大空を意味しています。この城砦は、サーサーン朝の王シャープール1世の時代に建設されたと言われており、その後様々な統治時代の歴史を経てきました。また、時代によってホッラマーバードの城砦、シャープールハーストの城砦などとも呼ばれ、小高い岡の上に立地していることから、この城砦からはホッラマーバード市内を一望することができます。

ファラコル・アフラク城砦は、ある時代には国王や為政者の居住地や政務執行のための場所であったり、また軍事目的で使用されていた時期もありました。この城砦には、様々なセクションがありますが、中でも最大の見所は、その中に設けられている民俗博物館と考古学博物館であるといえます。

 

 

 

ファラコル・アフラク城砦に続いて、今度は美しい湖・キュー湖へと足を運んでみたいと思います。この湖は、ホッラマーバード市内の北西部に位置しており、この町で最大の見所であるとともに、市内にあふれる躍動感やはつらつさのシンボルとなっています。

キュー湖は、同じ名前の公園の敷地内にあり、この湖の水は主に湖底にある複数の泉などから湧き出てきています。キューとは、この町で話されるロル方言で、紺碧を意味しており、この湖の底に生えている植物により、特に水かさの増える冬には紺碧に見えることから、この名がついたとされています。

春から夏のはじめにかけて、キュー湖では小船や遊覧船に乗っての湖上めぐりや水上スポーツを楽しむことができ、またその周辺の出店ではこの町の手工芸品などの生産物が販売されます。

 

 

 

さて、次はホッラマーバード市内の見所の1つで、「ロレスターンの屋根」と言われる地区を見てみることにいたしましょう。この地区は、特に夜になると、家々や高速道路に点される明かりにより見事にライトアップされます。夜の静寂な雰囲気の中でのこの見事な夜景は、見る者に心の安らぎを与えてくれます。

ところで、「ロレスターンの屋根」と呼ばれるこの地区は、イラン西部最大の行楽施設になる事が予定されています。しかも、その中には現在すでに、天文台も設置されています。この地域のしのぎやすい気候と、高く聳え立つ木立は、人々に爽やかさと新たな気概を与えてくれるものです。また、夜には旅行客のために、地元の慣習に従ってきれいに掃除された地元民の民家で過ごすのも乙なものです。

 

 

一夜明けて、今度はノウジヤーンの滝に足を運ぶ事にいたしましょう。この滝は、地元民の方言ではノウジューの滝と呼ばれています。さて、いざこの滝のある場所に到着してみると、まずその高さに驚かされます。ツアーガイドの話によれば、この滝はイランで最も高所にある滝とされ、95メートルもの落差があるということです。その高さと壮観さに、思わず息を呑むほどです。

 

 

ノウジヤーンの滝は、春になると水かさが増えますが、この滝の水はそれより上のほうにある複数の泉から流れ込んできています。この滝の周辺には、数多くの薬草が自生しています。ツアーガイドの案内にしたがってあたりを見渡すと、この地域にある山々から複数の滝が流れ落ちています。

それでは次に、ゲリートの滝を見てみる事にいたしましょう。この滝の美しさは目を見張るもので、ロレスターン州で最も緑豊かな最高の景勝地とされており、ペルシャ語で7つの泉を意味する「ハフトチェシュメ」の別名もあります。この滝は、カシの木やサンザシ、ぶどうの木の林の中を流れており、高さは15メートルほどで、先ほどのノウジヤーンの滝に比べると小ぶりですが、滝と言えるほどの十分な高さがあります。

 

グリートの滝;別名ハフトチェシュメ

 

 ホッラマーバードには、実に数多くの滝が存在し、そのいずれも独自の景観や特徴を誇っています。ホッラマーバードを訪問した際にはぜひ、これらの滝を見学し、イランの知られざる美しさを堪能されることをお勧めしたいと思います。

 

週末になると、ホッラマーバードの人々は、マフマルクー山の裾野へと向かいます。この山は、シャビーフーン渓谷としても知られ、標高が高く、ホッラマーバード市の北東部に位置しています。この山の岩肌は地衣類に覆われ、雨のシーズンの始まりとともに、直射日光により黒く焼け焦げていた地衣類が緑色に変わります。この山と同じ名前のマフマルクーの滝が存在することから、この地域はホッラマーバードでも人気の高いスポットとなっています。

 

マフマルクー山;別名シャビーフーン渓谷

 

ホッラマーバード市の周辺にある自然公園の1つに、シューラーブ森林公園があります。この公園では現在、整備・拡張プロジェクトが進められています。この公園は、ポレドフタルの町に向かうホッラマーバード街道を25キロほど進んだところにあり、舗装された道路や東屋、各種の行楽施設があります。また、カシの木の樹林に覆われ、爽やかな気候に恵まれていることから、毎年春には数多くの行楽客が訪れます。

 

今度は、ホッラマーバード市内の著名な建造物にスポットを当ててみたいと思います。まず最初に、この町にある大モスクからご紹介することにいたしましょう。現在のこのモスクの建物はかなり新築されています。いくつもの柱のある礼拝用スペースは特に美しく、独自の特徴が見られ、7本の四角い柱の上にドームが建っています。

 

ホッラマーバード市内の大モスク

 

大自然の美に見せられるすべての方々に対しては、旅行プランの訪問先のリストに、イランの美しいすべての町と共に、ぜひホッラマバードも加えていただきますようお勧めいたします。