コーラン第57章アル・ハディード章鉄(1)
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コーラン第57章アル・ハディード章鉄
今回は、コーラン第57章アル・ハディード章鉄を見ていきましょう。
慈悲深く、慈愛あまねき、神の御名において
アル・ハディード章鉄の名前は、第25節に由来します。この章はメディナで下され、全部で29節あります。
アル・ハディード章では、主に、神の唯一性と性質、コーランの偉大さ、神の道における努力の基盤を強化するための施し、敬虔な人間と偽善者の最後の審判での状況、以前の民がたどった運命、現世の生活、広大な楽園、神の預言者たちが遣わされた目的のひとつである正義の確立、鉄の役割、社会的な孤立への非難といった事柄について述べられています。
アル・ハディード章の第1節は、神の性質について述べており、それらを知ることは、人間の神をしるための知識のレベルを高めます。
「天と地にあるすべてのものは、神を賞賛する。神は偉大で英明な方であられる」
賞賛とは、あらゆる欠点を否定することです。世界の全ての存在物は、神を賞賛し、神の本質の清らかさを証言しています。アル・ハディード章の第2節を見てみましょう。
「天と地の支配は神のものである。神は蘇らせ、また死なせる。神はすべてのものに全能であられる」
天と地の真の支配者は神です。神はすべてのことに精通し、世界中が神の力の下にあります。そのため、すべての存在物を蘇らせたり、死なせたりすることができるのは、神のみです。アル・ハディード章の第3節を見てみましょう。
「神は最初であり、また最後であり、外側であり、また内側である。神はすべてのことを知っておられる」
神は最初であり、最後である、というのは、神の永遠性を表現しています。神は無限の存在であり、その存在は神の本質からくるもので、終わりや始めがある外側からのものではありません。神は創造世界の起点であり、世界が破滅した後もにも残ります。外側と内側という表現は、神の存在の支配がすべてのものに及んでいることを意味します。神は、すべてのものに影響を及ぼすため、すべてのものよりも明らかです。それと同時に、その本質は全ての人にとって明らかではないために、何よりも隠れている存在です。

アル・ハディード章の第4節は、神について次のように述べています。
「彼こそは、天と地を6日間で創造し、その後、天の座についた」
この節では次のように述べられています。「神は世界を創造した後、権力の座につき、世界の統治と管理をその手に握っている」 この表現は、創造世界に対する神の支配を示しています。この節は続けて、神の無限の知識に触れています。
「地上に入るものもそこから出るものも、空から降るものも、空に立ち上るものも知っておられる」
雨のしずく、風や昆虫によって大地に広がり、浸透していく植物の種、大地から生える植物、土や岩の中から湧き出る泉、大地から立ち上るガス、神はこれらすべてを知っています。また、雨や太陽の光線など、空から降るもの、また人々の祈りや雲など、空に立ち上っていくもの、これらは皆、神の知識の前に明らかです。神の知識は広大で無限です。この節は続けてこのように語っています。「神はあなた方がどこにいようと、あなた方と共におられる。神はあなた方が行うことを見ておられる」 私たちは創造においてだけでなく、その存続においても、あらゆる瞬間に神をよりどころにしています。ですから、神が私たちと共にいないわけはありません。神が私たちのことを知らない、などという可能性はないのです。
アル・ハディード章の第5節を見てみましょう。
「天と地の王座は神のものである。全ての行いは神に帰する」
全ての行いは神に帰ります。私たちは神からの存在であり、神へと立ち返ります。神は起源と終点であり、すべての存在物は神に向かっています。
アル・ハディード章の第6節では、神の2つの性質に触れています。
「神は夜を昼に、昼を夜に取り入れる。神は一年を通して夜と昼をめぐらせる。ゆっくりと一方を減らし、もう一方を増やす。一年の間で、夜と昼の長さを変える。この変化は、一年の四季を伴っている。これらの季節には、人間のためにあらゆる恩恵が隠されている」
次回も、引き続き、アル・ハディード章を見ていくことにいたしましょう。