6月 12, 2018 23:50 Asia/Tokyo
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今回はコーラン第64章アッ・タガーブン章損得・後悔についてお話しましょう。

慈悲深く、慈愛あまねき、神の御名において

 

アッ・タガーブン章はメディナで下され、全部で18節あります。

 

アッ・タガーブン章で述べられている内容は、唯一神の行動と性質、天と地の創造、人間の目に見える行い、あるいは見えない行いを含む全てに対する神の無限の知識、以前の民の運命、最後の審判、最後の審判の日、一部の日とが損をし、後悔する日であり、最後の審判では勝利する者と敗北する者がいること、神と預言者への服従、財産や子孫に魅了されることの回避、神の道における施しの奨励となっています。

 

アッ・タガーブン章の第1節を見てみましょう。

「天にあるもの、地にあるものは彼を賞賛する。大権は彼のみのものであり、賞賛も神のみのものである。彼はあらゆることに全能であられる」

 

アッ・タガーブン章は、偉大なる神への賞賛で始まります。神は創造世界の所有者、支配者であり、あらゆることに対して全能であり、神の命は世界中に及びます。また、すべての賞賛は神のものです。なぜなら、神は創造世界の源であり、神の力は無限であるからです。

 

アッ・タガーブン章の第2節では、神の無限の力を示す、人間の創造に触れています。神は人間を創造し、人間に自由と意志という恩恵を与えました。そのため、一部の人間は不信心者となり、また一部の人間は敬虔な人間となりました。明らかに、人間の自由と意志は、神の試練の土台を整えるものです。この中で、神は人間が行うことのすべてを見ておられます。

 

アッ・タガーブン章の第3節で、神は、創造に関してさらに詳しく説明しています。

「神は天と地を真理によって創造した」

 

明らかに、天と地の創造は、英知や目的、計画によって行われ、それらは正確な秩序を持っています。その後この節で、神は人間の創造に触れ、自分が人間に姿かたちを与えたとしています。「あなた方に形を与え、その姿を良いものにした」

 

神は人間によい表情を与え、力強い知性と理性、飾られた内面を与え、創造世界にあるものから、その存在の中に例を作った。あなた方の姿を良いものに作ったという表現は、表面的な姿も、また内面も含まれます。実際、神は、人間が目的の達成に必要なあらゆるものを与えています。概して、人間の創造においては、人間は世界で最も美しい現象であり、神はその創造において、不思議な形でその力を誇示したということを示しています。

 

この節は終わりに、次のように語っています。「最終的に、あらゆるものの帰りどころは、神である」

 

そう、創造世界の一部である人間は、最も低い階級からスタートし、至高なる神という存在に近づくために段階を経ていきます。

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人間は、大きな目標のために創造されたため、常に人間の内面も外面も知る、神の監視を必要としています。アッ・タガーブン章の第4節で次のように語っています。

 

「神は、天と地にあるすべてのものを知っており、あなた方が隠すもの、あるいは明らかにするものも知っておられる。神は人々が胸の中に抱くことも熟知なされる」

 

この節は、神の無限の知識を3つに分けて描いています。一つ目は、天と地にあるすべての存在物に対する知識であり、二つ目は、人間の全ての行い、人間が隠すことや明らかにすることへの知識、そして三つ目は、人間が心の中に抱く事柄、内面の信条や目的などへの知識です。明らかに、これらの事実に注目することは、人間の教育や改善に大きな役割を果たし、人間を創造の目的と望ましい成長に結びつけます。しかし、人間の教育の最も効果的な手段のひとつは、以前の民や共同体の運命について考えさせることです。アッ・タガーブン章の第5節は、人間にこのように語りかけています。

 

「これ以前に不信心者となった人々の情報が、あなた方に届かなかったのか? そこで彼らは自分たちの行いの罰を味わった。彼らには痛ましい責め苦がある」

 

多くの人は、先人たちの破壊された町の傍らを通過し、不信心の結果を目にしています。彼らがそのような悲しい運命をたどることになったのは、神の預言者たちを否定したためでした。彼らは高慢さから、「私たちと同じ人間が、私たちを導こうとするなどということが、あってよいのか」と言っていました。そのため不信心に走りました。しかし神は、彼らの信仰や服従を必要としていません。アッ・タガーブン章の第6節では、「もしすべての創造物が不信心となったとしても、世界の創造主である神の偉大さは、わずかたりとも損なわれることはない」

 

実際、寛容な神の建設的で教育的な計画を必要としているのは、私たちなのです。

 

次回のこの時間も、引き続き、アッ・タガーブン章についてお話しましょう。