6月 13, 2018 23:03 Asia/Tokyo
  • コーラン第71章ヌーフ章ノア
    コーラン第71章ヌーフ章ノア

今回はコーラン第71章ヌーフ章ノアを見ていくことにいたしましょう。

慈悲深く、慈愛あまねき、神の御名において

 

ヌーフ章はメッカで下され、全部で28節あります。

 

ヌーフ章の第5節から先は、ヌーフが神に向かって述べた不満について触れています。

 

「神よ、私は日夜、民の導きに努めました。しかし、私の導きは、彼らが逃げるのを促しただけでした。彼らを[信仰へと]いざない、あなたの赦しを求めるたびに、彼らは耳に指をつっこみ、頭から服を被って[反対を]続け、非常に高慢でした」

 

導きが人々に影響を及ぼすようにするためには、彼らにも、ある程度の準備があることが必要です。そのため、準備のできていない心にマイナスの影響があっても、驚くことではありません。言い換えれば、真理や神の敵は、預言者たちの導きを聞くと、それに抵抗します。そのような抵抗により、彼らはさらに神から遠ざかり、不信心や偽善の根が、彼らの中で強さを増していくのです。

 

ヌーフの民は、指を耳の中に突っ込み、真理の言葉を聞くまいとしました。彼らはまた、服を頭からかぶり、声が聞こえないようにしたのです。恐らく、神の偉大なる預言者ヌーフの顔を見ないようにするためでもあったのでしょう。

 

人間が、真理を頑なに拒否する中で、自ら、それを見たり聞いたりするのを拒むほどに至るとは、驚くべきことです。ヌーフ章の第7節によれば、彼らが真理に敵対する理由は、彼らの高慢さにありました。人間は高慢になると、真理に至ることができません。ヌーフは長い人生の中で、神への導きを続けましたが、疲弊し、それを断念することはありませんでした。

 

預言者ヌーフは、神に向かって次のように語っています。「神よ、私は彼らを公然と導いた。集まりの中で声を大にして、彼らに信仰の道を呼びかけた。それ以上に、公に、また密かに、唯一神信仰の真実を彼らに解き明かした。だがその頑なな民の誰にも、それは効果を及ぼさなかった」

 

人間は、偽りの道を歩めば歩むほど、堕落に陥り、やがてそれがその人の性質となります。そうなれば、神の預言者の導きや真理のメッセージも、その人に影響を及ぼすことはありません。この章は、人々を真理へと導く上でのヌーフの類まれなる忍耐強さを物語っています。

 

ヌーフが950年もの間、導きを続けたにも拘わらず、彼に信仰を寄せたのはわずかな数の人々でした。預言者ヌーフは、その頑なで反抗的な民を導くために、もし多神教崇拝や罪を悔い改めなければ、神は慈悲の扉を閉ざされると彼らに警告していました。ヌーフ章の第10節から12節には次のようにあります。

 

「私は彼らに言った。『神に赦しを求めなさい。神は非常に寛大であり、あなた方の上に天から次々に恩恵と共に雨を降らせ、財産や子供によってあなた方を助けられる。また、あなた方のために庭園や小川を置かれた』」

 

預言者ヌーフは続けて、創造世界における神の偉大さのしるしについて述べ、なぜ人間は、これらの明らかなしるしを目にしても、頑なに真理を否定するのかと驚きをあらわし、ヌーフ章の第13節から20節で次のように語っています。

 

「あなた方は、どうしたというのか。神の偉大さを恐れないのか。神はあなた方をさまざまな段階に創造された。神がどのようにして、7つの天を互いの上に創造され、それらの間に月を明かりとして、また太陽を光とされたのかを見ないのか?神はあなた方を植物のように大地から芽生えさせ、その後、再びその大地に戻し、再びあなた方を外に出す。神は大地をあなた方のための大きな敷物とした。あなた方がその広い道を往来できるように」

 

7層の空には、数十億もの星があり、その多くは、太陽や月よりも明るいものです。しかし、私たちの生活に影響を及ぼすのは、私たちの生活空間を昼と夜に明るく照らす月と太陽です。ヌーフ章の第16節は、太陽を光、月を明かりと表現しています。なぜなら、太陽の光は、ランプのようにその内側から光を放ちますが、月の明かりはそれ自体が光を発しているのではなく、太陽から得た光を反射しているからです。

 

ヌーフ章では、神は大地をじゅうたんのように広げ、あなた方が人生の中で必要とするすべてのものをそこに据えたとしています。さらに、人間は山間にある谷や広い道を通過し、どこでもすきな場所に行くことができます。

 

ヌーフは、民を救うために全力を尽くし、彼らを導くことへの希望を失ったとき、神に対して、彼らに懲罰を下すよう求めました。預言者ヌーフは言いました。「神よ、彼らは私に従わず、その財産や子孫が損害以外のものをもたらさなかったような人に従っています。そして彼らの指導者は、大きな策略を講じ、多くの人を迷わせました。神よ、圧制者たちには、迷い以外のものを与えないでください」

 

こうしてとうとう、ヌーフの民は、彼ら自身が犯した罪に浸りきったため、地獄の業火の中に落とされました。

 

ヌーフ章は、このようなヌーフの祈祷によって終わっています。

 

「神よ、私と両親と、信仰を持って私のもとに来る人、また信仰を寄せる男女のすべてを赦したまえ。圧制者には滅亡のみを増やしたまえ」

 

 

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