6月 21, 2018 20:43 Asia/Tokyo

この時間も、この1週間にイランで起こった経済的な出来事を見ていきましょう。

イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師が、断食明けの祝祭の日に行った表明の中での、経済問題について見ていきます。

 

為替、金、住宅、自動車の価格が変動している原因について報告します。

 

イラク、アルメニア、南アフリカとのイランの経済関係についてお話しします。

 

イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師は、断食明けの祝祭の日の礼拝で説教を行い、イランに対するアメリカの陰謀に触れ、「今日、敵の陰謀の中心は、イラン国民を疲弊させ、失望させるために経済的な圧力をかけることにある」と語りました。

 

ハーメネイー師は、体制責任者とすべての関係機関に対し、この陰謀に対処するために努力を続けるよう勧告し、次のように語りました。

 

「行政、司法、立法の長とこれらの分野で活動する人々が参加し、経済問題に取り組むための組織が結成された。この組織は、一歩ずつ、経済問題に対処し、断固とした決定を下し、それを実施すべきだ」

 

 

 

ハーメネイー師は、イランには良好な資金の流れが見られるとし、それを扱う人々に対し、この流れを生産へと導き、国民の生活を活性化させるよう求めました。ハーメネイー師は、対外貿易に関わる人々に対しても、国内と同様の製品や不必要な製品を輸入しないよう求めました。

 

この数か月、イラン中央銀行が単一為替レートの設定政策を実施したにも拘わらず、国内の取引で金の価格が高騰したことによる衝撃と、為替の変動が続いています。先週末には、一部の決定により、金貨、外貨、自動車、住宅の取引市場の混乱がわずかに静まったものの、これらの部門の価格の高騰は、市場の混乱に心理的な影響を及ぼしました。

 

イランのローハーニー大統領は、物価高騰の原因への対処における政府への期待や批判を受け、すべての関係機関に対し、この問題に取り組み、対処するために効果的な政策を進めるよう求めました。

 

最近の物価高騰の問題は、国会でも取り上げられました。72人の議員が、大統領に勧告する中で、国の通貨価値の下落について抗議しました。また、68人の議員は、大統領と商鉱工業大臣に勧告する中で、国内の自動車メーカーの活動への監視と、自動車価格の高騰に抗議しました。

 

こうした中、イラン暦の今年に入ってから2か月間の自動車の生産台数は、前の年の同じ時期に比べて増加しています。

 

イラン予算企画庁のノウバフト長官は、自動車価格の高騰について次のように語っています。

 

「市場では、為替の高騰を口実に一部の人々が利益を得ようとしている。これは政府にとっても容認できないことであり、より厳しい監視に取り組んでいる」

 

インフレ率が高ければ、高い経済成長を実現することは不可能です。そのため、政府はインフレを抑制しようと努めてきました。しかし、インフレを抑制するには、現金の流れの成長を抑えなければなりません。現金の流れが誤った方向に行くと、再びインフレが進み、生産経済は根本的な問題に直面します。中央銀行や経済関係者の措置により、この混乱を克服するための土台が整えられることが期待されています。

 

イランとイラクの貿易額は、現在、年間100億ドルに達しています。イランのマスジェディ・イラク大使は、「この数字は容認できるものだが、2つの国の人々の間の文化、歴史、政治的な多くの共通点を考えると、さらに増加するはずだ」と語っています。ここからは、この問題についてお話しします。

 

 

イランとイラクの年間貿易額

 

イランとイラクの年間貿易額は、現在、およそ100億ドルですが、石油・天然ガス、巡礼観光、技術サービスの売り上げを加えれば、その額は、120億ドルにのぼります。

 

イラクは、乳製品や食品、技術サービスなど、様々な分野で、イランの重要な輸出先のひとつです。イラク市場は、イランの企業や経済活動家にとって特別な地位にあります。専門家によれば、イラクの市場への参入は、イランにとってもイラクにとっても、高い利点があります。

 

イランは、イラクのテロとの戦いを支援したように、復興においても、イラクの政府や国民に協力しています。この数年の復興活動への協力は、電力網の拡張、エネルギーの移送といった分野で行われてきました。

 

イラン・イラク合同会議所のメンバーであるセイエド・ハミード・ホセイニー氏は、イランとイラクの経済関係は、イラクの新政府の方針の影響を受けることはないとし、「イランのイラクの市場への参入は好ましい状態にあり、イランの非石油製品の輸出の15%をイラクが占めている」と語っています。

 

こうした中、現在の状況は、十分なものではありません。イランはイラクの市場でさらにシェアを伸ばす可能性を有しています。

 

アルメニアのサルキシャン大統領が、先週、アルメニア駐在のサッジャーディ・イラン大使と会談し、「現在の可能性を、経済分野の両国の関係の強化と拡大に活用すべきだ」と語りました。

 

イランとアルメニアの関係は、両国の関係者の意志によって拡大しており、あらゆる分野の経済関係の拡大、経済活動への支援、合意の実施に影響を及ぼしてきました。

 

この中で、最近成立した、イランとユーラシア経済連合の関税に関する合意は、両国の経済関係の拡大に向け、新たな下地を整えています。

 

イランのザリーフ外務大臣が、最近、南アフリカの首都プレトリアを訪問しました。この訪問は、経済外交のアプローチによって行われました。

 

ザリーフ外相とラマポーザ大統領

 

ザリーフ外相は、プレトリア訪問で、南アフリカのラマポーザ大統領、および、シスル外務大臣と会談し、核合意、経済問題、さまざまな分野における両国の協力拡大について話し合いました。

 

シスル外相は、イランと南アフリカの経済協力合同会合で、南アフリカは、イランとの経済協力を拡大したい考えだとし、「この問題は、両国の協力合同委員会の議題になった」と語りました。

 

イランと南アフリカは、今年、経済関係の拡大に向け、貿易代表団の交流、投資機会を提供すうための見本市の開催など、20の項目で合意に至っています。

 

アフリカ問題の専門家、スイャーダトナスブ氏は、イランと南アフリカの経済協力の重要性について次のように語っています。

 

「南アフリカは、2954キロにわたって、インド洋と大西洋に接しており、陸、空、海から、およそ3億人の人口を擁する14カ国へのアクセスなど、アフリカの市場に参入する上での門戸となっていて、戦略的、地理的に大きな重要性を有している」