7月 03, 2018 18:56 Asia/Tokyo
  • 預言者アーダムと悪魔の物語
    預言者アーダムと悪魔の物語

今回は、預言者アーダムと悪魔の物語をお届けしましょう。

神に創造された最初の人間、アーダムの物語は、コーランに出てくる最初の物語の一つです。アーダムとその妻ハッワーについて語っているこの物語の中では、人間を悪や罪へと陥らせる悪魔が出てきます。悪魔は、恐怖や希望、理想や願望、欲望といった人間の感情に入り込み、悪事を魅力的なものに見せ、人間を迷いへと引き込みます。その中で、人間を悪魔の誘惑から解放することができるのは、純粋な真の信仰なのです。

 

天使たちは皆、神の創造の偉大さに驚いていました。天と地、山や木々、泉や河川、すべての創造物は、たった6日で、言い換えれば、6回で創造されました。そのとき神は、天使たちに言いました。

 

「まもなく地上に後継者を置くだろう」

 

 天使たちは驚いて言いました。

 

「私たちは義務の遂行を怠ったのでしょうか?それとも、何か過ちでも犯したのでしょうか?私たちは感謝をしない創造物だったのでしょうか? 神に尋ねてみるのがよいでしょう」

 

そして天使たちは神に尋ねました。

 

「この地上で堕落し、他者の血を流す人々を創造されるのでしょうか? 私たちは常に、あなたを称賛しているというのに」 

 

神は答えました。

 

「私はこの創造について、あなたたちが知らないことを知っている」

 

天使たちはさらに驚き、アーダムを見つめました。彼らは土から創造され、神はその中に自分の魂を吹き込んでいました。天使たちは考えました。彼らが知らない別の秘密とは、どんなものなのかと。

 

神はアーダムが優れた知性と感性を有し、英知と美徳が彼にとって魅力的にうつるように創造しました。それから、創造の秘密と創造物の名前に関する知識を彼に与えました。こうして、人間の頭脳を様々な知識で溢れさせました。それから神は、天使たちに言いました。

 

「さあ、これらの秘密を私に言ってみなさい」

 

 無力であった天使たちは言いました。

 

「あなたは何の欠点もない清らかな方です。私たちは、あなたから教わったこと以外の知識を持ちません」

 

 神はアーダムに対し、世界の創造物の秘密や名前を天使たちに言うように命じました。アーダムも言われた通りにしました。神は、アーダムの優位を知った天使たちにこう語りかけました。

 

「あなた方に言わなかったか。私は天と地の目に見えない事柄を知っており、あなた方が明らかにすることも、また隠すことも知っていると。今、アーダムにひれ伏しなさい」

 

天使たちは、アーダムに向かって謙虚に頭を垂れました。しかし、彼らの中にいたイブリースだけは、尊大な態度で顔を背け、決して頭を垂れようとはしませんでした。

 

そのとき、神はイブリースに向かって言いました。

 

「何が原因で、お前はアーダムにひれ伏さなかったのか? 高慢になっているのか、それとも自分の方が優れていると思うのか?」

 

イブリースは尊大に言いました。

 

「私は彼よりも優れている。なぜなら私は火から作られたが、彼は泥から創造された」

 

 神は言いました。

 

「ここから出て行きなさい。お前は我々の御許を追われる存在である。最期の審判の日まで、お前には呪いがある」

 

悪魔は言いました。

 

「私の主よ、全ての人が蘇らされる日まで、私に猶予をください」 

 

神は言いました。「定められた日、明らかなときまで、お前に猶予を与えよう」

 

 悪魔は自分の望みが受け入れられたので、言いました。

 

「私が迷いに陥った今、アーダムとその子孫を狙い定めて迷わせよう。それから、彼らの前後、左右から彼らに襲い掛かる。そうすれば、彼らの多くは、感謝しないものとなるだろう」

 

神は答えました。

 

「立ち去るがよい。お前とお前に従う者の報いは地獄である。その叫びによって、誰でも好きな者を欺き、あなたの騎兵や歩兵で彼らを攻撃せよ。彼らの財産や子孫を作るのに協力し、彼らに約束するのだ。だが覚えておくがよい。お前は私の純粋な僕たちを支配することはできない。お前の主は、彼らを十分に守るだろう」

 

この物語は、コーラン第2章アルバガラ章雌牛の第29節から38節、第38章サード章の第71節から85節、第17章アル・イスラー章夜の旅の第60節から65節で述べられています。

 

次回も、悪魔の策略についてお話ししましょう。

 

タグ