7月 08, 2018 21:32 Asia/Tokyo
  • 筆置き
    筆置き

今回もイランの木工工芸について話することにいたしましょう。今回は木材の上に施される模様や細工についてお話しすることにいたしましょう。

イランの木工工芸の一つに、鏡の額縁、筆置きといった木製の装飾が施された品々があります。これらの作品はまっさらな形に整えられた後、その上に装飾が施されます。様々な時代の木工作品の上に使用されている装飾の中には、イランの人々の趣向や関心、要求、文化に注目し、様々な手法や様式で形作られた絵画芸術があります。実際、木彫細工やモザイク、寄木細工によって木の断片を木製の土台の上で様々な形に整えた模様はまさに、木の滑らかな表面に色のついた筆を使用して描かれた絵画を具現しています。

筆置き

 

各種の植物や木、鳥、動物、満天の星、人間、住居、幾何学模様などは、木工職人のモチーフになっています。木は湿気を吸収する性質があることから、最初、ニスで、色が吸収されたり模様が消えたりするのを防ぎます。それに加えて、ニスの使用は特別な光沢や透明感を出します。このニスの使用は、18世紀から19世紀のザンド朝とガージャール朝にピークを迎え、その当時の伝統工芸の貴重な作品は博物館に収められています。

鏡の額縁

 

一方、絵画の他、イランの職人たちは道具や品々の表面、さらにはシンプルな木片を木それ自体で装飾しています。イランの古い伝統工芸の中には、木を使ったナーゾクカーリーと呼ばれる芸術があり、その多様性と質の高さは、この芸術の古さを物語っています。

 

ナーゾクカーリーの工芸においては、のこぎりを使って木の小片を作り、それを品々の表面に貼り付けていきます。ナーゾクカーリーに使われる木は、ホソバグミ、クルミ、あるいはナシの木で、その製品にはお盆やお菓子、角砂糖、果物などを入れる器、チェスの駒、アルバム、首飾りがあります。

ナーゾクカーリー

イラン西部のサナンダジは、イラン、そして世界のナーゾクカーリーの中心地です。サナンダジのナーゾクカーリーの精巧さ、優美さ、独創性は世界有数のものとなっています。この地域の巨匠たちの技術に加えて、クルミやホソバグミの木の節の美しさや多様性が、このナーゾクカーリーをさらに美しいものにしています。

 

ナーゾクカーリーは最初、簡単な道具で作られていましたが、ここ数十年で道具はより近代的なものとなり、ナーゾクカーリーの難しさを軽減しています。現在、木彫やモザイクにもナーゾクカーリーが用いられ、多くの木工工芸に見られます。ナーゾクカーリーはイラン北西部のウルミエでも行われています。