7月 22, 2018 21:45 Asia/Tokyo
  • マーハーンのシャーザーデ庭園
    マーハーンのシャーザーデ庭園

今回は、イランで最も美しい歴史的な庭園、マーハーンのシャーザーデ庭園をご紹介しましょう。

この歴史遺産は、1974年にイラン文化遺産教会に登録され、2011年にはユネスコの世界遺産に登録されました。

 

シャーザーデ、あるいはシャズデと呼ばれる庭園は、イラン東部・ティグラーン山脈の裾野、ケルマーンの町から35キロ離れたマーハーン市の郊外にあります。この庭園は、20世紀初めのガージャール朝末期に造られました。この地域は海抜2020メートルあります。シャーズデ庭園は、奥行き407メートル、幅122メートル、面積およそ5.5ヘクタールの長方形で、階段状の非常に美しい庭園となっています。イランの人々は、山の裾野や傾斜のある丘の上に庭園を造る際、その自然条件に合わせて傾斜を最大限に利用しようとしました。そして、このような場所に造られた庭園では、丘の上、あるいは比較的傾斜の少ない平らな場所に、必要な空間や建物が造られ、丘の下の方には、美しい景観が作り出されました。傾斜の多い場所は、ほとんどが緑の空間になっています。マーハーンのシャーズデ庭園も、このようなスタイルの庭園となっています。

 

マーハーンのシャーザーデ庭園

 

シャズデ庭園は、イランの独自性と美しさの融合であり、水と庭園、建築の共存によってケルマーン州の楽園のような存在となっています。この地域は、ケルマーンからバムへの途中、シルクロードの途上にあるため、壮麗な庭園を建設するのに適した場所となっています。シャズデ庭園に行くためには、砂漠性の乾燥地帯を通らなければいけません。庭園に入ると、そのような乾燥した熱帯地域に、これほど美しい場所が存在することに驚くことでしょう。シャズデ庭園にも、イランの一部の庭園と同じように壁があり、庭園の領域を示すと共に、2つの異なる環境の境ともなっています。この壁の一方は半砂漠性の気候であり、もう一方には、緑豊かな木々や建物、池や噴水があり、木陰やさわやかな空気を作り出しています。

                                             

マーハーンのシャーザーデ庭園

 

シャズデ庭園は、最初、ケルマーンの当時の為政者モハンマド・ハサン・ハンの指示によって、1897年に建設されました。その内部の建物は、後にケルマーンの為政者であったアブドルハミード・ミールザー・ナーセロッドウレにより、1919年から1930年に11年の歳月をかけて建設されました。この庭園は東と西の2つに分かれ、非常に美しい入り口の門、王たちが滞在する建物、そしてハンマーム・公衆浴場があります。この入り口の門には非常に美しい建築が見られ、それがこの庭園の特長になっています。庭園の入り口の建物は、2階建てになっていて、タイル細工や幾何学模様で装飾されています。下の階には人が住んだり、客人をもてなしたりするための部屋が置かれています。

マーハーンのシャーザーデ庭園

 

庭園の上の部分の奥にある滞在のための建物は、非常に美しい2階建ての建物で、下の階は、2階よりも広くなっています。庭園の東の角、メインの建物の近くには、タイル細工の壁と石でできた浴槽のある美しい公衆浴場があります。この公衆浴場は、メインの建物の改修と同時に修復が施され、現在は博物館となっていて、ガージャール朝時代の建築の特徴を見ることができます。この浴場は、敷地面積がおよそ1300平方メートルで、入り口、廊下、脱衣所、ポーチがあります。他の庭園内の建物には柵が設けられ、しかるべき場所に配置されています。

 

 

これらの建物に使われている主な資材はレンガとモルタルで、ほとんどの箇所には荒壁土が、一部には漆喰が使われています。また建物の外側の一部はタイルで覆われています。敷地内の床には玉石が敷き詰められています。シャズデ庭園は、1991年に改修されました。その改修工事は、35人の建築士と500人の労働者によって、7ヶ月をかけて行われました。その際には、メインの建物が建て直された他、その一部に壁が設けられました。現在、王の滞在用の建物は、レストランになっており、多くの観光客を受け入れています。特に春から夏にかけては、イラン各地から多くの人が、この場所にやってきます。

マーハーンのシャーザーデ庭園

シャズデ庭園の特長は、水を灌漑するシステムと、階段状になった池にあります。メインの建物の正面には、5つの噴水がある大きな池があります。この噴水の水は、地下水路・カナートから確保され、そこから滝のように湧き出ています。この水は、両側に花壇と背の高い杉の木の並ぶ歩道を通り、非常に美しい景観を作り出しています。シャズデ庭園の噴水は、庭園の奥まで続いています。噴水の水は、高度の違いによる圧力のみを利用しており、それは、この地域の人々の知恵と賢さを物語っています。

 

マーハーンのシャーザーデ庭園

 

シャズデ庭園は、内部の景観を最大限に利用できるように工夫されています。入り口の門の下では、庭園の外の景色だけでなく、周囲の山や、庭園内の様子も見ることができます。庭園内の景色、つまり水の流れ、池や滝が、きれいに植えられた植物、杉やスズカケの木と共に、内部に類まれなる光景を作り出しています。この庭園はかつて、ケルマーンの為政者やその家族が余暇を過ごすための場所として建設されましたが、現在は、観光地となっていて、毎年、国内外から多くの観光客がこの庭園を見学にやってきます。近年は、アジアやヨーロッパからの観光客が増え、その美しさを称賛しています。

 

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