テヘランのサアダーバード庭園
今回は、テヘランにあるサアダーバード庭園についてご紹介しましょう。
サアダーバード庭園は、面積およそ100ヘクタールで、テヘラン北部、アルボルズ山脈の南側の裾野に位置しています。この庭園は、東をゴラーブダッレ、西をヴェレンジャック、南をタジュリーシュと接しています。
1920年、パフラヴィー政権の初代国王、レザーハーンは、初め、ダルバンド川のほとりのサアダーバードの土地8000メートルを占有しました。その後、現在、アフマドシャーヒー宮殿が建てられているアリーハーン・ヴァーリーと呼ばれる丘の一帯をその範囲に加え、そこに1922年、緑の宮殿を建設しました。サアダーバードは、その後に幾つかの地区が加えられて広がり、レザーハーンの夏の滞在地となり、その後数年の間に、数々の宮殿や建物が建てられました。
サアダーバード庭園には、北から流れ込み、昔から存在し、緑の空間に必要な水資源のひとつだったダルバンド川の他にも、2代目国王、モハンマドレザーの時代に、12の地下水路・カナートが建設されました。現在はそのほとんどが使われていないか、あるいは使われていたとしても一部のみとなっています。
サアダーバード宮殿には、プラタナス、マツ、アカシア、クルミ、アーモンド、セイヨウハナズオウ、マグノリアなど、様々な種類の植物が生育しています。
サアダーバード宮殿に生育している植物のほとんどは、希少価値の高いもので、外国からイランに入ってきました。ここで見られる植物の配列に秩序はなく、多くが、水の流れや地形に沿ったものであると同時に、ヨーロッパ式の庭園作りの影響を受けています。
庭園のほとんどの場所は芝生で覆われていますが、かつて、イラン式の庭園では、芝生はほとんど使われていませんでした。この宮殿の内部には、パフラヴィー家の人々が使用するための数々の建物が建設されていましたが、1979年のイスラム革命勝利後には一般の人々に公開されています。そうした建物には、シャフヴァンド宮殿、緑の宮殿、アフマドシャーヒー宮殿、白の宮殿、あるいは国民の博物館、芸術博物館、軍事博物館、人類学博物館、バフマン宮殿、ベフザード博物館、アーブカール博物館、ファルシュチヤーン博物館などがあります。