セムナーン州の風俗習慣(2)・口承文学
今回は、セムナーン州の口承文学についてお話しすることにいたしましょう。
セムナーンの方言における短い物語はアストネクと呼ばれています。これらの物語は大衆文化の貴重な宝庫となっています。一般にこれらの物語の出所は不明で、それらが語られた時代もわかっていません。またそれらが生まれた背景も正確にはわかりません。そのため、物語の中の暗示の存在が、社会的に重要な出来事や皮肉を物語っており、深い研究が必要とされています。ここでアースティーナキー・シェガールカという題名の物語をご紹介しましょう。
アースティーナキー・シャガールカは、窮地に陥ったときに、なぜ先のことを考えなかったのかと後悔ばかりする怠慢な人への戒めの物語です。そしてこの人は問題が解決されるや否や、過去の辛さを忘れてしまいます。物語は次の通りです。
冬の半ばに、ジャッカルが巣の中でお腹を空かせて震えていました。彼は言います。「夏になるまでに風採り窓を作ろう。釘を打ってブドウをそこに巻きつかせて、冬を楽に過ごせるようにしよう」。こう言って、自分自身を励ましましたが、冬も終わり、ついに夏になってしまいました。ブドウが良い具合に熟したとき、ジャッカルはブドウの木の下で、嬉しそうに一房のブドウを口にくわえました。そのとき、自分が冬に言ったことを思い出しました。ジャッカルはブドウの房を地面に落とし、別の一房を口にくわえました。そしてのん気に、こう言います。ジャッカルは風採り窓を作るか?いやいや、そんなことをしたら疲れて死んでしまう。
ジャッカルは釘を打つか?いやいや、そんなことをしたら疲れて死んでしまう。
ジャッカルはブドウの蔓を巻くか?いやいや、そんなことをしたら疲れて死んでしまう。
最後に、セムナーンの格言を幾つかご紹介しましょう。
「耳の聞こえない人は二度笑う」
自分でも気付かずに他者の話に介入する愚か者のことを言います。
「すぐに切れる縄で薪拾いに行くな」
これは不確かな手段で作業を行わないよう、足元を固めてから動くように、という意味です。
「幸福は善意を持つ者の家の中にある」
これは善意を持っている人が、幸福という報酬を受ける、恩恵は良いことをする人々の家の中にあるいう意味です。
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