3月 03, 2019 21:32 Asia/Tokyo
  • ロル族の伝統的なスポーツ
    ロル族の伝統的なスポーツ

今回は、ロル族のスポーツとそれに関する風俗習慣についてお話しすることにいたしましょう。

地方や地元のスポーツは大衆的なスポーツの後ろ盾となるものです。伝統的な地元の、あるいはロル族の部族独自のスポーツを知りたければ、まず初めに、この民族が住んでいる地域の歴史や地理、古代の文化を知る必要があるでしょう。というのも、ロル族の伝統競技は、この部族の住む村や遊牧民の歴史や文化、自然、地理的な状況に結びついているからです。

ロル族の男性

 

イラン西部、とくにロレスターン州の様々な地点から、短剣やブロンズのボール、その他の戦争のための品々が見つかっており、すべて、数千年前のロレスターンに住む民族の間に剣術や乗馬、重量投げの技術が普及していたことを示しています。例えば、エラム人の後、およそ4000年前にロレスターン地域に住んでいた民族が、様々なブロンズ製の道具を残しており、戦闘や競技においてそれらを使用していたことがわかっています。セルジューク朝時代の、ロレスターンのアターベクの時代以降、戦争の道具作りや軍事技術に変更が生じ、部族の伝統競技を行うための道具として、様々な戦術品が出現しました。チャンバラ、剣術、玉投げといったものは戦争の道具を想起させます。

ロル族の伝統的なスポーツ

 

文化的な見地から、ロレスターンの部族や地方の競技は、これまで30種類が確認され、研究、調査の対象になっていますが、ロル族の性質、風俗習慣が独自の形で織り交ざっています。これらの競技は、ある時代には戦争の技術として戦場で使われていましたが、現在はロレスターンの精神的に豊かな文化の一部となっています。ロレスターンの人々は昔から部族の競技の多くを知っており、これらの競技を自分たちや子どもたちの肉体や精神、を鍛えるのに使っており、各世代が前の世代よりもさらに強くなっていきました。こうした競技の多くはロレスターンの文化の歴史の中に存在し、世代から世代へと受け継がれ、今日まで続いています。

100年以上前にロレスターンを通過したフランスの旅行家は、ロルの若い競技者たちの精神、勇敢さに驚いています。彼らは大胆にも、5メートルの深さの恐ろしい渓谷を流れる川を素早く渡り、向こう岸にたどり着いていたのです。またイギリスの旅行家は、その旅行記の中で、ロルの人々の勇敢さについて触れ、老若男女問わず、木の棒を使って唸りをあげる川を渡っていったと記しています。この木の棒は二本の木で、ヤギの毛で編まれた強い縄で互いに結び付けられています。ロシア生まれの中東学者、ミノルスキーは、旅行記の中で、ロレスターンとロル族について、「ロルの人々は過去の精神的な備蓄を大事にしているだけでなく、伝統の、地元の、部族の文化を忘れていない」と記しています。

ロル族の伝統的なスポーツ

 

イラン西部の広大な地域で、ロルの様々な部族、とくに遊牧民の中で広まっている伝統競技は100種類近くあり、それは欲を取り払い、道徳や健全で快活な精神、勇敢さを生じさせる原因となっています。これらの伝統競技には特徴があります。その中に、様々な気候を持ったどのような町や地方でも、簡単に習得できるということがあります。これらの競技を行うのに、特別な道具や施設はいらず、子供からお年寄りまで、個人、団体、チームで行うことができます。それではこの競技の一部をご紹介いたしましょう。

レスリングはロレスターン各地で行われている競技の一つです。この格闘技は地元の服を着て裸足で行います。競技の開始前と競技中に、太鼓の演奏が行われます。二人の選手によって行われ、時間は15分です。試合はノンストップで行われます。制限時間内でどちらかが勝たなければ、1分間の休憩を入れ、5分延長します。試合で勝つには、相手の肩を地面につけなければなりません。

ロル族の伝統的なスポーツ

 

木刀競技もロレスターンに住むバフティヤーリー族の間に広まっています。この競技は歴史的な背景があり、実際、一種の戦闘競技とみなされています。二人で木刀をもって対戦します。熟練した二人の対戦者は互いの足元を狙います。守りと攻めに分かれ、守りの人は自分の足を守るために木刀を使い、もう片方は相手を攻撃します。そして守りと攻めを交互に繰り返します。試合の最中には特別な太鼓の曲が演奏され、試合時間は1時間半です。多くの場合、祝祭や結婚式でこの競技が行われます。この他、馬術射撃もあり、これはロレスターンの多くの村で行われており、非常に高い技術を必要とします。この競技は馬を走らせながら定められた標的を狙うというものです。速度を付けて標的のほうに向かっていき、標的の周りを回りながら矢を飛ばします。標的に命中させた人が勝者となります。

ロレスターンでは昔から山登りが行われています。つまり、ロルの遊牧民はザグロス山脈に周囲を囲まれた地域で、ロレスターンの南から北まで家畜を放牧させたり、山から谷、渓谷から山頂に向かったり、夏営地から冬営地へと移動しています。このため遊牧民の気質には、土地の高低、そうした気候が織り交ざり、放牧の季節にはおよそ300キロの州を家畜とともに山から谷へと移動しています。ロルの様々な部族は老いも若きも、男女問わずすぐれた登山家のようにこれらの道を進んでおり、今もこうした行動を続けているのです。

 

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