イラン人の文化におけるモスクの地位(2)
今回もイラン人の文化におけるモスクの地位についてお話しすることにいたしましょう。
モスクがイスラム教徒の宗教的信条において有している重要な地位により、町の中心に建てられていることをお話しました。さらに、モスクはイラン人の文化において非常に神聖なもので、唯一神の崇拝のための第一の場所であり、文化的、社会的、政治的に様々な機能を持っていることについても触れました。また、モスクの文化的、教育的な機能を語ると共に、政治的機能について、イランのイスラム革命勝利後の人々を動員する中心としてのその役割を説明しました。
1980年代のイランイラク戦争中、モスクは戦地に派遣する義勇兵を募るための抵抗の中心であり、民主的な拠点において、すべての情熱を持った人々がこれに参加していました。
モスクの役割は、今お話したことに限られません。8年間のイランイラク戦争で、モスクはバスィージと呼ばれる義勇兵を募るための中心であったことに加えて、後方支援のための場でもありました。イラン人の信条に基づき、モスクは確実な場所であることから、多くの人が前線を支援するためにモスクに様々な物資を運び込んでいました。このため、各地の女性たちの間でも自発的な団体が生まれ、モスクに運び込まれた物資を箱詰めしたり、前線に送る準備をしたりしていました。
こうした人々のつながりや支援は数年後も維持されたということをお話しておく必要があるでしょう。人々の協力が必要とされた場合には、彼らは自分たちから進んでモスクに出向いています。今夜の番組では、モスクの社会的な機能についてお話しすることにいたしましょう。
モスクは救援活動や社会的なサービスに関して主要な役割を担っています。預言者の時代、信者は困ったことがあると預言者のもとを訪れ、預言者やその他の人々から資金援助を受けていました。今日も、モスクは恵まれない人を支援する上で、イスラム教徒の問題を解決する協力の場として特別な役割を果たしています。モスクの機能の一つに、恵まれない人々が誰かを把握し、モスクの収入によって彼らの家族を支援することがあります。
モスクは人々の間で信頼、敬意を示され、特別な地位にあることから、人々の慈善や施しを受けるのに適した場所となっています。多くの人はモスクに寄進を行います。この寄進の一部は、絨毯やモスクで必要とされる道具などモスク自体のために使われ、また一部はモスクの責任者の管理のもとで恵まれない人への支援に使用されます。これに加えて、一部の人々は、自らの信条に基づいて、寄進財産をモスクに提供し、それはモスクの責任者の指示により、イスラム教徒の問題を解決するために使われます。この寄進財産として、一部のモスクの傍らにある商店が挙げられ、その売り上げはモスクのものとなります。
モスクは現在、より幅広い社会的機能を有しています。一部のモスクの傍らには、様々な学術、教育、道徳のクラスが設けられています。モスクにおける精神性に注目すると共に、個人的、社会的生活の必要性にも注目できるようになっています。モスクの社会的な活動の一つに、若者向けの文化、芸術、スポーツの教室があり、文化的な活動の傍らで、若者を道徳的な基盤や信条の原則に親しませています。
前回の番組では、宗教的な行事を行うための場としてのモスクの役割についてお話しました。これらの行事は、イスラム暦のラマザーン月やモハッラム月に行われます。これらの期間、モスクの神聖な空間は、人々の祈祷の声と精神的な存在に溢れており、彼らの大規模な参加は、信者の友好的なつながりを強めるものとなっています。モスクで行われる一部の宗教的行事は社会的な側面を有しています。各都市の大きなモスクで行われる金曜礼拝などは、礼拝の他、社会の団結を促すものであり、イスラム教徒の世論の啓発において基本的な役割を担っています。金曜礼拝の導師は、説教の中で、最新の政治や社会の問題についても話します。
この他、モスクの社会的な機能には、故人の追悼式の実施があり、モスクはこうした儀式の中心として特別な地位を有しています。ここ数年、一部のモスクでは、婚約や結婚の儀式も行われるようになっています。
イランの文化におけるモスクの重要性は、イラン人の文化的すべての側面に現れています。例えば、格言や詩の中では、こうしたことが多く注目されています。大衆文化の一部を形成する格言は、各民族の中で、彼らの言葉や文学の重要な柱と見なされており、実際、すべての国民の趣向、精神性、道徳、思考、慣習の表れと見なされています。
格言は詩の半句や対句、ときに偉人の短い言葉、またときには歴史的な出来事を起源にしており、モスクは文化的な機関として、格言の中で特別な地位を有しています。モスクに関する格言の例を挙げてみましょう。
「モスクに行ったことのない敬虔な人」大衆文化では、敬虔な人はモスクに行くものだとされており、この格言は信仰を装っている人について言っています。「家に必要な明かりをモスクに持ってきてはいけない」この格言は、まず最初に人々の必要なものを整えなさい、と諭しています。
今夜の番組の最後に、イスラム芸術におけるモスクの地位について簡単にお話しましょう。モスクの建物は、イスラム建築において特別な重要性を有しています。なぜならモスクは礼拝を行う場であり、多くの問題を解決する場であり、さらに多くの儀式を行う場として尊重されているからです。芸術家は、あらゆる技術を施し、その強固さ、美しさ、精神的な空間を作り出すために役割を果たそうと努力します。実際モスクは、特別な空間や場所を生じさせている様々な芸術の集合体なのです。その空間や場所は神と創造物の間の関係を生じさせるために調和が取られています。
モスクの空間や場所は壮麗な装飾が施されてはいるものの、人間を神への注目から逸らすことはありません。このためモスクの装飾に対しては特別な配慮がなされ、モスクこそがイスラム芸術が最初に具現された場所であると言えるのです。イラン人はイスラム教を受け入れたことで、モスクの中に最も壮大な芸術を施しました。イラン人の芸術家は、多くのモスクの建物の中で実際、様々な芸術を融合させました。建築家はモスクの建物のバランスをとろうとし、画家はタイルの模様と色に注目を寄せ、書家は石碑の上に整然とした意味深い文字を書いていました。この中ではモスクを装飾する補完的なものとして伝統工芸も見られ、これらの芸術の集合体は精神的で美しい空間を生じさせています。
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